4話 魔法のマントで
前回に引き続き短いです。
あの後私はシーザー・アールストレイムさんの力を借りて、塔から脱出しました。
とはいっても、魔導士であるシーザーさんの全面協力ではなく、援助をしてもらったと言う方が正しいです。
移転の魔法というものを使えば、シーザーさんが属している王国シスベリアスにはひとっ飛び出来るそうなのですが、少しだけ魔力の残滓が残りやすくて形跡を探られるたら一発でばれるらしいです。
そのため、移転の魔法はあまり使わない方がいいとのこと。そこでシーザーさんは、簡易的な睡眠の魔法で塔周辺と出入口を見張っている兵士を眠らせ、出入口の鍵を魔法を使ったものの物理で破壊してくれました。
私が幽閉されてる東の塔の裏には城の裏門へと繋がる森があるらしく、目印となる一番大きな木の所で落ち合うことになりました。
私の不格好なぶかぶかの白いワンピースを見て、其れでは変に目立ってしまうだろうという事で、ウエストポーチからフドーが着いたマント貸してくれました。
黒い生地は絹のように肌触りが良く、しかししっかりとした作りでそう簡単に敗れることはないでしょう。金の縁がとても品があって、これだけ着ていれば良い所の人に見えそうです。
少しほくほくしながら着てみます。サイズは少し大きいですが、あまり人目に触れない方が良いだろうワンピースがすっぽりと隠れるので丁度いいでしょう。
「良く似合ってますよ。そのマントは特別な織りかたで加工されていてね、魔法攻撃無効・異常状態無効・物理攻撃無効の加護がついているんですよ。下手なフルプレートアーマーより高性能だよ」
「えっ」
思わず驚きの声をあげてしまうのは無理もありませんでした。フルプレートアーマーと言えば、私のゲームでのイメージですがかなり高ランクの防具だと思うのです。素材にもよるでしょうが、よくあるモンスターを狩るゲームにしてもその他のRPGにしてもフルプレートとなるかなりの素材やレアな素材が必要となるはずです。
中には、良い素材を手に入れるためにひたすらマラソンを繰り返す人もいるくらいです。労力も忍耐力も運もお金も使うような手間暇がかかったものが、生半可な防具な訳がない、というのが考えです。
そのような物よりも高性能だと言うのです。見た目的には布っきれに過ぎないこのマントが。
「そ、そんな高価なもの使ってしまっていいんでしょうか……」
思わず使うことを躊躇ってしまいます。汚したりしてしまったらどうしましょう。弁償しないといけないですよね。私一文無しなんですけど、ツケや分割払いは可能なのでしょうか。出来ないなら目立つことを覚悟で脱出した方が精神的に良いです。
「クーリングオフは可能でしょうか」
「くーり……? よく分からないけど、汚しちゃうとか気にしなくても良いですよ。汚れにも強いですから。それに、このマント作ったは良いんですけど、なかなか使う機会がなかったので、あなたのような可憐なお嬢さんに使っていただけるなら光栄だよ」
キラキラとした笑顔に有無も言わせない雰囲気を感じて首を振り子のように振ってしまいました。
いよいよ脱出開始です。私は無事脱出できるのでしょうか。
少しずつしか話が進まない、どうしよう!
でもさらっと読んでくされば嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
次回はやっと久しぶりに……○○が登場します。と言っても登場キャラは限られていますが。