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第13話 夏祭りを楽しもう

「たこ焼き、イカ焼き、焼きそば、お好み焼き、りんご飴、チョコバナナ、かき氷……どれ食べようかなー」


「考えてみると祭りって食べ物屋台多いわよね」


「利益率も良いだろうし、食べてしまえば邪魔にもならないしなあ。形の残るものにしても、このペーパーヨーヨーもそうだけど水ヨーヨーとかお面とか邪魔にならない物が多いしな」


「なるほど」


「あ、それで食べる物だけどさ、端まで見て回りつつ目ぼしい屋台をチェックしておいて、復路でその屋台を巡っていく感じにしようぜ」


「それ良いわね」



 そうして屋台を巡り始めつつ、チェックした屋台で次々と食べ物を買ったり食べたりしていく。



「しかし最近って出店のメニューなのにハーフみたいな小さめの物もあるのね。プールの時みたいなことにならずに色んな種類を楽しめるからありがたいけど、店側は大変じゃないのかしら」


「まあ扱う物によっては今までに比べて手間の増える店はあるかもな。でも一か所で食べる分が減ることで他が潤うこともあるから、みんながやることで結局は自分も潤うっていう、情けは人の為ならず的な感じで受け入れられてはいるみたいだぞ。特に祭りの出店なんてそういう風潮が強いだろうし」


「なるほど」


「あとハーフとは言っても単純に半額にすると小銭が払いづらくなることもあるから、便乗値上げしてでもキリの良い値段にした方が払いやすくなることもあるしな」


「それ言っちゃっていいの?」



 そうこうしつつとある店の前を通りかかった時———



「あ! 康美ちょっと待って! ……あ、すいませんこれ下さい」


「どうしたの急に」


「康美、このお面着けてくれ」



 そう言って差し出してきたのは、特に変わった所の無い狐のお面。



「良いけど、本当に何なのよ……はい。これでいい?」


「そうそう、それでお面の両頬のあたりを左右の指先で持って、左右どちらかに片目が見えるくらいに傾けてくれ」


「……こう?」


「そう! うわー! 可愛いー!」


「うわびっくりした」


「ほら、浴衣キャラがお面をちょっとだけズラして顔がチラ見する構図の絵ってよくあるじゃん? アレが出来るって思ってさ。いやあ期待通りだわ。ありがとう康美」


「うわキモ……と言いたい所だけど正直ちょっと分かるわね。じゃあそれを受けて……と。この後はこんな風に側頭部に着けておくわね」


「ああ~、それも良い……」


「うわキモ……」



 どうしてこいつはこうも「癖」を隠そうとしないのか。



「と、腹ごしらえも出来たし一通り見回れたし、そろそろ盆踊りの方にも行くか」


「そ、そうね」



 そしてこうも切り替えが早いのか。



 ——————————



 中央に建てられた櫓が目立つ、出店通りの中間あたりにある広場。

 祭りの期間中だけ盆踊り会場として使われるその広場で、櫓を中心に老若男女様々な人たちが盆踊りに興じていた。



「うわぁ、いるなあ」


「思ったより人いるわねえ。そういえば私、正式な盆踊りとか知らないけど輪に入っていいのかしら?」


「俺も知らないし、みんな割と適当にやってるから大丈夫だろ。というかその辺にいるそれっぽい動きしてる人の真似をすれば良さそうだぞ」


「それもそうね。よーし、久しぶりにやるわよー」



 輪に入り、前方の人たちの動きを真似しつつ踊る私たち。

 盆踊り特有のゆったりしたリズムと和やかな周囲の雰囲気もあり、思った以上に楽しくて三周もしちゃった。

 そうして久しぶりに盆踊りを堪能した私たちは、良い感じの満足感に包まれながら帰路についていた。



「久しぶりなのもあるだろうけど、祭りも盆踊りも楽しかったな」


「そうね。思った以上に楽しめたわ」


「プールはネタに使いづらいかもだけど、祭りなら他にも沢山あるからこういう経験したってネタに使いやすいかもな」


「あー……そうね」


「ん? 何か気になることでもあったか?」


「ううん。プールもそうだったけど、そういえば配信のネタ作り目的だったんだっけって思って。普通に楽しくてすっかり忘れてたわ」


「おいおい、しっかりしてくれよな。……まあ俺も普通に楽しんじゃってたけどさ」


「ふふ」



 すっかり暗くなった道をしばし無言で歩く。



「ねえ勝次」


「ん?」


「プールも祭りも誘ってくれてありがとうね。こうして勝次に誘われなかったら、勝次の家を除けばせいぜいゲーセンや大型ショッピングモールに出かけるくらいだっただろうから」


「はは、そっか。急なことだったけどそう思ってもらえたなら良かったよ


「うん。明後日の花火見物も楽しみにしてるわ」


「ああ。そうだな」


 

 こうしてプールに続いてこの夏二回目となるリア充体験は幕を閉じたのだった。

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