3話 声は救いか甘言か
前回よりも分が短くてすみませんっ。
そしてあまり話が進まなくて申し訳ないです
そろそろ動き出すかと思います。
「落ち着いたかな?」
「は、はい。取り乱してすみません……」
あんなに驚いてしまって申し訳ない上に恥ずかしいです。
思わず俯く私に、彼は「こちらこそ驚かせてごめんね」と優しい声で言ってくれました。
その優しさが痛いです。笑ってくれた方がまだいいです。
唐突に、彼は「ところで……」と話を切り出しました。
「お嬢さんは何でこんな所にいるのですか? うかない顔をしていたのもその所為かな?」
その質問に私は逡巡しながらも、実は……と話すことにしました。名も知らない人に対して話しても大丈夫なのかと警戒心を持つべきなのでしょうが、どうせ困るのはあの王子様達でしょう。王子たちが困った所で私には何の問題もありません。
むしろざまぁみろと言ったところです。
もし彼が王子たちにとって良くない存在ならぜひ彼らを困らせてほしいです。
それに、私自身誰かに私の話しをしたいという思いがありました。ここ4年会話らしい会話をしたことがありませんでした。このままでは、声の出し方やコミュニケーションの取り方すら忘れそうです。
私はゆっくり、ゆっくりと声が震えないように話しました。
4年前に突然神子として召喚されたこと、しかし国の恥や豚と罵られ拒絶されてこの塔にずっと幽閉されていること、毎日が暇な事、食事が不味いから何とかならないものか等々を。
最初は真剣に聞いていた彼も、私の最後の食事に対しての文句を言っていると肩を震わせて口を手で押えて俯いていた。
「笑いたいなら笑えばいいじゃないですか」
半目で見ると、彼はブハッと吹き出しお腹を押さえ笑い始めました。流石美形です。笑う姿も華があって美しいです。
「はははっ、いや、ごめんねお嬢さん。馬鹿にしたわけではないのですよ。それにしても、見た目に反してしたたかなお嬢さんだ。恐れ入りました。こんな状況ならば大抵のレディーは憔悴しきっているはずだよ、本当によく頑張りましたね」
その言葉が何処かの琴線に触れたのか、思わず目頭が熱くなりました。
涙と声を抑えていると、彼はどこか苦しそうな顔をしています。
「こんなに可憐でか弱いお嬢さんにこんなことを強いるなんて本当にあいつ等は何て酷なことを……。お嬢さんは此処から出たいとは思いませんか?」
出たいかと言われたら出たいので、こくりと頷きます。
暫く視線を落として考え込んだ彼は静かに言いました。
「ここから、お嬢さんを出してあげましょうか?」
と。
そして彼は名乗りました。名はシーザー・アールストレイム、隣国シスベリアスの魔導士だと。
やっとお相手さんの名前が登場しました。
会話文が少なくてすみません(汗
ちなみにお相手さんの名前は私が好きなキャラクターから取りました。
これからもよろしくお願いします。誤字脱字報告や感想があればお気軽にどうぞ。