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廃墟に咲く永遠の蕾  作者: ありぽん
第2章 閉ざされた研究所と崩壊し始める日常

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7話 納得できない警察の事情聴取と調査

 警察署への報告が終わると、まず簡単な現場検証が行われて。さらにその後、事情聴取が行われることになり、初日に使った会議室に集められた私たち。


 ただ、その間にも、確かに現場検証や事情聴取も大切だけれど、やっぱり先に山田さんと川島さんを探した方が良いんじゃないか。

 もしかしたら、川島さんだけなら、いなくなったばかりだからすぐに見つけられるかもしれない。せめてもう1度、研究所の周りだけでも探させてほしい。そう、私たちは警官に訴えたんだ。


 だけど、私たちの言葉に面倒くさそうな顔をしながら、警察官は相変わらず、


「悪天候の中での捜索は危険だ。その判断は本部の指示を待つ」


 と言うばかりで、結局その場で探すことはせず、これには本当に頭にきたよね。


 ただ、この事情聴取では、山田さんの班の人以外だと、私と宮本さんが山田さんと川島さんの2人と1番仲が良かったということで。私たちは他の人よりも早めに呼ばれることになって、宮本さんの次に、私が事情聴取を受けることになったんだ。


 そして個室に呼ばれると、2人がどんな人物だったか、最近の様子について詳しく聞かせてほしいと言われたから。私は、少しでも2人を探してもらえるようにと、話せることは何でも話したよ。


 山田さんは時々、ふざけて人を驚かせることもあったし、いつも喋っていて、うるさいと思う時も確かにあった。だけど、みんなのムードメイカーだったし、研究に関しても、いつも真面目だった。

 それに、誰かが困っていれば、真っ先に助けてくれるし、みんなに心配をかけるようなことをする人では絶対にない。だから、今回の失踪はあまりに不自然だった。


 川島さんだって、山田さんといつもイチャイチャしていて、正直、ウザく感じることもあったけど。まぁ、それはいつもの事だし。それに川島さんも、研究には熱心に取り組んでいて、班の中で1番の成果を出していた。


 ただ、ここ最近は、何か話したいことがあるのか、私たちの相談によく乗ってくれる神谷さんの元へ良く来ていて。だけど神谷さんが声をかけると、結局何も話さないまま、自分の部屋へ戻ってしまうこともあったし。

 何かに怯えている様子で、食事も喉を通らないほど憔悴しきっていた。その様子が、山田さんの様子になんとなく似ていた。


 それから、他の共通点で言えば、2人がおかしくなっていなくなる前は、山田さんは幽霊について調べていて。川島さんは山田さんの行方を探そうと、何か手がかりはないかと、彼が調べていた、幽霊のことについても調べたはず。


 もしかしたら、その幽霊の調査が、2人を同じような状態に追い込んだ原因かもしれない。と、私はこんな感じで警察に話をしたんだ。


 私は話し終えてひと息つくと、警官を見る。今まで淡々と、とりあえず調査はしているという感じだった警官たち。これだけ話せば、もう少し真剣に対応してくれるはず。私はそう思いながら、警官たちの反応を待った。だけど……


 警察官の反応は、私の期待とは裏腹に、あまりにも薄かったんだ。


 へぇ、そう、ふーん? なんて、やけに軽い返事をするだけ。メモをとっているんだけど、それもなんか、適当に書いてるんじゃ? という感じだし。真面目に、私の話を聞いているようには見えなかったの。


 挙句、最初に山田さん川島さんの話しを聞いた以外、これといって何も質問してこなかったんだよ。普通、こういう時って、いろいろ質問してくるもんじゃないの? 私の本の読み過ぎ? テレビの見過ぎだった?


 あまりにも何も聞いてこないから、こういうのは変じゃありませんか? とか、こんなにおかしくなるなんて、どう考えてもおかしいですよね? とか。私の方から質問しちゃったくらいだよ。まぁ、その答えも、『どうですかね』で終わったけど。


 そうして30分もすると、何とも言えない私の事情聴取は終了してしまったの。後で宮本さんに、事情聴取の時の様子を聞いたら、宮本さんも同じだったみたい。


 質問はほぼ同じ。まぁ、これに関しては、基本的な質問はみんな同じかもしれないけど。だけど、宮本さんが答えたことに対して、やっぱり何も聞いてこなかったから、宮本さんが質問したって。


 こんな感じで、他に人の事情聴取はどうだったか分からないけれど、その後も引き続き行われた事情聴取は、数時間で終了してしまったんだ。


 事情聴取が終わると、次に警官たちが行ったのは、事件が起きる前の、山田さんの部屋を見たことがある人、入ったことのある人たちを連れての、部屋の確認だった。


 久しぶりに来た、山田さんの部屋。課長が鍵を開けると、警察官はさっさと中に入っていく。それに続く私たち。


 部屋の中は、私が見た時と何も変わっていなかった。真っ黒に塗りつぶされている壁、書き殴られた不気味な言葉の数々。


 宮本さんは初めてこの光景を見たけれど、私から話しを聞いていたから、なんとかそこまで取り乱さなかったって、後から教えてくれたよ。ただ、他の初めての人たちは、やっぱりとても驚き、外に飛び出す人もいてね。


 だから私は、さすがにこれを見れば、警官たちも異常事態だと分かってくれるだろう、とそうと思っていたんだ。だけどここでも警官たちは……。


 顔を近づけて壁を調べ、写真を撮っていく警官たち。だけど、写真撮影を終え、残された荷物や押し入れなど、他の確認も済ませると。警官の1人が手帳を閉じながら、溜め息混じりに、


「……なるほど。確かに普通の状態ではないようですね。ですが、山奥での閉鎖的な生活は、時として精神を追い詰めてしまう。以前、似たような案件を担当したことがあります。この壁は、溜まりに溜まったストレスによる突発的な行動でしょう。失踪についても、事件性というより、やはり精神的に追い詰められての失踪の線が強いですね」


 そう言い、もう1人の警官も、


「酷いノイローゼになってしまったんでしょうね」


 と言ったんだ。


 これには、さすがに驚いたよね。これほどの異常を目の当たりにしても、警察官たちは、事件性はなく、ノイローゼでおかしくなっただけだと言い切ったんだから。警官だから、現場慣れしているのかもしれないけれど、さすがにこれは酷いでしょう!


 もちろん、驚いたのは私だけじゃない。課長以外の同行者たちも同じで、一斉に怒りの声を上げたんだ。


「ノイローゼだって!?」


「確かにその可能性もゼロじゃないが、どう考えたってこれはおかしいだろう!」


「事件の可能性だって、十分あるはずだ!」


 とね。でも警察官たちは、自分たちの判断が正しいと言わんばかりに、みんなの声には適当に答えながら、形式的な調査を続け、新しいことは何も言わず。全体的に部屋の中を見終わると、山田さんの部屋の調査をさっさと終わられてしまったんだ。


 文句を言う私たちに、


「次は川島さんの部屋へ行きます。関係者の方々はついて来てください」


 とだけ言い、山田さんの部屋の前で待機し始めた警官たち。


 課長は、山田さんの部屋を確認していた人たちを帰しつつ、その人たちに、川島さんの部屋を知っている人たちに、川島さんの部屋へくるよう伝言を頼み。

 私と宮本さんには、山田さんの部屋同様、私たちはよく川島さんの部屋に遊びに行っていたから、ついてくるように言われて。そのまま警官たちと一緒に、川島さんの部屋へ向かったんだ。


 まぁ、確認と言われても。今までのやり取りから、川島さんの部屋で何か気づいたところで、どうせまた、まともに取り合ってくれないんじゃないの? と。私は、警官たちに対して、否定的な気持ちでついて行ったけどね。


 そして訪れた川島さんの部屋は……。山田さんの部屋とは違い、目立った異変は起きていなかった。ただ、一点を除いては……ね。

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