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-第18話 吸血鬼城-

 村の水源が確保できた翌日、カイル遊撃隊一行はノンブリルの町の宿屋の一階にある食堂に集まっていた。

 カイルが

「一昨日の情報集で分かったことがあったんだって?」

と聞くとグスタフが

「ああ。現状こんな感じだ。」

と言って紙を出す。


・ドラゴンの牙


・光の護符

ノンブリルの町の商人バジム・カバエフが持っている


・緋の宝珠


・黄金の実


・破魔の短剣


・賢者の石

大陸南部を中心に回っている行商人が持っていた


・銀の聖杯


・ユニコーンの角


・魔除けの指輪

カリッサ村の北にある吸血鬼の城のバンパイア・ロードが持っている

詳しい話はカリッサ村のクレメントという男が知っている


・照魔鏡

以前、マジーアの町に住んでいた“モーリッツ”という魔導士が持っていたが、数年前に町を出て消息不明



カイルは

「なんだ、光の護符はこの町にあるのか。で、カリッサ村っていうのは何処にあるんだ?」

と聞く。

エレオノーラが

「カリッサ村ってのはここから西にちょっと行ったところにある村だ。」

と答えるとカイルは

「光の護符は持ち主がこの町の商人で名前も分かってるなら焦る必要はない。カリッサ村へ行ってみよう。」

と言うと皆納得し、出発準備を整える。

そこへドロシーが水路が完成した事について報告とお礼を言いに来た。

カイルは

「これからカリッサ村へ行って、その後、吸血鬼の城へ向かうんだが一緒に来るか?」

と聞く。

するとドロシーは

「分かった。一緒に行こう。」

とドロシーも一緒に行くことになった。

 カリッサ村へ着くとクレメントという男を探し話を聞くことにする。

クレメントは

「あなた方がカイル遊撃隊ですか。お噂はかねがね。先ずはこちらにお掛け下さい。」

と言って着席を薦められる。

大きめのテーブルに椅子が左右に四脚ずつ前後に一脚ずつあり、奥の席にクレメント、左右の席にカイル遊撃隊一行が着席する。

クレメントが

「吸血鬼の城について聞きたいという事ですね?」

と念を押すとカイルが

「はい。お願いします。」

と答える。

クレメントは

「長くなるかもしれませんが、順にお話ししていきましょう。」

と前置きした上で話し始める。

「先ず、吸血鬼の城ですが、一年ほど前に魔王軍の前線基地として建築されました。その時から城主のバンパイア・ロードが守っています。」

「城の構造は南北に対称になっていて入口は北と南に一つずつ。南北はそれぞれ独立していて南北を行き来出来るのは中央のバンパイア・ロードの部屋のみです。」

「今まで何組もの冒険者パーティーが挑みましたが、ことごとく返り討ちにされました。その原因の多くは来たにいるインキュバスと南にいるサキュバスです。それらの持つ魅惑ファシネーションというスキル。魔法にも魅力チャームというのがありますが、その効果は魅惑ファシネーションの比じゃありません。スキルが発動してしまえば異性に対してほぼ百パーセントの確率で操られてしまいます。」

「最初に挑んだ冒険者パーティーは男性三人、女性三人のパーティでしたが、南側から入り、サキュバスに出会ったところで男性三人が魅了され女性メンバー二人を殺してしまったんです。魔法使いの女性は転移の魔法で命からがら逃げてきましたが。」

「それで次に挑んだパーティーは北側から入ったんですが同じように女性メンバーである戦士と魔法使いが魅了され男性メンバーを殺してしまったんです。その際も盗賊の男性メンバー一人が重傷を負いながらも何とか逃げおおせました。」

「それならと男性のみの強力なメンバーを揃えて北側から向かったんですが、バンパイア・ロードの部屋の前まで辿り着きながら部屋に入ることができず、次々と押し寄せる魔物に戦力を削られ、同じように一人だけが何とか逃げかえってきただけで残りは全滅でした。」

「生き残った者たちの話を聞くと、バンパイア・ロードの部屋に入るには南北のドアを同時に開けなければドアが開かない仕組みになっているとのことです。」

そこまで聞いたグスタフは

「離れている南北のドアを同時に開けるって難しくないか?」

と疑問を口にする。

クレメントが

「同時と言っても寸分たがわず同じ時にという事ではなく、先に着いた方がドアを押していれば、後から着いた方がドアを押せば両方が開くそうです。」

と答えるとグスタフは

「なるほど。」

と納得する。

クレメントは続けて話す。

「その後も数々のパーティーが二つ以上のパーティーが協力したりなどして男女分かれて南北から挑んだんですが、男女で戦力差が出てしまったりして結局誰も攻略出来ませんでした。そもそも魔王の右腕と言われたバンパイア・ロードの城です。並みのパーティーではインキュバスやサキュバスの所へたどり着くのも難しいんです。流石のカイル遊撃隊の皆さまでも一筋縄ではいかないかと・・・・・・。」

カイルが

「どちらにせよ、バンパイア・ロードが魔除けの指輪を持ってるっていうんなら行くしかないな。」

と言うとドロシーが

「何で魔物が“魔除け”の指輪なんて持ってるんだ?」

と聞いてくる。

エレオノーラが

「魔物にとって忌むべきアイテムだからこそ世に出ない様に保管してたんだろう。破魔の短剣も魔王の部下であるミノタウロスが保管していたからな。」

と答える。

それを聞いてドロシー納得する。

 カイル遊撃隊一行は馬車で城へ向かい南側で女性陣を降ろし、男性陣は馬車で北側へ回る。

それぞれが入口の扉を開けて城の中に入っていく。

城に入ると大型の魔物が自由に動けるようにか、通路もかなり広く作られているのが分かる。

その通路の奥から魔物が現れる。

グスタフは

「グールとバンパイアか。」

と言って特攻、戦斧で横に一閃、多数の魔物を薙ぎ倒し、スキル:トルネードアックスで回転して魔物を切り刻みながら魔物の群れに突っ込んでいく。

クインは感心しながらも強化系魔法でカイルとグスタフを強化する。

トルネードアックスを躱して近づいてくる魔物をカイルが一体一体確実に倒し、クインに魔物が近づかない様にする。

 一方女性陣の方には多数のオーガと二体のサイクロプスが現れる。

エレオノーラが

猛火レイジングファイア!」

と呪文を唱えると炎が多数の魔物を巻き込んで燃え上がる。

生き残った魔物をレティシア、クレア、ドロシーが倒していく。

すべて倒してひと段落した時にプルムが言う。

「バンパイア・ロードの城だからもっとアンデッドが多いのかと思ったんですけど・・・・・・。」

それに対してエレオノーラが

「南側はサキュバス対策に女性が入ってくることを想定している。女性が多い=後衛職が多いって事で力でねじ伏せる様な魔物を多く配置しているんだろう。おそらく、アンデッドは北側に多く配置しているんだと思う。ま、どんな敵であれ、向こうにはカイルとグスタフがいるし、こっちには私とレティシアがいる。全て蹴散らして進むだけだ。」

と返す。

ドロシーは

「やっぱり、あんたらは凄いわ。」

と感心する。

エレオノーラの言葉通り、男性陣はカイルとグスタフが連携して次々と魔物を倒していく。

女性陣の方はレティシアとドロシーが前衛、クレアを中衛に、エレオノーラとプルムが後衛という布陣でレティシアの格闘技とエレオノーラの攻撃魔法を中心に次々と魔物を倒していく。

 男性陣はインキュバスの部屋に到着する。

カイルが

「お前がインキュバスか?」

と聞くとインキュバスが答える。

「そうだ。たった三人でここまで来るとは中々やるようだ。だが女を連れてきてしまったのが運の尽きだ!スキル:魅惑ファシネーション!」

しかしクインが

「僕は男です!」

と怒って叫ぶとインキュバスは

「何っ!?」

と怯む。その一瞬の隙を逃さずカイルがインキュバスを切りつける。

インキュバスは

「ぐっ!」

と呻いて後ろに下がり

「ではこれならどうだ!」

と言うと、人間ヒューマンの女性戦士と女性魔法使いが現れる。

インキュバスは二人に向かって

「侵入者を排除せよ!」

と命令する。

すると女性戦士が槍で襲い掛かる。

カイルは攻撃をかわしながら

「これってもしかして二番目に北側から入った冒険者パーティーか!?」

と言うとインキュバスは

「そうだ。男の冒険者は人間の女に対して攻撃するのを躊躇するし、二人は中々強いんでそのまま使役しているのだ。サキュバスの方は用が済むと殺してしまうらしいがな。」

と答える。

カイルは

(確かに、インキュバスのスキルで操られているだけの生きている人間の女性を攻撃するのは気が引ける。)

と思いながら策を考えていた。

 一方、女性陣もサキュバスの部屋に着いていた。

サキュバスは

「女だけのパーティーでここまで来るとは、バランスの取れたパーティーみたいね。でも魅惑ファシネーションが効かないからって私に勝てると思わない事ね。」

魔物召喚サモニングモンスター!」

床に光る魔方陣が浮かび上がりゴブリンが数十匹召喚される。

「ゴブリンどもに蹂躙されて泣きわめく姿を見せて頂戴!」

と言ってゴブリンをけしかける。

 男性陣の方ではカイルが女性魔法使いの服を剣で切り刻み、下着を剥ぎ取る。

女性魔法使いは

「きゃあ!」

と叫び声をあげて胸と股間を隠しへたり込む。

カイルはグスタフに

「戦士の方を抑え込んでくれ!」

と言うとグスタフは

「分かった!」

と言って女性戦士を抑え込む。

その隙にカイルが女性戦士の鎧を剥いで下着も脱がす。

すると女性戦士の方も胸と股間を隠してへたり込む。

インキュバスは

「な・・・・・・!?」

と言葉にならない程、動揺する。

カイルは手負いのインキュバスに近づき、

「お前の能力が“洗脳”じゃなくて“魅惑”で良かったよ。」

と言うとインキュバスは

「そういう事か!」

と納得する。

女性たちは洗脳されているわけじゃなくてインキュバスに魅了されて命令に従っているだけなのでインキュバス意外に者に裸を見られるのは恥ずかしいという意識があるのだ。これが洗脳であれば女性たちは裸を見られることなど気にせず命令を遂行していたであろう。

カイルはその隙を突いたのだ。

インキュバスの左肩から右脇腹に掛けてカイルの剣が抜ける。更にグスタフの戦斧がインキュバスの頭部を縦に真っ二つにして、インキュバスは息絶える。

 女性陣の方はサキュバスが召喚したゴブリンを一掃していた。

サキュバスは

「まだまだこれからよ!」

と言ってトロールを複数召喚する。

レティシアが

「今度はトロールか!」

と言って召喚されたばかりのトロールをドラゴンクローの一突きで倒す。

続いてクレアとドロシーもトロールを倒していく。

エレオノーラが

大火コンフラグレーション!」

と呪文を唱えるとトロールたちを炎が包む。

トロールが全滅すると次はオーガが召喚される。

エレオノーラが猛火レイジングファイアで全滅させる。

次はやたらと頭と腕の多い巨人が一体、召喚される。

エレオノーラが

「ヘカトンケイルか。」

と言うとドロシーは

「何だそりゃ?」

と聞く。

エレオノーラが

「見ての通りの巨人だよ、。五十の頭と百の腕を持つと言われているが、流石にそこまでじゃない様だ。十五の頭と三十の腕といったところか。」

と言うとクレアは多数の腕の攻撃を躱しながら

「五十でも百でも腕が全方位に攻撃できるのは変わらないですよ!」

と言う。

エレオノーラは

「いや、腕が多すぎて自分の足元は見えないはずだ。足元を狙え!」

と言うとサキュバスは

「流石だね!じゃあ追加召喚だよ!」

と言って、インプと呼ばれる小悪魔を多数召喚し、ヘカトンケイルの足元を守らせる。

「紅蓮のクリムゾンフレイム!」

とエレオノーラが呪文を唱えるとサキュバスは

「こちらはまだまだ召喚できるのよ!こんな調子でMPがもつかしらね?」

と笑って言う。

するとプルムが

「だったら私が攻撃に転じるまでです。」

と言うと

「女神の裁き(ゴッデスジャッジメント)!」

サキュバスを巨大な雷が貫きサキュバスは絶命する。

残りの敵もエレオノーラの紅蓮のクリムゾンフレイムで全て焼き尽くされた。

ドロシーがプルムに

「そんなのがあるんだったら早く出してくれよ。」

と言うと苦笑いするプルムの横からエレオノーラが

「プルムには極力サポートと回復に徹してもらうようにしてるんだ。この後、バンパイア・ロードとの戦いもどうなるか分からないからな。」

と答えるとドロシーは

「そうだな。」

と納得する。

レティシアが続けて

「攻撃は誰でもできるが回復はプルムしかできない。まぁクインも多少はできるようだが。だからプルムのMPは温存しておかなきゃいけないし、一番守らなきゃいけないのはプルムなんだ。回復役がいなくちゃピンチの時に体勢を立て直せないからな。」

と言うとドロシーは

「私の考えが浅かったよ。もしもの時は回復頼むな。」

とプルムに言う。

プルムは

「はい、もちろん。」

と笑顔で返す。

 男性陣の方ではグスタフがドアを押しながら待っている。

しばらくするとドアが開く。女性陣の方もドアを押したからだ。

カイルは女性戦士と女性魔法使いに声をかける。

「バンパイア・ロードを倒して必ず迎えに来るから、そこを動かないで待ってろよ!」

女性二人は

「分かりました。」

と弱々しく答える。

部屋に入るとドアが自動的に閉まる。

男性陣から見て右側、女性陣から見て左側の奥の玉座に高貴そうな服を着た男が一人座っている。

カイルが

「お前がバンパイア・ロードか?」

と聞くと男は

「そうだ。多大な犠牲を払ってここまで来たのか、最初からこの人数だったのか・・・・・・。後者だとすれば大したもんだ。」

と言って立ち上がる。

カイルが

「最初からこの人数だ。」

と答えるとバンパイア・ロードは

「ほう・・・・・・それは大したもんだ。この部屋に人間が入ってくるのは初めてだ。歓迎しようじゃないか。」

と言うと

暗黒猛吹雪ダークネスブリザード!」

と呪文を唱える。

カイルたちを猛吹雪が襲う。

全員が結構ダメージを受けてしまった為、プルムとクインが回復に徹する。

エレオノーラが

「ヤツの直接攻撃に気をつけろ!」

と言うとカイルが

「どういうことだ?」

と問う。

エレオノーラが

「ヤツの直接攻撃にはポイズン麻痺パラライズ生命力低下エナジードレインの効果がある。」

と言うとカイルは

生命力低下エナジードレイン?」

と聞く。

それに対してエレオノーラが

生命力低下エナジードレインの攻撃を喰らうと、HPとはまた違った生命力の様な物が吸い取られ、ろくに動けなくなり、完全回復するには数ヶ月はかかる。」

と答えるとカイルは

「迂闊に近づけないって事か・・・・・・。」

と返す。

エレオノーラが続け言う。

「だからと言って、ヤツには魔法はほとんど効かないから遠距離戦も現実的じゃないぞ。」

するとグスタフが

「俺たちに任せろ!」

と言ってグスタフがトルネードアックス、レティシアが百歩神拳のスキルを放つ。

しかしバンパイア・ロードは巧みにかわす。

バンパイア・ロードは

「遠距離物理攻撃など私には当たらないぞ。さぁ。近寄って来い。」

と不敵に笑う。

ドロシーが

「私が行こう。」

と前にでる。

「スキル:影分身」

ドロシーは分身を作りながらバンパイア・ロードにゆっくり近づいて行く。

バンパイア・ロードは

「そこか!?」

と言って右手の爪で攻撃を仕掛けるが、その攻撃は空を切る。

ドロシーは

「獲った!」

と言って短剣でバンパイア・ロードの喉を切り裂き、反撃を喰らわない様に飛び退く。

バンパイア・ロードは

「くっ!」

と言って顔をゆがめるがアンデッドなのでその程度では倒せない。

バンパイア・ロードは

「私を怒らせたな・・・・・・。」

と言って右手を突き出し

暗黒衝撃波ダークネスショックウェーブ

と呪文を唱えるとドロシーが

「うわっ!」

と悲鳴を上げ吹っ飛ぶ。

カイルが

「喉を掻き切られても喋れるのか・・・・・・?」

と言うとバンパイア・ロードは

「良いところに気が付いたな。私はアンデッドなんで、元々呼吸をしていない。発声の仕方が違うんだよ。」

と答える。

カイルは

「何から何まで常軌を逸してるって事か・・・・・・。」

と呟くとエレオノーラに

「魔法は聞かないって言ったな?」

と聞くとエレオノーラは

「百パーセントではない。でも自分に向けられた魔法は攻撃魔法でも睡眠スリープでも魔法封じ(マジックプレヴェント)でも高確率で無効化してしまう。十回魔法を繰り出しても一回当たるかどうか・・・・・・。MPを考えれば魔法で倒すのはほぼ不可能だ。」

と答える。

カイルは少し考えるとエレオノーラに

「俺が突っ込むから風の攻撃魔法で俺の身体を包んでくれ!」

と言う。エレオノーラは

「それじゃお前の身体がボロボロに・・・・・・!」

と言うがカイルは

生命力低下エナジードレインを喰らうよりマシだ!」

と言って突っ込む。

エレオノーラは

「また無茶を!」

と言いながらも

「旋風のホワールウィンドブレイド!」

と呪文を唱える。

カイルの身体を旋風の刃が包む。

バンパイア・ロードはカイルに攻撃しようと手を伸ばすが旋風の刃に切り刻まれ、慌てて手を引っ込める。

カイルはバンパイア・ロードの胸を剣で突き刺す。

バンパイア・ロードは剣を抜こうと両手で剣を掴むが、そのまま壁まで突進、バンパイア・ロードの身体ごと剣を壁に突き刺す。

バンパイア・ロードが身動きできないのを見て取ったグスタフも突進、戦斧でバンパイア・ロードの首を切り落とす。

同時にレティシアがバンパイア・ロードの腹部をドラゴンクローで切り刻み内臓が飛び出る。

床に落ちたバンパイア・ロードが

「バカな・・・・・・。」

と言うと、カイルは

「やはり、自分に向けられた魔法以外は無効化できなかったようだな。そうじゃなきゃ、自分の近くに敵がいる時にその敵に仲間が援護の為に放った魔法まで無効化してしまうかもしれない。それじゃ本末転倒だ。だから自分に向けられた魔法以外は無効化できない。すなわち俺に向けられた魔法は無効化できないと思ったんだ。」

バンパイア・ロードは

「そうか・・・・・・。」

と言うと息を引き取る。

カイルが部屋の隅を見ると宝箱がある。

カイルは

「クイン、ドロシーを治療してやってくれ。」

と言うとクインは

「分かりました!」

と言ってドロシーを治療する。

プルムはカイルの治療をする。

回復したドロシーが宝箱を見て言う。

「罠が仕掛けられるな。おそらく爆弾だ。万が一守り切れなかった時はアイテムごと爆破しようと思ったんだろう。」

カイルが

「外せるか?」

と聞くとドロシーは

「おそらく。」

と答える。

ドロシーが

「みんな、少し離れていてくれ。大丈夫だと思うが万が一という事もある。それほど範囲は広くないと思うが威力は強そうだ。」

と言うと、爆発しても巻き込まれない様に皆、少し離れる。

しかしカイルは離れない。

ドロシーは

「カイル、少し離れてくれ。もし爆発したら巻き添えを食うぞ。」

と言うがカイルは

「もし、そんな事になれば瞬時にお前を庇う。その為に俺はここにいる。俺はHPは高いから多分大丈夫だ。」

と言う。

ドロシーが

「そんな事言われたら絶対失敗できないってプレッシャーになるじゃないか。」

と言うとカイルは

「お前が失敗するなら、誰がやっても失敗する。気にするな。いつも通りにやればいい。」

と返す。

ドロシーは

「分かった。必ず開ける!」

と言って罠を外し始める。

少ししてカチッと音がして罠が外れ、宝箱が開く。

カイルが中を見ると魔除けの指輪らしき指輪が入っている。

カイルが指輪を持って

「クイン、これを鑑定してくれ。」

と言うとクインは

「分かりました!」

と言って鑑定する。

クインが

「これは百パーセント、魔除けの指輪で間違いありません。」

と言うと

皆から

「やった!」

と声が上がる。

魔除けの指輪を手に入れたカイル遊撃隊一行。

カイルは北側にいる女性戦士と女性魔法使いにバンパイア・ロードから剥ぎ取ったマントを剣で二枚に割いて掛けてやる。

二人を連れて城を出て馬車でカリッサ村に帰る。

女性戦士と女性魔法使いは、自分たちが殺してしまった仲間や他の冒険者たちの供養をすると言って去って行った。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

アニータ・カルローネ、セルマ・パーソネン

アニータ 身長168cm 87-58-88 Dカップ

セルマ  身長162cm 85-56-86 Cカップ

女性戦士と女性魔法使い

バンパイア・ロードの城に二番目に攻略に向かって北側から入ったパーティーのメンバー。

インキュバスの魅惑ファシネーションで魅了され、仲間のパーティーメンバーを殺した後、そのままインキュバスに使役していた。

インキュバスに惚れてただけなので、普通に命令は聞くが、カイルに服を剥ぎ取られるとインキュバス以外に裸を見られたくないという羞恥心から無力化。

カイルたちに助けられ、カリッサ村に帰ると、自分たちが殺してしまったパーティーメンバーや他の冒険者たちの供養をすると言って村を去る。


クレメント・ベナーク

40歳 身長167cm

カリッサ村の住人。

バンパイア・ロードの城の事を詳しく知ってる。ただそれだけの男。


バンパイア

平均身長170cm。

所謂、吸血鬼でアンデッド。

バンパイア・ロードと同じくポイズン麻痺パラライズ生命力低下エナジードレインの特殊攻撃があるが、通常のバンパイアの場合、生命力低下エナジードレインは噛みついて吸血しないとできない。


ヘカトンケイル

身長4m。

五十の頭と百の腕を持つと言われるが、実際には頭は15、腕は30ほど。身体中から腕が生えているので、15も頭がありながら自分の足元は見えない。

文字通り“手数”で押すパワータイプなのでまともに接近戦をすれば無類の強さを発揮するが、攻略の仕方次第で見かけほどの難敵ではない。


インプ

平均身長80cm。

背中に翼の生えた小悪魔。

見た目的には小型のガーゴイルといった感じ。

ハッキリって雑魚だが、ヘカトンケイルの足元を守らせるには丁度良かった。


サキュバス・インキュバス

身長 サキュバス 170cm

    インキュバス 180cm

サキュバスは女性、インキュバスは男性の淫魔。

それぞれ異性を魅惑ファシネーションのスキルで下僕と化す。

インキュバスの方は最初に魅了した女性戦士と女性魔法使いをそのまま使役していたが、サキュバスの方は「男の冒険者なんていくらでもいる」と、用が済むと殺してしまっている。

魔物としてはそれなりの力を持っているが、魅惑ファシネーションのスキルに頼り、過信してしまった為、油断が生じて倒される。


バンパイア・ロード

身長180cm

バンパイア系の最上位種のアンデッド。

魔王ルシファーの右腕と称される。

バンパイアが見るからに異形の魔物であるのに対し、高貴な服装に身を包み人間に近い外見をしている。

知能が高く、呼吸をしていない為、発声方法は違うが人間の言葉を話せる。

高位の闇属性魔法を使う事が出来る。

物理攻撃にはポイズン麻痺パラライズ生命力低下エナジードレインの効果がある。

動きも素早く、かなりの難敵。

カイルの奇策が無ければ間違いなく苦戦を強いられただろう。

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