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『オタクに優しいギャルにならないか?』と持ち掛けられてVTuberを始めた話  作者: oz
第五章 身バレの危機と服部ミヤビ誕生編
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第22話 身バレの危機は突然に

 それはまだまだ残暑の厳しいある日の昼下がりのことだった。



「榊原さん、ちょっといい……?」


「酒井さん? どうしたの?」


「あ、うん。ここだとちょっとアレだから、部室の方でいいかな?」


「いいわよ。というか部室でお弁当食べようと思ってたところだったし」


「あ、じゃあ先に行って鍵開いているか確認しておくね」


「うん。じゃあ後でね」



 実は私、サークル? 同好会? に所属していたりする。

 その名も『ゲーム史研究会』。

 研究会なんて大層な名前だけど、普段は部員各自が部室で思い思いに好きなゲームをやったりしているだけの場所なのよね。

 ナードの巣窟? 否定出来ないけど楽しければこまけぇことはいいのよ。

 活動している体裁を保つため、毎年学園祭で研究結果|(という名のゲーム語り)を掲示したりはしているらしいけど。


 元々ここに限らずそういうグループに所属するつもりは一切無かったのだけれど、入学当初に見学がてらキャンパス内をウロウロしていた時に、聞き覚えのある電子音に釣られてうっかり部室に迷い込んじゃったのが運の尽き。

 ちょうど居合わせた部長に「気の向いた時だけ来てくれていいから」と押し切られてそのまま所属することになっちゃったんだっけ。うーん押しに弱い。

 とはいえレトロゲーム機がほぼ揃っていたりネットも完備だったりと居心地が良いので、なんだかんだ大学に居る時はちょくちょく顔を出していたりするけどね。


 酒井さんはそこで出会った私と同じ一年生の

 私が音ゲーメイン、彼女が乙女ゲー……というかキャラ推し系メイン? でお互いゲームの好み的にもあまり共通点が無く、必要が生じた時に話をすることがあるくらいの仲だった。


 そんな関係性の彼女が急に何の用事だろう? と首を傾げつつ校舎に併設されている部室棟へ向かう。

 部室の扉を開けると既に酒井さんが居て、備品のポットでお湯を沸かしていた。



「あ、榊原さんいらっしゃい。お茶淹れるけど飲む?」


「うん。ありがとう」



 部室のテーブルにお弁当を広げながらお茶を受け取り、酒井さんはお茶だけ持って私の向かいに座った。



「榊原さんってお弁当なのね。

 ……わ、すごい鮮やか。自分で作ってるの?」


「ううん。実家暮らしだからお母さんに作ってもらってる。講義の都合もあって毎日じゃないけどね」


「そっか、いいなあ。私今一人暮らしだから面倒でついつい買ったりしがちなのよねえ」


「まあ私が料理出来ないって理由もあるんだけどね……」


「あ、そうなんだ。ふふ」



 今まであんまり話してこなかったけど、酒井さんって結構話しやすい娘だったのね。なんだか会話が弾むわ。

 ……と言うか本題はそこじゃない。そもそもどうして酒井さんは私を誘ったのか? よ。



「……それにしても、自分で誘っておいてなんだけど部室に他の人が居なくて良かった」


「そうそう、そうだったわ。酒井さんから私を誘うなんて初めてだけど、何か用事があったの?」


「うん……あのね、もし違ったら本当に申し訳ないんだけど……」


「?」



 そう言うと酒井さんはスマホを取り出し、何やら操作し終えると私に見えるようにテーブルの上に置いた。

 その画面には———



「『やっほー! 本原つぐみだよー!』」


「!」


「……これ、榊原さん?」



 突如流れ始めた見覚えも聞き覚えもあり過ぎるYauTube動画を前に、私はただ硬直してしまっていた。

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