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-第13話 探索完了-

 破魔の短剣が入っていると思われる宝箱の鍵が無くて途方に暮れるカイル遊撃隊一行。

クインが地図を見ながら言う。

「この迷宮で探索してないのは後は地下三階の階段の先だけです。隠し通路とかが無ければ、ですけど・・・・・・。」

カイルは

「俺があそこで下へ降りようなんて言わなければ・・・・・・。」

と落ち込む。

それを見たグスタフが

「お前のせいじゃねえよ。俺たち全員、お前の意見に同意したんだし、あの状況なら最善の判断だと思うぜ。」

と言うと、エレオノーラも

「グスタフの言う通りだよ。それにどうせ全部回るんなら大して変わらないじゃないか。」

とカイルを励ます。

続いてレティシアも

「そうだよ、気にするなよ!」

プルムも

「気を取り直して行きましょう!三階へ!」

とカイルを励ます。

カイルは

「みんな・・・・・・ありがとう。行こう!三階へ!」

と言って一行は三階の階段まで戻る。

 地下三階と地下四階をつなぐ階段を上がってきた一行。

カイルは

「よし、行こう!」

と気合を入れる。

通路のの突き当りにドアがある。

ドアを開けて中に入ると広い部屋の中に大量の魔物がいた。

クレアとクインは慌てて逃げ出そうとする。

それを見てエレオノーラは

「何をしている!?落ち着け!」

と叱責する。

クレアは

「でも、あの頭が三つもある巨大な犬みたいのは何ですか?」

と怯えながら問う。

エレオノーラは

「ケルベロスだ。地獄の番犬と言われてるな。」

と冷静に返す。

ある程度冷静さを取り戻したクインは魔物の分析をする。

「トロール八体、オーガ十二体、ホブゴブリン六体、マミー三体、エルダーリッチ一体、ケルベロス一体です・・・・・・。」

そしてあまりの数の多さに再び怯えるクイン。

クレアが

「エルダーリッチって何ですか?」

と聞くとプルムが

「四階に降りる前にオーガと一緒にいたアンデッドの魔法使いがいたでしょ。あれがリッチで、その上位種がエルダーリッチよ。」

と答える。

クレアは

「こんなのに勝てるんですか!?」

と慌てて聞くが、話を聞いていたグスタフが

「そんなに慌てるなよ。さっきのミノタウロスよりよっぽど戦いやすいぜ!」

と答える。

それに続けてレティシアも

「そうだな。こいつらなら簡単に攻撃喰らってくれるし、上手くいけば一撃で倒せるからな!」

と余裕の表情。

カイルが

「クレアとクインは怖ければ下がってていいぞ。」

と言うと、クレアは

「いえ!私は戦います!こういうところで経験を積んでおかないと!」

と言って剣を構える。

クインも

「僕も支援魔法で全力でサポートします!」

と言って気合を入れる。

カイルは

「よし!二人とも、良い表情だ!頼むぞ!」

と言って剣を構える。

グスタフとレティシアは既に戦闘を始めている。

グスタフは巨大な戦斧を横に薙ぎ払いホブゴブリンやトロールを真っ二つにしていく。

レティシアはドラゴンクローで引っ掻いたり突き刺したりしてオーガやマミーを倒していく。

エルダーリッチが死の猛吹雪デスブリザードの呪文を唱えると同時にプルムが魔法障壁マジックプロテクションでパーティー全体を防御する。

落雷サンダーボルト!」

エレオノーラが呪文を唱えるとエルダーリッチは一撃で倒れる。

エレオノーラは

「よし、厄介なのは片付いた。」

と余裕の表情。

クレアとカイルもホブゴブリンやトロール、オーガを苦戦しながらも一体一体倒していく。

クインは

(みんな凄い!僕も頑張らなきゃ!)

と思い、前衛には攻撃力アップ、全員に防御力アップの魔法を順番にかけていく。

グスタフが最後のオーガを戦斧で両断すると

「これであとはケルベロスだけだな。」

と言って攻撃を仕掛けようとするがケルベロスが口からファイアーブレスを吐く。

グスタフはとっさに後退して躱す。

ケルベロスの三つの頭が入れ替わり立ち代わり途切れることなくファイアーブレスを吐いてくるのでプルムが魔法障壁マジックプロテクションで防いで入るが攻撃に転じる隙が無い。

レティシアが

「防戦一方だな。これじゃその内プルムのMPが尽きるな。」

と言うとクインが

魔法障壁マジックプロテクションなら僕も使えます!」

と言う。

カイルが

「エレオノーラ。魔法で何とかならないか?」

と聞くとエレオノーラは

「ケルベロスは図体もデカく、防御力も高い。何発も食らわせればその内倒せるとは思うが、それまでプルムとクインのMPが持つか分からないし、この後の戦闘を考えると私のMPも多少残しておかないと不安だ。精々頭一つ潰すくらいだな。」

と言う。

カイルが

「それでいい。やってくれ。」

と言うとエレオノーラは

氷山落下アイスバーグフォール!」

と呪文を唱える。

巨大な氷山がケルベロスの頭に真っ逆さまに落下、ケルベロスの真ん中の頭を潰す。

それを見てカイルは

「よし!二手に分かれるぞ!クインも魔法障壁マジックプロテクションを展開!そのままクイン、レティシア、クレアは左へ、プルム、グスタフ、エレオノーラは右へ行ってくれ!」

それぞれが魔法障壁マジックプロテクションを展開したまま左右に分かれる。

するとケルベロスのファイアーブレスも左右に分かれ中央に隙ができる。

その隙にカイルが中央突破を試みる。

しかしケルベロスは左右のファイアーブレスを中央のカイルに向ける。

「グスタフ、レティシア、今だ!!」

とカイルが叫ぶとグスタフとレティシアは左右から一気にケルベロスの懐に入り斬撃と刺突を喰らわせる。

ケルベロスが怯んだ隙にエレオノーラが

「つららのアイシクルスピア

と呪文を唱え、グスタフとレティシアも追撃、ついにケルベロスを倒した。

グスタフが

「まったく、また無茶しやがって。」

と呆れていると、プルムが

「酷い火傷ですね。今、治療しますね。」

治癒ヒールの呪文を唱えようとする。

クインがそれを制止して、

「僕にやらせてください。」

と言ってカイルに治癒ヒールの呪文を唱える。

カイルの傷が癒えるとクインが言う。

「カイルさんを見ていると、戦闘力の高さが必ずしもリーダーの資質に繋がらないんだって分からせてくれます。」

カイルは

「何だか、褒められてるんだか貶されてるんだか分からないな・・・・・・。」

と苦笑い。

クインは

「褒めてるんですよ!前にいたパーティーのリーダー、アシュトンっていうんですけど、アシュトンは自分の戦闘力が高いことを鼻に掛けて、何かとパーティーメンバーをこき使うんです。それがずっと嫌で・・・・・・でもそれが当たり前なんだって・・・・・・。」

と言って泣き出す。

カイルは

「おいおい、泣くなよ。もう過去の事だろ。それにもし今後、そんな奴が現れたら、俺がお前を守ってやる!」

と言って、クインを抱きしめる。

クインは

「カイルさーん!」

と言ってカイルにしがみつく。

それを見てグスタフは

「おいおい。町に帰るまでが探索だぞ。」

と呆れる。

エレオノーラが

「この部屋に鍵がないか探してみよう。」

と言って、皆で部屋を探すが鍵らしきものは無い。

「とすると、鍵はこのドアの向こうだな。」

と言って、カイルは部屋の奥のドアを見る。

グスタフは

「ここにいた連中が鍵の防衛部隊だとしたら、その可能性が高いな。」

と言う。

カイルが

「行こう。」

と言ってドアを開ける。

部屋の中には下半身が蛇の女がいる。

「私はラミアのベレティーユ。雑魚とはいえ、あれだけの数を相手に全て片付けるとは、なかなかやるじゃないか。だが私はそうはいかないぞ!」

と攻撃態勢に入る。

一行が臨戦態勢に入る中、カイルだけが

(また人の言葉を話す人型・・・・・・とは言い難いのかもしれないが上半身は完全に綺麗なお姉さんだし、これを攻撃するのは気が引けるなぁ・・・・・・。)

と考えていた。

カイルの隙を見て取ったベレティーユがカイルに襲い掛かる。

しかしカイルは右掌を前に突き出し

「待った!」

と叫ぶ。

ベレティーユが

「何だ?この期に及んで命乞いか?」

と聞いてくる。

カイルが

「俺たちは下の階のミノタウロスはもちろん、魔王も倒したパーティーだぞ。恐れるものなど何もない。」

と言うとベレティーユは

「貴様らがルシファー様を倒したのか。それならば敵討ちだ。尚のこと生かしては帰せん!」

と言って再び攻撃態勢に入る。

カイルは動ぜず、

「お前はルシファーより強いのか?そうじゃなきゃ犬死だぞ。」

と言うとそれを聞いたベレティーユは

「何っ!?」

とカイルを睨みつける。

カイルが

「俺はな・・・・・・お前・・・・・・いや、あんたの様な綺麗なお姉さんを殺すのはもちろん、傷つける事も嫌なんだ!」

と言うと、その場にいる全員が「はあっ!?」という顔をする。

エレオノーラが慌てて

「何を言ってるんだ!?相手は魔王の手下で魔物だぞ!?」

と言うとカイルは

「そうかも知れない。でも腰から上は綺麗なお姉さんなのもまた事実だ!」

ときっぱり言う。

パーティー一同が呆れてものも言えない状態な中、ベレティーユはカイルに近づく。

カイルの顔に自分の顔を至近距離まで近づけまじまじとカイルの顔を見るベレティーユ。

ベレティーユは

「何、顔を赤らめてるんだ?」

と聞くとカイルは

「い、いや、女性にあまり免疫がないもんで・・・・・・。」

と照れる。

ベレティーユは

「パーティーメンバーに別嬪が五人もいてか?」

と言うがカイルは

「五人?」

と疑問を口にする。

ベレティーユは

「だってそうだろう?」

と言って数を数えながら一人一人指さす。

「一人」→レティシア

「二人」→エレオノーラ

「三人」→プルム

「四人」→クレア

「五人」→クイン

それを見てクインが

「僕は男です!」

と怒る。

ベレティーユは

「そうか、それはすまない。あんまり可愛らしいんでてっきり女の子かと思ったよ。」

と謝る。

クインは

「可愛いって言わないで下さい。」

と言って不貞腐れる。

ベレティーユは再びカイルに顔を近づけ

「名前は?」

と問う。

「カイルだ。」

と言って恥ずかしさで目線を落とすと

(わぁっ!綺麗なおっぱい丸見えなんですけど!)

と思って更に横に目線をそらす。

それを見たレティシアが

「カイル!お前、女なら誰でも良いのか!?」

と問いただす。

カイルは

「いや、誰でもよくないからこの旅を始めんだじゃないか。」

と答える。

確かにきっかけは王国の姫との結婚を回避する策を練るための時間稼ぎだ。

エレオノーラが

「何だ?レティシア、やきもち焼いてるのか?」

と言うとレティシアは

「違う!やきもちなんか・・・・・・やきもちなんかじゃ・・・・・・ないぞ・・・・・・。」

と段々声が小さくなっている。

ベレティーユは少し下がると

「カイルという男の言う事は確かに嘘や冗談ではない様だ。しかし数百年生きながらえているが、“綺麗”だとか“傷つけたくない”なんて言われたことないぞ。そこのエルフなら気持ちが分かるか?」

と言うと

エレオノーラは

「私はハーフエルフで寿命は二百年ほどだし、まだそれほど生きてるわけじゃないが迫害されていた時に救ってくれたのはこの男だから、なんとなく気持ちはわかる。」

と答える。

ベレティーユが

「破魔の短剣が欲しいのなら私を殺さなかったカイルの判断は正解だったな。」

と言うとグスタフが

「どういうことだ?」

と問う。

ベレティーユは

「鍵は私が持っているんじゃない。私しか知らない隠し通路の先にある。だから私が死んでいれば破魔の短剣は永遠に手に入らなかったという事だ。」

と答える。

カイルが

「じゃあ・・・・・・。」

と言いかけるとベレティーユは

「ああ、隠し通路に案内しよう。ただしその先はお前たち次第だ。」

と言う。

プルムが

「まだ何かあるんですか?」

と聞くとベレティーユが答える。

「鍵は隠し通路の突き当りにある部屋にあるんだが、ゴーレムが守っているんだ。ゴーレムはルシファー様がお作りになられたもので私には倒せない。しかも“鍵を守る”という簡単な命令しか出せない為、制御もできない。だからお前たちがゴーレムを倒さない限り鍵は手に入らない。」

エレオノーラが

「魔王が作ったゴーレムか・・・・・・。また厄介な敵だな。しかし倒せばいいだけなら難しくはない。」

と言うとグスタフが

「確かにそうだな。倒すだけでいいなら話は簡単だ。行こうぜ、カイル!」

と言う。

カイルは

「そうだな、俺たちなら倒せるはずだ。行こう!ベレティーユ、案内してくれ!」

とベレティーユに道案内を頼む。

ベレティーユは

「よし、ついて来い。」

と言って先導する。

しばらく歩くとベレティーユが壁の前で止まる。

カイルが

「そこが隠し通路なのか?」

と聞くとベレティーユは

「ああ、そうだ。」

と言って壁に手を当て何なら呪文のようなものを唱える。

すると壁が左右に開いて通路が現れる。

一行が通路に入ろうとすると

ベレティーユが

「カイル、ちょっと待て。」

と引き留める。

カイルは

「どうした?」

とベレティーユに近づくと

「死ぬなよ。」

と言ってベレティーユがカイルの頬にキスをする。

カイルは突然の事に腰を抜かす。

プルムが

「ちょっと!流石に今のはやりすぎですよ!」

と怒り始める。

グスタフがプルムに

「お前も嫉妬か?」

と聞くとプルムは

「ち、違います!」

といって頬を膨らませる。

グスタフは

「まったく、どうなってんだ?」

と呆れながら隠し通路に入っていく。

通路の突き当りにドアがある。

カイルが

「この向こうにゴーレムがいるんだな。よし行くぞ!」

と言ってドアを開ける。

確かに部屋の中央に巨大なゴーレムが蹲っている。

エレオノーラが言う。

「カイル。最初に言っておくぞ。ストーンゴーレムには魔法はほぼ効かない。石をも溶かす高温の炎魔法か風魔法を何百発も食らわせればあるいは倒せるかもしれんが、実質的にそんな事は不可能だ。知能もなければ意思もない。」

カイルががすかさず

「石でできているのに意思が無い・・・・・・。」

「おい、冗談言ってる場合じゃないぞ。知能も意思もないから攻撃魔法以外の魔法も効かない上に、物理攻撃もほとんど通らないだろう。かなり厄介な敵だぞ。」

カイルはそれを聞いて

「それでもやってみるしかない。だろう?」

と笑顔で言うと、エレオノーラは“やれやれ”といった感じの笑顔で返す。

「そうだな。」

先ずはカイル、グスタフ、レティシア、クレアの四人が遠巻きにゴーレムを囲む。

カイルの合図で一斉に突進して攻撃をかける。

キンッと金属が石に当たる音が響き、ゴーレムが立ち上がる。

四人の攻撃は全く通っていない。

カイルは

「ダメだ!普通の攻撃じゃ全く通らない!グスタフ、肘か膝の裏を狙ってみてくれ!」

と叫ぶ。

グスタフは

「おう!」

と返し、ゴーレムの膝の裏側を戦斧で思いっきり切りつける。

しかし効かない。

グスタフは続けて

「なら肘だ!」

とゴーレムがレティシアに殴りかかって伸びきった腕の肘を切りつける。

すると、ゴーレムの前腕部が落ちた。

・・・・・・かに見えた。

しかし直ぐに浮き上がって元通り肘にくっついた。

エレオノーラが

「関節は魔法の力で接続されてるんだ!仮に一瞬切り離せてもまた直ぐに戻っちまう!」

と言うと、カイルは

「関節もダメか・・・・・・。何か弱点になるようなものは無いか?何かコアみたいなものや宝石なんかが埋め込まれてたりしないか?」

と言ってゴーレムの周りを攻撃をかわしながら一回りしてみる。

有ったのはゴーレムの額に埋め込まれた鍵。

カイルは

「あれが目的の鍵か・・・・・・。立った状態じゃとても手が届かないし、あれが弱点という事は無いだろう・・・・・・。」

とつぶやくと

「何か弱点になりそうなところは無いか!?」

と皆にも聞いてみる。

グスタフは

「いや、全く見当たらねぇ!」

レティシアも

「こっちもだ!」

と返す。その際、隙を見て切りかかったクレアの剣が折れる。

クレアは「キャッ」と叫び声を上げる。

カイルは

「クレア、もういい、下がれ。」

と言ってクレアを下がらせる。

カイル、グスタフ、レティシアの三人も息が上がってきている。

ゴーレムの攻撃は休む間もなく続いているが、三人の攻撃は全く効いていない。

カイルは

(このままじゃマズいな・・・・・・。ゴーレムに命令を与えるための文字化刻まれていたり、命令を込めた宝珠か宝石が埋め込まれてるんじゃないかと思ったが、それらしいものは見当たらない・・・・・・。)

(魔王は何故、わざわざ宝箱に入れた?それは魔王が破魔の短剣が必要になる可能性があったからだ。そうでなければ地中深くに埋めてしまうとか、六面全部が塞がれた立方体に封じめてしまうとか方法は色々あったはずだ。魔王が破魔の短剣を必要としたら鍵が必要になる。その時ゴーレムが鍵を守っていたら、魔王にも襲い掛かる筈。ゴーレムには“鍵を守る”という程度の命令しかできないんだから。という事はやはり何かゴーレムを止める方法がある筈だ。しかし・・・それは何だ・・・・・・?)

と思っていると、自棄になったグスタフが

「くっそぉ!これじゃどうにもならねぇ!いっその事、じゃんけんで勝ったら鍵を渡すとかそんな命令にしといてくれりゃ良かったのによ!」

と投げやりに宣う。

それを聞いたカイルは

(じゃんけんか・・・・・・ゴーレムはまさに石だし、俺たちの武器はハサミに近い。戦っても勝てるわけないか・・・・・・。石に勝つには・・・・・・紙・・・・・・?そうか!紙か!だとしたら、ありそうなところはもうあそこしかない!)

と思って

「エレオノーラ!ゴーレムの口の中に火球ファイアーボール」を突っ込めるか!?」

と言う。それを聞いたエレオノーラは突然の事に

「何っ!?」

と言うが直ぐに気を取り直して

「何か考えがあるんだな!だったらやってやるよ!」

と言って前に出る。

ゴーレムはあちこちを攻撃しまくっていて、口どころか頭の位置さえ定まらない。

エレオノーラは狙いを定めて

火球ファイアーボール!」

と呪文を唱えるがゴーレムの顔には当たったものの口には入らない。

ゴーレムはエレオノーラに狙いを定め突っ込む。

カイルが

「エレオノーラ!危ない!」

と言うがエレオノーラは動かない。

エレオノーラは

「よしよし、狙い通りだ。まっすぐ突っ込んで来い!」

ゴーレムがエレオノーラに向かっていく事により、顔の位置が定まり距離も近くなり狙いやすくなった。

火球ファイアーボール!」

エレオノーラが放った火球ファイアーボールがゴーレムの口の中に入る。

すると口の中で何かが燃えている。

そのまま、ゴーレムの動きが止まった。

レティシアが

「止まった・・・・・・?」

と言うとエレオノーラがその場にへたり込む。

プルムが

「エレオノーラさん!大丈夫ですか?」

と駆け寄る。

グスタフが

「一体どういうことだ?説明してくれ。」

と聞いてくる。

カイルが説明する。

「破魔の短剣は“破魔”というくらいでおそらく魔王や魔族にとって忌むべきアイテムなんだと思う。それを完全に封印しなかったのは何らかの理由で魔王が使う可能性が有ったという事。という事は魔王が鍵を使う事があるという事。その時に魔王がゴーレムを止められなかったら鍵を取ろうとした魔王をもゴーレムが攻撃してしまう。だからゴーレムを止める術が何かある筈だと思ったんだ。最初は命令を封じ込めたアイテムをゴーレムにつけたり外したりするのかと思ったんだがそれらしき物は見当たらなかった。そこでヒントになったのがお前のじゃんけんの話だ。」

それを聞いてクスタフが

「じゃんけん?」

と怪訝そうな顔をする。

カイルは続ける。

「そうだ。石に勝つには紙だろ?紙という言葉からゴーレムに命令を与えているのは特殊なアイテムじゃなくて紙の命令書なんじゃないかと連想したんだ。ゴーレムの体を見る限り紙の命令書がありそうな所は口しかなかった。だから、おそらく口の中にあるであろう命令書を燃やせば命令は消えてゴーレムは止まると思ったんだ。魔王も同じように口の中の命令書を燃やして止めるつもりだったんだろうな。近づく前に炎系の魔法を使えばいいだけだし。」

ここまで聞いてグスタフが疑問を投げかける。

「なるほどな。でも、それなら全身を炎で包む様な、もっと強力な魔法でも良かったんじゃないか?その方が簡単だろ?」

それに対してカイルは答える。

「確かにな。でも百パーセントの確証があったわけじゃない。もし違って戦いが長引いた時の事も考えてMPを温存しようと思ったんだ。」

グスタフはカイルの今までの説明を聞いて

「流石だよ、お前は。」

と感心する。

 こうして鍵を手に入れた一行はミノタウロスの部屋に行き宝箱を開けて破魔の短剣を手に入れ、ノンブリルの町に帰った。

マミー

ゾンビと同じく生きる死体。

所謂ミイラ男。

ゾンビと同じく力はあるが動きは遅い。

ゾンビのように捕食しようとはしてこない。

麻痺パラライズの特殊攻撃ができる。


ケルベロス

頭が三つある巨大な地獄の番犬。

頭の高さは約3m。

それぞれの口からファイアーブレスを吐く。


エルダーリッチ

魔法使いのアンデッド、「リッチ」の上位種。

リッチより高度な魔法が使える。

見た目は骸骨が魔法使いのローブを纏ったような姿。

生きる死体なので身長は人間と同じ。


ベレティーユ

ラミア。

腰から上は裸の女性、腰から下は巨大な蛇。

全長は4m。

「べレティーユ」は固有名詞、「ラミア」は種族名。

数百年生きながらえている姉御肌。

地下迷宮の隠し通路はべレティーユしか知らない。


ストーンゴーレム

石で作られたゴーレム。

人型。

身長は3m。

魔王ルシファーが直々に作り、口の中に「鍵を守れ」という命令書を入れられ、その命令にのみ従う。

口から命令書を出すことによって命令が止まる。

攻撃力が高いうえに、石で出来ている為、通常の武器では攻撃が通らない。

関節は魔力で接着してある為、仮に一瞬外せても直ぐにくっつく。

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