-第17話 水源確保-
ノンブリルの町の宿屋で打ち合わせするカイル遊撃隊一行。
・ドラゴンの牙
・光の護符
・緋の宝珠
・黄金の実
・破魔の短剣
・賢者の石
大陸南部を中心に回っている行商人が持っていた
・銀の聖杯
・ユニコーンの角
・魔除けの指輪
・照魔鏡
以前、マジーアの町に住んでいた“モーリッツ”という魔導士が持っていたが、数年前に町を出て消息不明
「現状、この様な状況だ。」
とカイルが言う。
レティシアが
「光の護符と魔除けの指輪に関しては全く情報なしか・・・・・・。」
と言うとグスタフが
「賢者の石の行商人も照魔鏡のモーリッツっていう魔導士も何処にいるの分かんねえし八方塞がりだな。」
と言う。
プルムが
「まだこの町では情報収集してませんから、とりあえずここで情報収集してみるしかないですね。」
と言うとエレオノーラも
「そうだな。そうしないと動きようがない。」
と同意する。
そこへ一人の男が現れる。
「カイルさん!」
と声をかけてくる男を見てカイルが
「あんたはドロシーのとこの・・・・・・。」
と言うと
「そうです!名前はゲオルクって言います。実はお頭・・・・・・いや、村長の使いで来たんですが、村造りについて色々とご相談したいことがあるとのことでカイルさんに現地に来てほしいとの事なんですが・・・・・・。」
との事。
カイルが
「そうか・・・・・・。言いっ放しで丸投げって訳にもいかないし、行くか・・・・・・。エレオノーラ、一緒に来てくれるか?」
と言うとエレオノーラは
「構わないが、何で私なんだ?」
と聞き返す。
カイルは
「このメンバーで一番頭が良くて物知りだから。」
と答える。
エレオノーラが
「そういう事なら、分かった。でもそれならプルムもよく本を読んでるし、色々知ってると思うぞ。」
と言うとカイルは
「そうだな。じゃあ、エレオノーラとプルム、一緒に来てくれ。他の皆はここで情報収集しててくれ。」
と言う。
グスタフは
「三人だけで大丈夫か?」
と聞くがカイルは
「大丈夫だ。ゲオルク、行こう。」
と言って、馬車を借りて現地へ向かう。
現地に着くと建設予定地に柵が張ってある。
柵には看板が付いている。
カイルたちが馬車を降りてよく見ると看板には“カイル村”と書いてある。
カイルが
「カイル村!?」
と驚いてるとドロシーがやってくる。
「カイル!すまない、わざわざ来てもらって。」
とドロシーが言うとカイルは
「おい!カイル村って何だ!?」
と聞く。
ドロシーが
「あんたの発案なんだから発案者の名前を付けるのが当然だろ。」
と答える。
カイルが
「当然・・・・・・?なのか・・・・・・?」
と困惑しているとドロシーが
「まあ、中に入ってくれ。」
と言うので馬車を柵に繋いで柵の中に入る。
少し歩くとドロシーが下を見て言う。
「カイル、この土見てくれ。」
カイルが
「別に何の変哲もない土に見えるが?」
と言うと
ドロシーが
「この土、乾燥して痩せている。作物が育つかな?」
と問う。
カイルは
「そうだなぁ・・・・・・。」
と少し考えると
「そうだ!毎日ノンブリルの町の食堂や酒場に行って客の食べ残しや野菜くずとか、捨ててしまう物をもらって来い。」
と言う。
それを聞いたドロシーは
「私らが盗賊上がりだからって、残飯食べろとか流石に酷過ぎるだろ!」
と怒りを顕わにする。
カイルは
「そうじゃない。もらってきた残飯を地面に撒いて耕せば、十日ほどで腐って土に還り肥沃度が上がるだろ。それと、ジャガイモなら多少乾燥してても育つだろうし、そこそこ栄養もあって主食にもなり得るから、土壌が改善したら何人か王都に人をやって、種芋を買ってジャガイモの育て方のコツを教えてもらうんだ。そうすれば自給自足できるようになると思うし、余ったら売ればいい。」
と答える。
カイルの話を聞いてドロシーは
「さっすがカイル!やっぱり来てもらって良かったよ!」
と喜ぶ。
エレオノーラが
「あとは水源だな。水が無ければ人は生きられないし作物も育たない。」
と言うとプルムが
「この辺りだと井戸を掘っても水は出なそうですね。」
と言う。
それを聞いてドロシーは
「何か良い案は無いか?」
と問う。
エレオノーラが
「正確な位置は分からないが南の方へ行くと湖がある筈だ。そこから水を引けばいい。」
と言うと、ドロシーは手下の二人を馬で偵察に向かわせる。
プルムが
「湖から水を引けたら先ず、村に入ってすぐのところに大きな貯め池を造って、そこに小魚を入れて下さい。」
と言うとドロシーは
「それじゃ水が汚れちまうんじゃないか?」
と問う。
プルムは
「どちらにしても浄水は必要です。何者かが村の水源に毒を入れるという事も無いとは言い切れないですから、小魚を入れて毒が入ってることに気付けるようにしておくんです。その先で浄水施設を造るんです。」
と言う。
ドロシーは
「なるほど。湖から水を引いて村に入ったところで溜め池を造って小魚を入れておく。すると湖から村の溜め池の間に毒を入れられるような事があれば小魚が死ぬ。そしたら水の使用を止めれば村人に被害は出ないって事か。」
と納得する。
プルムが
「その上で、溜め池から先は部外者が水に何か混入できない様に水路には厳重に蓋をして浄水施設まで繋げます。」
と言うと続けてエレオノーラが
「浄水は煮沸と濾過で行う。浄水施設に入ったら水路を金属製にして広く薄くする。それを炭火で炙って煮沸する。その後、竹筒の下を布で蓋をして、砕いた炭の粉、きめの細かい砂、きめの粗い砂、小石、砂利と詰め込んで濾過器にする。濾過した水を高いところに作ったタンクに汲み上げ、そのタンクから金属製の筒を通して村の何か所かへ振り分ける。水の出口は栓をしておいて必要に応じて栓を外せばタンクからの圧力で水が出てくる。ただ、煮沸するための炭やタンクに汲み上げる為の人件費、浄水施設の管理や警備に費用が掛かってしまうがな。」
と説明する。
プルムが
「浄水施設に入る前にいったん濾過してそれを公衆浴場や水遊びのできる溜め池に振り分けて、それを有料施設にすれば浄水施設の費用も多少捻出できると思います。あとは税金か、水そのものを有料にするかですね。」
というとカイルは
「水が有料だと貧しい人は利用できなくなるから税金の方が現実的だな。」
と言う。
プルムもエレオノーラもカイルの言う事に納得する。
ドロシーは
「凄いよ!あんたら!これで本当にここに村ができる!」
と希望に満ちた表情で喜ぶ。
その他、村の建設や運営に関して話をしていると湖の偵察にいった手下が帰ってくる。
ドロシーが
「どうだった?」
と聞くと
「確かに湖はあったんですが、魔物がいて、このままじゃ水を引いてくるのは無理ですぜ。」
と答える。
ドロシーが
「そうか・・・・・・。」
と残念そうな顔をしているとカイルが
「よし!明日俺たちが行って退治してこよう!」
と言う。
ドロシーは
「それなら私も行く!村長としてこういう時に率先して動かなきゃ!」
と言う。
カイルは
「大丈夫か?」
と聞くとドロシーが
「言ったろ。元冒険者だって。魔物退治なら私も力になれる!」
と言うのでカイルは一緒に連れていく事にして、一旦、ノンブリルの町に帰る。
翌日、カイルは荷馬車をノンブリルの町の宿屋に預け、幌馬車で遊撃隊一行全員とドロシーを連れて件の湖に向かう。
湖の近くで馬車から降りる。
するとエレオノーラがプルムに小声で話す。
「ここでニンフやウンディーネと遭遇したら、またカイルが『戦いたくない』とか言い出すかもしれん。」
プルムが
「でもドリアードの時は大丈夫でしたよ。」
と言うとエレオノーラは
「あの時は木から変身したし、木の要素も強かった上に意思の疎通ができる感じじゃなかったからな。でも意思の疎通ができるとなったら、下半身が蛇でも戦えないんだから、ニンフやウンディーネなら間違いなく戦えないだろう。そうなったら水源の確保ができないから、カイルとニンフやウンディーネと遭わせたくない。私が部隊の分割を提案して、なるべくニンフやウンディーネをこちらで倒すから、万が一カイルがニンフやウンディーネと遭遇してしまったらお前が何とか説得してくれ。」
と言う。
プルムは
「分かりました。」
と了承する。
エレオノーラはカイルに
「なあ、カイル。湖の周りの魔物を全部片づけるには時間がかかる。三体に分けて一気に片付ければ時間も短縮できると思うがどうだ?」
と提案する。
それに対してカイルは
「分かった。」
と了承する。
エレオノーラが
「私とグスタフで一隊、カイル、プルム、ドロシーで一隊、レティシア、クレア、クインで一隊でどうだ?」
と聞くとカイルはそれも了承する。
カイル、プルム、ドロシーが湖に続く林を歩いていると若い女性数人と二足歩行で左手に剣を持つ巨大なトカゲが現れる。
プルムは
「ニンフとリザードマン!?」
と言いながら
(早速、ニンフと遭遇しちゃった・・・・・・。)
と思っていた。
一方、別ルートで湖に向かうグスタフとエレオノーラ。
グスタフがエレオノーラに問う。
「どうして三体に分けたんだ?何か意図があるんだろ?」
エレオノーラは
「流石だな、気付いてたか。カイルがニンフやウンディーネと遭遇したらまたラミアの時みたいに『戦えない』って言い出すと思って、なるべく私たちとレティシアの隊でニンフを倒していこうと思ったんだ。」
と答える。
それに対しグスタフは
「お前は心配性だな。今のカイルなら大丈夫だよ。」
と答えるがエレオノーラは
「今のカイルだから心配なんだよ。前のカイルならどんな奴でも容赦はしなかった。でも今のカイルは・・・・・・。」
と納得しない。
それでもグスタフは
「村造りは、アイツが言い出したんだぜ。だったらその為の水源確保を放り出すわけないさ。アイツを信じな!」
と言うがエレオノーラは納得いかない様子。
一方、そのカイルの方は・・・・・・。
「待て!お前たちとは戦いたくない!お前たちの様な綺麗な女性を傷つけたくないんだ!」
と言うカイル。
プルムは
(何とか水源確保のために、戦うように何とか説得しなきゃ。でも何て言えば・・・・・・?)
と説得材料を考えていた。
ニンフたちは
「お前は見どころがあるな。」
「男を置いてあとは帰れ。」
と言ってくる。
カイルが
「どういうことだ?」
と戸惑っているとプルムが
「ニンフは女だけの種族なんです。だから常に人間の男を求めてるんです。」
と答える。
カイルは
「ゴブリンや、オーク、トロールなんかの逆って事か?」
と問うとプルムは
「そういうことです。彼らのように力ずくでは無い分、かなりマシですけど。」
と言う。
それを聞いてカイルはニンフたちに向かって話す。
「俺たちはここから少し北に行ったところに村を造ろうとしているんだ。その村の水源を求めてここへ来た。どうだ?お前たちも一緒に村に住まないか?今の村の住人は、村長を除いて全員男だ。より取り見取りだぞ!」
思いがけない提案にニンフたちは戸惑いながら
「我々はこれでも一応、魔物だぞ。そんな我々を受け入れられるわけが無かろう。」
と言う。
カイルはそれに対し
「いや!俺たちの目指す村は差別のない村だ!どんな種族であっても他人に迷惑を掛けないのであれば受け入れる!」
と返す。
ニンフたちは
「本当か?」
と聞いてくる。
カイルが
「もちろん本当だ。利害も一致するじゃないか。だって、村の女は村長のドロシーだけだ。ドロシー一人で男の住人全員の子供を産むわけにはいかないだろ。」
と言うとドロシーが
「私はあいつらの子供なんか産まないぞ!」
と慌てて否定する。
カイルが
「という事だ。お前たちが村の男たちと子作りをしてくれないと村の人口は増えていかない。お前たちは男を選び放題。悪くない話だと思わないか?」
と言うとプルムが
「でもニンフからはニンフの女性しか生まれませんよ?」
と話す。
カイルは
「女性が余れば他所から男が女性を求めて集まるさ。そうしているうちに人間の女性も集まってくるだろうし、魔物すら受け入れたとなればエルフやホビットやドワーフだって集まってくるだろ。そうなれば色々な文化によって村も発展していくだろ。」
と返す。
ニンフの代表が
「話は分かった。水源の件も村へ住むことも了承しよう。リザードマンは人とは意思疎通ができないのでここに残って湖の警備をしてくれるそうだ。ただ・・・・・・。」
と了承しつつも言い淀む。
カイルは
「何かあるのか?」
と聞くとニンフの代表は
「湖に住むケルピーという魔物を倒してウンディーネ様を助けて欲しい。」
と言う。
カイルが
「ウンディーネ様?」
と聞くとプルムが
「水の精霊です。」
と答える。
ニンフの代表が
「ウンディーネ様はケルピーに襲われ、魔力によって湖の底に幽閉されているのだ。どちらにしてもケルピーを倒さなければ水源の確保などできない。どうかケルピーを倒してくれないか?そうすればウンディーネ様も水源の確保に協力してくれるはずだ。」
と言うとカイルは
「分かった。その魔物は俺たちが倒そう。それより先ず、ニンフとリザードマンを全員、ここに集めてくれないか?俺たちの仲間が別ルートから湖を目指して進んでいる。もし遭遇したら戦闘になってしまう。たった今からニンフとリザードマンは俺たちの協力者だ。殺し合いにならないうちにみんなをここに集めてくれ。」
と言う。
ニンフの一人がその辺の草を取って草笛にして吹く。
ピーーーーーと結構大きな音が鳴る。
すると四方からニンフとリザードマンが集まってくる。
カイルの方へ集まっていくニンフとリザードマンを見た、グスタフ、エレオノーラ、レティシア、クレア、クインもカイルの元へ集まる。
エレオノーラはプルムに問う。
「何があった?もしかしてカイルはニンフと戦えなかったのか?」
それに対してプルムが
「そうなんです。」
と返すとエレオノーラは
「やはりそうか・・・・・・。」
と落胆する。
そこでプルムが事の経緯を話すとグスタフが
「ほら、言ったろ。」
と自慢気な表情でエレオノーラを見る。
エレオノーラは
「そうだな。お前の言ったとおりだ。」
と笑顔で返す。
それぞれが事の経緯を仲間に説明するとカイル遊撃隊一行は全員でケルピー討伐に湖に向かう。
湖に着くと早速、湖の中からケルピーが現れる。
人の三倍は有ろうかと言う巨大な魔物は、前半分は馬、後ろは魚の様な異様な姿である。
尾で水しぶきを飛ばして前足(と言っても後ろは魚なので後ろ足は無い)で踏みつけてくる。
その一撃は強力で蹄が地面に食い込むほど。
左右の脚を使って不規則に連続して強力な攻撃を繰り出され、手も足も出ない状態にカイルが言う。
「“馬脚を露す”とはこの事か。」
「冗談言ってる場合じゃねえぜ。」
とグスタフ。
エレオノーラが
「落雷!」
と呪文を唱えるとケルピー目掛けて雷が落ちる。
しかし、ケルピーに当たる直前にかき消される。
「魔法攻撃無効のスキルか!」
とエレオノーラが叫ぶ。
レティシアは
「魔法が効かないんじゃ私らが何とかするしかないな。」
と言う。
カイルは
「俺が囮になる!足が地面に付いた瞬間に足を狙え!」
とグスタフに言う。
グスタフは
「また囮とか無茶言いやがって!」
と言うがカイルに策があると期待してのにやけ顔。
ケルピーの踏みつけ攻撃を間一髪躱すカイル。
地面に足が食い込む瞬間、グスタフの戦斧が一閃。
ケルピーは思いっきり踏みつけてるため急に足を上げることができない。
しかも地面に足が食い込み、横方向に斬撃の力を逃すことができずに脚を切断される。
ケルピーは叫び声を上げて湖の中に逃げようとする。
すかさずカイルがエレオノーラに
「絶対零度を湖に叩き込め!」
と言うとエレオノーラは直ぐに絶対零度を湖に向けて放つ。
すると瞬時に湖が凍り付き、ケルピーは後半身が湖の氷に捕らわれて身動きが出来なくなる。
カイルは
「今だ!」
と言ってケルピーに突進、胸部に剣を突き刺す。
レティシアも同時に側面からジャンプしてドラゴンクローを首の根元に突き刺す。
グスタフはジャンプして前方に一回転、回転の勢いと戦斧の重さをグスタフの怪力に乗せ、ケルピーの太い首を切断、ケルピーを倒した。
すると湖の氷が解けて、中から美しい女性の精霊が現れる。
離れたところで戦いを見守っていたニンフたちが
「ウンディーネ様!」
と言って精霊に近づいて行く。
ニンフがウンディーネに事の経緯を説明すると、ウンディーネはカイルに近づき
「助けて頂いて、ありがとうございました。ニンフたちから事情は聴きました。私を助けて頂いた事と、ニンフたちを村に受け入れて頂くお礼に、私も全面的に協力をしましょう。」
カイルは
「ありがとうございます。」
と礼を言う。
ウンディーネは
「私には大したことはできませんが、水を枯らすことなく極力綺麗な状態で提供することをお約束します。ただ、ここから村まで何があるか分かりませんから村での浄水は必要になると思いますが。」
と言う。
カイルは
「それだけでも充分有難いです。」
と返す。
ウンディーネは
「戦闘で汗もかいてお疲れでしょうし、せっかくですから水浴びでもしていって下さい。村に水を引くまでには浄化させますから。」
と言う。
カイルは
「ありがとうございます。」
と再び礼を言う。
木にロープを張ってそこに大きな布をかけ目隠しにしてその向こうで水着に着替える女性陣。
それを羨ましそうに見ているドロシーにカイルが声をかける。
「ドロシー、これ持って行け。」
と言ってカイルが水着を渡す。
ドロシーは
「え?」
と言って受け取ると続けて
「どうして・・・・・・?」
と問う。
カイルは
「湖に行くってことで、こういう事も想定してみんなに水着を用意させておいたんだ。それでお前の分も用意しておいたんだ。」
と言う。
ドロシーは
「ありがとう。」
と礼を言う。
カイルは続けて
「サイズは合ってる筈だから心配するな。お前の裸はじっくり見せてもらったからな。」
と言うとドロシーは
「バカッ!」
と言ってカイルを殴り、顔を赤らめながら目隠しの向こうへ走っていく。
女性陣が着替え終わったところで、カイルは
「これこそ、まさに神の采配だな。実はお前にも水着を用意してあるんだ。」
と言って、クインに水着を渡す。
「ありがとうございます。」
と言って、手に取った水着を見たクインは
「これ、女物じゃないですか!?しかもビキニ!?」
と驚く。
カイルが
「いやあ、お前にこれ着せたら似合うだろうなと思って用意してたんだが、男好きのニンフに出会うとは。これでこの水着を着る理由ができたな。」
と言うとクインは
「どういうことですか?」
と聞き返す。
カイルは
「ニンフに男だってバレたら大勢のニンフたちが言い寄って来るぞ。お前は若いし可愛いからな。そうしたらお前は全員を断りきるなんて出来なさそうだから、ニンフと結婚して一生村に住むことになる。精々バレない様にするんだな。」
と意地悪そうに言う。
クインは
「いや、僕は・・・・・・。」
と言いかけたところでグスタフが
「つべこべ言わず、楽しんで来い!」
と言ってクインを投げ飛ばす。
飛ばされて目隠しの布に包まれて落ちるクイン。
仕方なく、目隠しの向こう側へ行き着替える。
クインが湖へ向かうとクレアが
「可愛い!」
と言って喜んでる一方、意地悪そうな顔をしたレティシア、プルム、エレオノーラ、ドロシー。
いじり倒す気満々だ。
四人にいじられるクインは必死にニンフたちに男だとバレない様に取り繕う。
その様子を見て笑うカイルとグスタフ。
そうしているうちにドロシーの手下たちが馬車でシャベル、鍬、ツルハシ等を持ってくる。
カイルとグスタフは手下たちと一緒に村に向けて水路を掘っていく。
その間、女性陣とクイン、ニンフたちは水浴びを楽しみ、リザードマンは湖のほとりの林に散っていき警備の任に着いた。
ウンディーネ
身長165cm 104-60-91 Hカップ
水でできた女性の形をしている。普通に女性の姿になることもできる。
ニンフと同じ水の精霊だが精霊としての力はウンディーネの方が強い。
ニンフ同様、人間と恋愛も子作りも結婚もできるが、男性側がウンディーネを裏切った場合、ウンディーネがその男性を殺さなければならないとも呪いによってその男性が死ぬとも言われているがどちらにしてもウンディーネを裏切った男性は死を免れない。
ケルピーの魔力によって湖底深く幽閉されいたがカイルたちがケルピーを倒したことにより解放された。
そのお礼としてカイル村への水源の水質管理を申し出る。
ニンフ
平均身長160cm
見た目は綺麗な女性の水の精霊。
基本全裸。だが常識はあるので人前に出る時は服を着る。
ゴブリンやオークと逆で女性しかいない。
人間の男性を誘惑して繁殖する。皆、綺麗な女性なので喜んで繁殖に協力する男性もいれば結婚する男性も多いので、ゴブリンやオークの様に無理矢理する事は無い。
ニンフから生まれるのも純粋なニンフで女性しか生まれない。
同じく水の精霊でニンフより精霊としての力の強いウンディーネを“ウンディーネ様”と呼んでいるが主従関係がある訳ではない。
全員ではないが、カイルの提案に乗ってカイル村に住むことに。
リザードマン
平均身長160cm
二足歩行のトカゲ人。
ウンディーネの湖のほとりに住む。
装備は剣と盾。基本的に全員左利きなので剣を左手、盾を右手に持っている。
人とは意思疎通できないがニンフとは意思の疎通が可能。
ケルピー
全高4m
前半分が馬、後ろ半分が魚の様な竜の様な見た目の魔物。
尾で水飛沫をかけて攪乱し、前足で踏みつけるというのが基本攻撃。
魔力で水を操り攻撃することもできるが、それに魔力を使うとウンディーネに逃げられるので使えなかった。
ゲオルク・キルステン
35歳 身長168cm
ドロシーの右腕的な男。
元々ノンブリルの町の一等地で食料品店を営んでいて、経営は順調だった。
しかし、1年ほど前、豪商バジム・カバエフが一大複合商業施設を建設しようと画策、汚い手口で強制的に立ち退かされた上に借金を負わされた。それで奥さんと子供に逃げられ自暴自棄になって盗賊団に入った。
元が商人という事もあり、人当たりがよく交渉力もあり、物知りな常識人である為、何かと頼りにされる。
ドロシーがカイルへの使いにこの男を選んだのも、もしカイルが難色を示してもゲオルクなら何とか説得して連れてきてくれると思ったからだ。
カイルがドロシーを倒した(?)際、ドロシーに掛ける布をカイルに渡したのもこの男。
ドロシーの手下で名前が判明しているのはこの男だけなので今後も便利に使われることになる(作者に)と思われる。




