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『オタクに優しいギャルにならないか?』と持ち掛けられてVTuberを始めた話  作者: oz
第五章 身バレの危機と服部ミヤビ誕生編
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閑話 酒井美月

 ごく普通の家庭に生まれて、ごく普通の流れで生きてきた。

 ……いや、どうだろう。ちゃんと両親に愛されて、金銭面等で困ることも無く今まで生きてきた。これって十分恵まれてるって言っていいことなのかも。

 私が無茶なお願いをしたことが無いせいもあるかもだけど、キツく怒られたりだとか、進路を含めて私の意思を頑なに否定されるようなことも多分無かったし。


 何せこんな風にオドオドしてるしあまり自分を出さないからか、学校や家庭外で「多分この人にはあまり好かれていないんだろうな」と感じることは度々あったけど、あからさまなイジメや嫌がらせを受けることも無く過ごせていた。

 むしろ何故か私を気にかけてくれたりよく声をかけてくれるような人たちに誘われることで、一人じゃ経験することも無かったであろう様々な体験をさせてもらったくらい。

 卒業で離れる時みんなで泣いちゃったなあ。


 こうして思い返すと、物心ついた時から色んな人に守ってもらっていたんだなあと思うと同時に、ずっと他者の顔色を窺いながら生きてきた気がする。

 両親の、クラスメイトの、知り合いの、その他今まで出会ってきた数多の人たちの。


 ……あ、誤解しないでね。

 さっき話したように様々な面で恵まれていたと思っているし、何か辛い目に遭ったからそうなったって訳じゃないから。


 なんでそうなったのかは分からないけど、そんな生き方を続けてきた理由は分かっている。

「人と衝突したくない」ただそれだけの理由だ。

 そしてそれは裏返せば、人と衝突してでも通したい自分の意思が無かったということでもあったのかもしれない。


 それでもそんな状況を不満に感じていなかったこともあって、特に問題視はしていなかった。

 榊原さんと出会うまでは。


 初めて部室で会った時に、榊原さんが他の人と話している姿を見て分かった。この人は私と同じタイプの人だって。

 ちゃんと本音で喋っているし自分を偽っている訳でもないけど、他者と一定の距離感を保ち続けているような振る舞いが印象深くて。

 私と同じタイプなのに私と違って他者に関わるのを躊躇わない。そんな榊原さんに興味を引かれたのをよく覚えている。


 そんな風に一方的に榊原さんへの親しみを抱いていた時に偶然本原つぐみを知ったのだけれど、衝撃だった。あの榊原さんがこんなに「自分」を出しているなんて、って。

 まず感じたのは驚き。そして純粋な興味。一体何が榊原さんをそこまで駆り立てたんだろうって。


 その後に配信のことを榊原さんに直接確認したのは……どうしてだろう?

 あまりにも理解の範疇を超えていたから冷静さを失っていた自覚はあるけど、それにしたってこの私がそんな大それたことを? って今でも思っちゃう。

 自覚は無いけど、私そんなに知りたかったのかな? 

「自分を出すことの楽しさ」っていうものを。


 それにしても、それを切っ掛けに榊原さんと親しくなれたり、なんと自分もVTuberになったりと、私自身にも大きな変革をもたらすことになるなんて想像もしていなかった。

 今までとまるで違う取り組みに身を投じることになった訳だけど、思っていたより悪く無さそう。

 ……ううん。期待していた通り楽しそう、って言った方が正しいかも?


 でも新しいことを初めても、私自身の性質はきっと今も変わらない。

 VTuberとして大勢の人の前で話したりするのは楽しかったけど、「きっと私は本来こうなりたかったんだ」とか「こっちの私が本当の私」なんて思ったりはしない。


 それでも。


 人と衝突したくない私のまま……自分というものの乏しい私のままこうして新しい何かを楽しめるのは、すごく嬉しい。すごくワクワクする。

 それで良いんだと思う。


 ひょっとしたら活動を続けて行く内に「新しい自分」っていうものに気付けるかもしれないしね。


 もちろんそれは分からないし、そもそもいつまで活動し続けられるかも分からないけど、続けられる限りは続けてみようと思う。

 自分でやるって決めたことだから。私がやってみたいって思ったことだから。


 とりあえず今は配信に慣れつつ、榊原さん達のことをもっと知りたいって思う。

 そしてゆくゆくはFSMと……ふふっ。

 まあ流石にこれはまだまだ先の話になるだろうけど。


 榊原さん達をガッカリさせないように。そして何より自分が楽しめるように。

 酒井美月……服部ミヤビ、頑張ります!

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