-第5話 魔物襲撃-
魔法学校での騒ぎの後、マジーアの町に一泊した、カイル、グスタフ、プルム、エレオノーラの四人は、朝、マジーアの町を出発して、レティシア、クレアと落ち合う為に、バロン村の広場へ向かう。
昼前ごろ、バロン村に着くと何やら村の中が慌ただしい。
村の入口に着いたところでカイルが衛兵に問う。
「何かあったのか?」
衛兵は問いに対して
「昨日の午後、村がオークの群れに襲われて、若い娘たちが攫われてしまったんです。自分たちは急遽、呼ばれて先ほど村に着いたところなので、詳しい話は分かりませんが、駐屯兵にも村人にもかなりの被害が出ているようです。」
カイルは
「分かった。中で詳しい話を聞いてみる。」
「みんな、急ごう。」
と言って、一行は急いで村の中央広場へ向かう。
広場に着くと、レティシア、クレア、ブライアンが駆け寄ってくる。
レティシアは一行の近くへ来るなり
「カイル!大変なんだ!村がオークに教われて!」
と焦って言う。
カイルは
「分かったから、少し落ち着け。」
「ブライアンさん、詳しい話を聞かせてもらえますか?」
と、昨日現場に居合わせなかったレティシアやクレアに聞くより、現場に居合わせた可能性があり、村に事に詳しいブライアンに聞いてみる。
それに対してブライアンが答える。
「昨日の午後、村がオークの群れに襲われました。私は狩りに出ていたので、その時にはいなかったんですが、夕方、村に戻るともうオークたちは去った後でした。村の男たちや王都からの駐屯兵の皆さんが応戦してくれたそうなんですが、何せ数が多く、おそらくは百匹ほどはいたとのことで、そのほとんどが死傷して、二十匹くらいは減らしたそうなんですが、もう戦えるものはおらず、村の若い娘が十数名、攫われてしまいました。魔王軍の侵攻のせいで、王都にもオークの群れを討伐できるほどの兵力は残っていないそうで、どうすることもできないんです。」
それを聞いてグスタフが
「相手がオークで攫われたのが若い娘となると、手遅れとも、まだ間に合うともいえるな。」
と言ったのを聞くとカイルは
「どういうことだ?」
とグスタフに聞く。
グスタフはその場を少し離れながら、人差し指で“こっちへ来い”と合図する。
カイルが付いて行くと、グスタフがカイルに肩を組み、小声で話しかける。
「お前は忘れちまってると思うから説明しとくぜ。オークは・・・・・・ゴブリンやトロールも同じなんだが、雌がいない。じゃあどうやって繁殖するかと言えば人間の女を攫って強姦して出産するまで拘束して食事を与えて出産させるんだ。オークは人間より成長が早いから半年ほどで出産する。そうしたらまた強姦して孕ませる。そうやって繁殖するんだ。そして子供を産めなくなった女は殺されて食料にされる。攫われたのが昨日の午後なら、もう犯されまくって妊娠は確実だろう。しかし子供が生まれるまでは大事な苗床だ。殺されることはない。だから貞操に関しては手遅れだが、命に関してはまだ時間に余裕があるってことだ。」
カイルは怒りに震えながら
「許せん!」
と言い、ブライアンたちの方へ戻っていく。
そこへ一人の老人が現れる。
「私は村の長老でジョーセフと申します。カイル様、どうか攫われた者たちを助けてやってはくれませんか?報酬でしたらいくらでもお支払いいたします。」
すると、すかさずレティシアが
「カイル!報酬はできるだけ負けてやってくれないか!?この村は一年前にも魔物に襲われて、村の財政は・・・・・・」
と言ったところでエレオノーラがレティシアを止める。
「レティシア!」
カイルが静かに
「報酬を負けろ?レティシア、何を言ってる。」
と言うとレティシアはカイルに喰ってかかる。
「カイル!」
するとレティシアが再び止める。
レティシアがエレオノーラに
「何故止める!?」
と言うと、エレオノーラは
「大丈夫だ。」
と言う。
カイルは
「報酬なんかいらん!」
と言うと、長老に向かって
「攫われた人たちは、このカイル遊撃隊が必ず全員助け出しますので安心して下さい。」
と言うと、グスタフに向かって
「今の俺たちの戦力でオークの群れを倒せると思うか?」
と聞く。
グスタフは笑みを浮かべて
「余裕だな。」
と言う。
それを聞いてカイルは
「じゃあ、今から行くぞ!一刻も早く助け出してやるんだ!」
と言って歩き出す。
グスタフは
「そう来なくっちゃ!」
と言って付いて行く。
エレオノーラはレティシアに
「だから、大丈夫だって言ったろ。変わったんだよ、アイツは。」
レティシアが驚いた表情をしていると、エレオノーラは下を向いて
「記憶・・・・・・戻らないと良いな・・・・・・。」
と呟く。
カイルは遊撃隊の皆に向かって、
「足手まといが偉そうなことを言ってすまないがフォローを頼む。」
と言うと、グスタフは
「任せておけ!」
エレオノーラは
「カイル、よく言った!見直したよ」
と言う。
村の出口に向かって歩くカイル遊撃隊をブライアンとクレアが追いかける。
ブライアンは
「カイルさん、私も連れて行ってください!オークの巣まで道案内します!」
と言い、クレアは
「私もカイル遊撃隊なんですから、置いてかないで下さい!」
と言ってカイル遊撃隊と合流し、一緒にオークの巣まで行くことに。
村を出て南に少し歩くと洞窟らしきものが見えてくる。
ブライアンが
「あれがオークの巣です。」
と言うと、一人の村人が駆け寄ってくる。
その村人が
「ブライアン!」
と言うとブライアンは
「ジョシュア!どうだ?」
と聞く。
ジョシュアは
「オークの群れは南の山の方へ行った。洞窟に何匹かは残ってるかもしれないがほとんどのオークが出て行った。」
と言う。
ブライアンは
「ここから南だと“バザルト村”か・・・・・・。」
と言う。
それに対してエレオノーラが
「それだと山を迂回しなきゃいけないし、おそらく、山へ食料を集めに行ったんだろう。捕らえた娘たちに食料を与えなきゃいけないから。」
と言うとプルムが
「それじゃあ、いつ戻ってくるかわかりませんね。」
と言う。
するとグスタフが
「今がチャンスだな。洞窟に入る組とオークが戻ってきたら洞窟の前で迎撃する組と二手に分かれようぜ。」
と言うと皆、納得する。
ブライアンが
「ジョシュア、お前は村に戻れ。戦闘には向かないだろ。」
と言うとジョシュアは
「分かった。皆さん、すみませんがよろしくお願いします。」
と言って村の方へ走っていく。
グスタフはクレアとブライアンに
「おやっさんとクレアは南方を警戒しててくれ。ちょっと作戦会議をする。」
と言って、残りのメンバーは少し離れて円陣を組む。
グスタフが
「洞窟組は先ず、ホーリーライトで明かりが使えるのと、捕らわれた人たちが回復を必要としてるかもしれないから、プルムは確定だな。」
と言い、レティシアが
「ブライアンさんは狩人で弓使いだから、洞窟より野外向きだから、迎撃組だね。」
と言う。
エレオノーラが
「それならクレアも迎撃組の方が良いな。その方が守りやすい。」
と言うとレティシアが
「それなら私がクレアの側で守りながら迎撃するよ。」
と言うと、グスタフが
「じゃあ、必然的に、カイルが洞窟組だな。」
と言うと、プルムはあからさまに嫌そうな顔をして
「カイルさんと私の二人ですか・・・・・・?」
と言う。
エレオノーラが
「仕方ないさ。カイルが戦えないのをブライアンさんやクレアには見せられないし。」
と言うとプルムは仕方なさそうに
「分かりました・・・・・・。」
と了承する。
全員で洞窟の前に行き、
エレオノーラがカイルに松明を渡す。
「念の為に持っていけ。今、火を着けてやる。」
と言って火球で松明に火を着けると、カイルとプルムは洞窟に入っていく。
洞窟に入るとプルムは
「聖なる光」
と唱える。
するとプルムの頭上に光の玉は浮かび上がり、洞窟の中を照らす。
洞窟の中は意外に広く、左右にいくつかの部屋のようになっているところがある。
しばらく歩いたところで、通路の陰からオークが一匹、プルムに襲い掛かる。
すかさず、カイルが身を挺してプルムを守ると、剣をオークの胸に突き刺し倒す。
プルムは
「カイルさん、大丈夫ですか?今のあなたは弱いんですから無茶しないで下さい。あのくらいの攻撃、私なら躱して反撃できましたのに。」
と言う。
カイルは
「すまない、今ならプルムの方が強いと分かっていても、つい体が勝手に庇ってしまうんだ。気を付けるよ。」
と言う。
一方、洞窟の外ではオークの群れが帰って来ていた。
グスタフが
「おやっさんは弓で援護してくれ!エレオノーラは魔法で援護頼む!」
と言うとブライアンは
「分かりました!」
と言って弓を構える。
エレオノーラは
「任せておけ!」
と言って
「雷光の槍」と唱え、
先頭から後方のオークまで一直線に数匹をまとめて倒す。
グスタフは大きな戦斧を振り回して接近してくるオークを薙ぎ払う。
レティシアもドラゴンクローで引っ搔いたり、突き刺したりして立て続けに数匹を倒す。
クレアは
「さすがはカイル遊撃隊!私も負けてらんない!」
と言って、先頭のオークの腹を突き刺し、抜いた剣で、すかさず左隣りのオークを袈裟切りにして、返す刀で右隣りのオークを薙ぎ払う。
その戦いぶりを見たグスタフ、レティシア、エレオノーラは
(今のカイルより強い!)
と感心する。
洞窟の中では、カイルとプルムが一番奥の部屋の前に辿り着いた。
部屋の前には見張りのオークが二匹。
カイルが
「見張りがいるってことは、この扉の向こうに何かあるって事だな。」
と言うと、プルムが
「そうですね。おそらく捕らわれた女性がいるんだと思います。」
と返すと、カイルは
「一匹頼む!」
とプルムに言うとオークに向かって突っ込む。
オークに殴られながらも剣を突き刺し倒す。
倒れたオークにとどめを刺して
(やっぱり人型の生き物を殺すのは、まだ抵抗感があるな・・・・・・。)
と思いながらプルムの方を見ると、フレイルで殴りつけて息の根を止めていた。
カイルが
「さすがだな。」
と声をかけると、傷を追ってるカイルを見たプルムが
「傷の手当てをしましょう。」
と言うが、カイルは
「いや、かすり傷だ。先を急ごう。」
と言ってドアを開けようとする。
「鍵がかかってる。」
と、ドアをこじ開けようとするが、簡単には開かない。
プルムがオークの死体を探り鍵を見つける。
「これを。」
と言ってプルムがカイルに鍵を渡す。
鍵は二本ついてるがそれぞれ違う鍵の様だ。
カイルがその内一本を使って鍵を開けると、ドアが開いた。
部屋の中からは生臭い臭いが漂ってくる。
部屋の壁沿いに捕らわれた村の娘たちが、両手を上に、足はM字に開かれた状態で全裸で拘束されている。
娘たちの前には溝が掘ってあり、奥の壁の向こうに続いている。
カイルが
「この溝はなんだ?」
と言うとプルムが
「これはおそらく、小水を部屋の外へ流すための溝だと思います。壁の向こうにまだ洞窟が続いていて、そちらに排泄物を排出するようになってるんだと思います。」
と言い、それを聞いたカイルが
「なるほど。」
と言って、拘束されいる娘の後ろを見ると、大便用と思われる穴が開いている。
「だからこの部屋だけ、岩肌がむき出しじゃなく、人工の壁に覆われてるのか。」
と関心たように言うと、プルムが
「多分、この部屋の奥の洞窟は低くなっているか地底湖に続いていて小水は部屋の中の溝を伝って、大きい方は壁の外にある溝を伝って排出することによって、排泄物が部屋の中に溜まらない様にしてるんだと思います。」
と言うとカイルが
「そうして出産するまで食事を与えて生かしておくって事か。」
「よし!拘束を外して、みんなを助けよう!」
と言って拘束具を外そうとするが、金属でできた拘束具は外れそうもない。
そこでカイルがもう一本の鍵を使うと拘束具が外れた。
「そうか、この鍵はこれの鍵だったのか。」
と言うとカイルは、プルムに鍵を渡し、
「拘束具の解除は任せた。」
と言って部屋から出て行ってしまう。
「カイルさん!何処へ行くんですか!?」
とプルムが言うが、カイルは
「ちょっとな!」
と言って、走って行ってしまう。
プルムは仕方なく、順番に鍵を使って拘束具を外していく。
その頃、洞窟の外では異変が起きていた。
上空を三匹の魔物が飛んでいる。
「あれは、ドラゴン!?」
とクレアが言うと、レティシアが
「あれはワイバーンだ。」
と答える。
クレアが
「ドラゴンとは違うんですか?」
と聞くとエレオノーラが答える。
「種類にもよるが、ドラゴンは基本的に四肢とは別に翼があるがワイバーンは前肢、すなわち前足が翼に進化しているので足は二本しかないんだ。強さもドラゴンよりは下だな。」
ブライアンは
「何でこんなところにワイバーンが・・・・・・!?」
と驚きと恐怖の表情で狼狽える。
するとワイバーンの一匹が急降下してオークを捕食する。
エレオノーラが
「なるほど。オークを餌だと認識して追ってきたんだ。」
と言うと、他のワイバーンも次々降下してオークを捕食する。
オークたちはワイバーンを恐れ、散り散りに逃げ惑う。
ブライアンは
「このまま、ワイバーンがオークを食べてくれれば、ワイバーンは満腹になって帰り、オークもほとんどが死滅するのでは!?」
と言うと、グスタフが
「いや。ワイバーンが満腹にならなければ次は俺たちの番だし、満腹になって一旦帰っても、次からここまで餌を探しに来るし、オークが全滅すればそのまま次は村を襲うようになるかもしれん。ここで倒してしまうべきだ。」
と言う。
それに対してブライアンが
「しかし、相手がワイバーンでは、そう簡単には・・・・・・。」
と言うと、グスタフは
「俺たちは魔王も倒したカイル遊撃隊だぜ!」
と言うと、
「スキル:トマホーク・ブーメラン!」
と言って戦斧をワイバーン向かって投げつける。
回転しながら飛んで行った戦斧はワイバーンの一匹を撃ち落とす。
グスタフは戻ってきた戦斧をキャッチして墜ちてきたワイバーンに向かって突撃し、ワイバーンの首を切り落とす。
続いて、エレオノーラが呪文を唱える。
「雷光電撃!」
上空から雷がワイバーンの一匹を貫き、地上のオークを数匹巻き添えにして感電死させる。
レティシアが
「私も負けてらんない!」
「スキル:百歩神拳!」
光を帯びた気の弾がワイバーンの残り一匹を捉える。
ダメージを受けたワイバーンが墜ちてくると
「スキル:スクリュードライバー!」
手に装備したドラゴンクローをワイバーンに向けて全身を錐揉み回転させて突っ込みワイバーンの体を貫く。
クレアは
「凄い・・・・・・。」
ブライアンは
「なんて強さだ・・・・・・。」
と言って驚愕する。
グスタフが
「残りのオークも一気に片付けようぜ!」
と言うと、グスタフ、レティシア、エレオノーラは残りのオークに総攻撃をかける。
洞窟の奥の部屋では、全員の拘束具を外したプルムがカイルを待っている。
そこへ、カイルが何やら荷物を抱えて戻ってくる。
プルムが
「何処へ行ってたんですか!?」
と怒り気味に聞くと、カイルは
「すまない、何か体にまとうものを探してたんだ。」
と言って、荷物を降ろす。
布やら服やら、娘たちが体にまとえるようなものが複数あった。
「裸のままじゃ、皆、村へ帰ってから好奇の目に晒されるだろ。だから、何か服や体にまとえる布何かを探してきたんだ。」
プルムは
(自らの危険を顧みず、捕らわれた娘たちの事をを考えて・・・・・・。以前のカイルさんなら考えられない・・・・・・。)
と思い驚く。
一人一人に服や布を与えるが、一人分だけどうしても足りない。
カイルは
「足りなそうだから、オークの死体の服まで剥ぎ取ってきたんだが、それでも足りないか・・・・・・。」
と言いながら、上半身の鎧を外し、下に着ているギャンベゾン(鎧の下に着るパッド入りの防御ジャケット)を脱ぎ、
「ちょっと思いかもしれないけど」
と言って鎧を上半身に着せ、ギャンベゾンを腰に後ろから回して前で袖を縛り
「これで前を隠しな。」
と言って盾を渡す。
プルムは
「カイルさん・・・・・・。」
と呟いて、感動している。
カイルはプルムに
「俺が殿を務めるから、先導してくれ。」
と言い、助けた娘たちにプルムに付いて行くように促す。
洞窟の中をしばらく歩き、プルムが外に出ると、それを見てグスタフが声をかける。
「よう!上手く助けられたみてぇだな。こっちももう片付いてるぜ!」
それを聞いてプルムは安心しつつ
「そちらは大変だったみたいですね。」
と言うとグスタフは
「なぁに、大したこたねぇよ。」
笑顔で返す。
レティシアが
「じゃあ、村に帰ろうか。」
と言うとエレオノーラがブライアンに言う。
「ブライアンさん、クレアと先導してください。我々は念の為、後方を守ります。」
それに対してブライアンは
「分かりました。よろしくお願いします。」
と言って、ブライアン、クレアを先頭に、間に娘たちを挟んで、カイルたちは後方を警戒しながら付いて行く。
村までの道すがら、グスタフがカイルに話す。
「クレアなぁ、今のお前さんより強いぜ。」
「何っ!?そりゃあ益々、クレアの前じゃ戦えないな・・・・・・。」
一方、プルムがレティシアとエレオノーラに話す。
「カイルさん、皆が裸なのを気遣って、危険を顧みず、洞窟の中を一人で服を探しに行ったんですよ。しかも足りない分は自分の鎧と服を着せて。」
エレオノーラが
「それでカイルの鎧着て盾持ってる子がいたのか。」
と納得する。
レティシアは
「カイル、そこまで変わったんだ・・・・・・。以前なら考えられないな。本当に別人みたいだ。」
と感心する。
村に着くと、娘たちはカイルたちに礼を言って家へ帰っていく。
それを見送ったカイルはエレオノーラの問う。
「なぁ、あの子たち、大丈夫かな?」
それに対しエレオノーラが答える。
「一晩中オークたちに無理矢理犯されてトラウマもあるだろうし、おそらく妊娠してしまってるだろうから出産するまでは苦しみが続くかもな。」
カイルが
「中絶とかできないのか?」
と聞くと
「チュウゼツ?」
とエレオノーラには通じてない。
カイルは言葉に困りながら
「死産というか・・・・・・堕胎というか・・・・・・生まれる前に何とかできないのか?」
と聞くとエレオノーラは
「そんなことはできないと思うが・・・・・・?」
と答える。
カイルはしばらく考えて
「鬼灯ってあるか?」
と聞くと
「あるにはあるが、それがどうした?」
とエレオノーラが聞き返す。
カイルが
「鬼灯には堕胎・・・・・・出産する前に胎児を殺す作用があるらしいんだ。俺も詳しいことは分からないんだが・・・・・・。」
と言うとエレオノーラは
「何でそんなこと知ってるんだ?」
と聞く。
カイルは
(前にテレビで見たんだよな)
と思いながら
「前に聞いたのを思い出したんだ。」
と答えた。
エレオノーラは驚いて
「記憶が戻ったのか!?」
と聞く。
カイルは慌てて
「い、いや、それだけ思い出したんだ。それ以外は何も・・・・・・。」
と取り繕う。
エレオノーラは安心したように
「そうか。知り合いの薬師に相談してみよう。手紙を書いて駐屯兵舎に預けておけば伝達人が明日には王都の薬師に届けてくれるだろう。」
と言うとカイルは
「すまない。ありがとう。」
と言いながら
(伝達人?ああ、あの郵便屋みたいな人か。)
と納得すると、皆で宿屋へ向かう。
クレア・エリオット
18歳 164cm 86-58-85 Dカップ
バロン村に住むブライアンの一人娘。
カイルが一年前にバロン村が魔物に襲撃された際に撃退の依頼を受けたカイルの戦いぶりを見て憧れ、剣士になり冒険者を目指す。
元のカイルの性格の悪さを知らない為、カイルの事を「カイル様」と呼び慕っている。
レティシアの事も“こんな姉がいたら良かった”と「お姉さま」と呼んで同じく慕っている。
使用武器:銅の剣→バスタードソード→後にドラゴンキラー
セドリック・ジョーセフ
73歳 167cm
バロン村の長老
オーク
ブタの顔をした人型の魔物。
身長は平均160cm。
繁殖についてはゴブリンと同じく、基本的にオスしかいない為、人間の女性を攫って監禁・凌辱し、孕み袋として繁殖する。
オークによって妊娠させられると半年ほどで出産、また妊娠するまで犯される。
生まれてくる時はハーフではなく純粋なオークとして生まれてくる。
女性が妊娠できなくなると食料として処分される。
妊娠期間も短く出産後する妊娠させる上、成長も早いため人間よりも繁殖力がある。
稀に上位種であるオークキングが生まれる事がある。
劣性遺伝子として普段表に出ない特徴が出ると生まれてくるらしい。
人間の言葉を理解できないので基本的には意思疎通はできない。
武器は棍棒、人間から奪った剣等。
ゴブリンと似た生態をしているが身体も大きく力もあり、ゴブリンと比べれば多少は頭が良い。
しかし、ゴブリンと同じく人間の言葉を理解できないので基本的には意思疎通はできない。
ワイバーン
前肢が翼になっている翼竜に近い魔物。
個体差はあるが、頭から尾の先までま7m前後が平均。
ゴブリンなどの魔物や人間を餌にする。
特殊攻撃はできず、嚙みつきや後肢の爪での攻撃のみ。