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詩 うちに寄っていくか?

作者: WAIai
掲載日:2026/05/30

「うちに寄っていく?」

「え」


帰り道、俺が何気なく言うと、彼女はびっくりしたようだった。


「あの、その、うちの人は…?」

「誰もいないよ。俺んち、親、働いているし」

「そう、なの」


歯切れの悪い彼女。

どうやら緊張しているらしい。


誘うのはまだ早かったかと思ったが、言った手前、ひくわけにはいかなかった。


「どうする?」

「えっと」


彼女が空を見上げる。

陽が長くなってきたので、まだ青空が見える。

まるで水が広がっているところに、温水が重ねられたような色。


時刻を確認すれば、30分くらいは一緒にいられるかなと計算する。


「あの…行ってもいい?」

「おう」


俺は嬉しいそうに答える。

もちろん下心がないわけではないのだが、今は我慢しておく。


「すぐそこだから」


そっと彼女の手を握りしめると、彼女の身体が反応してくる。


何か神聖なものを感じ、じっと見つめながら、固く繋ぐ。

それからさらさらした髪に触れる。


「大丈夫。そんなに緊張するなよ」

「無理!! 緊張するに決まっているじゃん!!」


彼女の本音らしく、俺はあははと声を立てて笑う。

その声は雲が受け取り、横に流れていく。


「嬉しいか、俺んちに来られて?」

「う…。どうだろう? お腹、痛くなってきた」


正直な言葉に。また俺は笑う。


「もう笑い話じゃないのに!!」

「あ、あそこだ」


指差すと、もう間近だと感じたのか、彼女が深呼吸する。


「お邪魔させていただきます」

「おう。帰りはちゃんと送るから」


その言葉に、彼女は安堵したようだった。


「その、近くにコンビニ、ある?」

「何で?」

「手ぶらであがるわけにいかないわよ」

「いいんだよ、お前さえいれば」


髪にキスすると、彼女が身体を押してくる。


「もう!! その、本当に行ってもいいの?」

「ああ。ジュースとかアイスとか、一緒に食べようぜ」


彼女が遠慮がちにうなすくので、良い子だと改めて惚れ直す。


「よし、俺んちまでダッシュだ」

「え? 何で?」

「一緒にいる時間がもったいない。行くぞ!!」


俺と彼女は走り出し、うちを目指すのだった。

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