巨人の悪夢
私が目を覚ますと、大きい何かが近づいてくる。
あれは、巨人だ・・・。
どういうことだ?私は縮んでしまったのか・・?
そんな考えが頭を駆け巡る。
心を落ち着かせ、昨夜のことを考える、しかし何も思い出せない。
私は、何が起こっているのか。すべての現状を一瞬にして把握した。
これは、夢なのだと・・。
そのときだった、巨人が私めがけて襲ってくる。
私は、持ち前の逃げ足でその場からとっさに、建物の隙間に逃げ込んだ。
「なんなんだ・・。私が何をしたって言うんだ?」
頭の痛みが急に襲ってきた。
まるで、頭にヒビが入るかのような痛み、光が私に近づいてくる・・・。
そのときだった、記憶が私の全身を駆け巡った。
昨夜、私は机に置いてあった「進撃の巨人」を読んでいた、その後急な眠気がきて、そのまま寝てしまったんだ。
これは夢だ!
そう確信し私は夢を覚まそうと巨人の元に向かった。
すると巨人は案の定、私を襲ってきた。
ガンッ!私の頭に恐ろしい音と共に、重い何かが当たった。
これで、夢が覚める・・。
早く覚めてくれ・・。こんな悪夢から、早く覚めてくれ。
私の願いは、届かなかった。すごく痛い、全身に突き刺さるような恐ろしい痛み。
苦しい・・。私は夢の中で死ぬのか・・。
息が途絶えるその直後、巨人が私の方を向き
「しぶといね、このゴキブリ」と言った。
私は、人間ではなかった。
人間の家に住処を作り、人間の残した物を食べ、物の
隙間からTVを見る。
そんな習慣が続いたせいか、私は自分のことを人間だと思ってしまったのか・・・。
哀れな自分の人生に幕を閉じ、私は息を引き取った。