第4話 初配信を終えて
『……よし、こんなもんかな。じゃあ今回の配信はこれで終わりにするね。次回の配信とか何かお知らせがあったらヌイッターで報告するねー』
:お疲れ様でしたー
:乙乙
:ヌイッターフォローしました
『それじゃあまたねー!』
————— 配信が終了しました —————
「……ふう」
終わった……。
配信終了画面を確認してからどっと椅子に背を預け、何とも言えぬ疲労感と達成感に包まれながら、用意していたけど結局口を付けられなかったお茶を飲む。
そうしていると、隣の部屋から勝次がやってきた。
「お疲れ様。いやあ良い配信だったよ。「初配信なのに」とかそういう枕詞抜きで」
「そう? ありがとう」
「大丈夫か? 疲れた?」
「そうね。疲れた。でも悪い気分じゃないわ」
心地よい疲労感を覚えつつ、ふわふわした気分で答える。
「しかし良いギャルっぷりだったな。俺の見込みは正しかったよ」
「あはは」
ああ、そういえば配信勧められたのってそんな理由だったっけ。
でも。
「それで、そろそろ教えてくれる? なんで私に配信させたかったの?」
「なんでって、オタクに優しいギャルになって欲し『私が色々溜め込んでると思って、それを発散させてくれようとしたんでしょ?』……!?」
全く、変な所で気を遣うんだから。
「確かに私あんまり外じゃ自分を出さないけど、必要なことはちゃんと言えてるし、仲間外れにされたりしてる訳でもないし。勝次だって分かってるでしょ?」
「……」
「でも私のことを心配してこういう場を設けてくれたのは本当に嬉しい。ありがとね」
「ん……」
「というかなんで私が外であんまり自分を出さないか全然分かってないのね」
「?」
「私、勝次と話してるのが本当に好きなのよ」
「……!?」
「人との交流を楽しむとかそういうのは、普段の勝次との普段の会話で十分満たされてるのよ。それなのに変に心配して。本当に馬鹿ね」
「い、今、す、好きって……」
「あ、でも配信は本当に楽しかったわね。好きなことを喋れるのもそうだし、ちょうどいいコメントを拾って話を広げたり話題を変えたりするのがゲーム感あって楽しいし。これなら今後も続けても良いかもね」
「お、おい康美……」
「何よ。アワアワしてないでちゃんと〆なさいよ。あんたが始めた物語でしょ」
「……俺絶対尻に敷かれるわ」
「付き合ってから言え」
これ以上は私からは言わないからね。
その気があるならいつかちゃんとあんたの方から言いなさいよね
「で、どうだった?」
「え?」
「私のギャルっぷりはどうだったのか? って聞いてるのよ。満足出来た?」
その言葉を聞いた勝次は、ポカンとしたような表情から徐々に安心したような表情に変わっていき。
「ああ、最高だった。惚れ直したよ」
なんて言ったのだった。