33 とてもいいなつの日のつづきと、これからのこと
それから4人で、冷やしたお茶をのみ、やきたてのクッキーをたべた。
夏の森は、あつくて虫もおおいけど、川辺にくるととても気持ちがいい。ウィローもたのしそうに、小石と小石のあいだを水しぶきを上げながらジャンプしてた。
スイカを冷やしながら、川に足をつけて、みんなでのんびりおしゃべりをする。
きんいろの葉がふりそそぐ、黄金のひろばもさんぽした。ダラスがほんとうの金持ちになったって、ここで金のはっぱを見あげてひるねするのは、いつもかわらない。ねむりこけてるダラスが金のはっぱにうもれていくのを見て、ウィローとセドリックと3人でわらいあった。おれたちは、ずっと本当にゆたかなまま。
夕方になるころ、冷えたスイカをみんなでたべた。セドリックが一番おおきな切れはしを、おれにとりわけてくれる。ウィローには、スイカの中心にある一番甘いカケラをお皿に入れて、わたしてくれる。2番目に大きな切れはしは、かってにダラスがたべていた。
夜はみんなでカードをならべてあそんだり、ながれ星をさがしたり、それぞれが見つけたきれいな石をじまんし合ったりした。
さいごはウトウト、めいめい好きなところにねころんだ。こやの中には、それぞれお気に入りのばしょがある。夏におれが好きなのは、窓のそば。ベッドもいいけど、床にそのままゴロリとねころぶと、窓から星がきれいに見える。
すずしい風が入ってきて、床はひんやり、とても心地いい。ウィローもそばにやってきて、夏用のハンモックをひょいと窓辺に引っかける。
ダラスのいびき、セドリックのきそく正しいねいきの音。ウィローが小さな声でうたっているのを、まどろみながら、ぼんやり聞いてねむりにおちる。夏のみじかい夜のうた。とうめいな声が、森のくらやみにとけていく。
あれはとてもいい夏の日だった。
とくべつなことなんて、ひとつもない。いつものとてもいい1日。
おれの中には、そんな毎日がたくさんたくさんつもっている。
◇
そんなわけで、おれとウィローは春が来たらここを出ていく。
もうすぐ冬がおわる。出発のじゅんびはほとんどできた。
ダラスにたのまれていた注文の品も、ちゃんとぜんぶできている。
次に行く場所は、ダラスが見つけてくれた。
さいきんは、森もずいぶんひらかれて、うっかりするとすぐに人に見つかるらしい。ちゃんと人のとおらない、ふかいふかい森のおく。
沼でたすけなかった時のおわびだよ、ってダラスは言っていた。おれは気にしてないって言ったけど、本に書かれるくらいだからなあ、って。「オレがしょうもないウソツキだって、あとの奴らに思われたくはねぇからな」って。
そして道かくしのまじないをかけていく。やり方は、料理のレシピにまじってのこされていた。おれでもできる、まじないだった。
だから次の場所には、ふたりももう来れない。ダラスとセドリックとすごすのは、本当にとても楽しかったけど、やっぱりそろそろ潮時だ。
森に人がふえたのは、おれもちゃんと知っている。ゴブリンの群れも、この国にはもういない。王さまの部隊が、すべてのまものをたいじして、ここは平和でゆたかな国になったから。
それで、ふたりがあそびにくるのは、そろそろおわりかなって思ったんだ。
ダラスが次の森をおしえてくれた時、おれはそのことを言ってみた。ダラスは「まあ、しょうがねぇな」って、分かってたようにうなずいた。「セドリックも分かってる。あんたらのことが、だいじだからな」って。
おれもそうだよ。
ダラスとセドリックのことが、とてもだいじ。
おれとウィローは、次の森でも同じようにくらしていると思うから、心配しなくても大丈夫。ダラスとセドリックもきっと大丈夫。おれは、心配なんかしていない。思いだしたら、いつもただ、しあわせな気持ちが広がるだけだ。
そうそう、セドリック。子どもがぶじに産まれたってダラスがおしえてくれたよ。よかったな。それで、おれ、人形の家をつくったんだ。この丸太ごやににてる家。もちろんDWFのしるし付き(ダラス、いつもの絵を書きそえておいてくれ)。
きみと、きみの子どもたちが、たくさんわらってあそべますように。
おれからのおいわいだ。
おめでとう。
書きたいことは、これでだいたい書けたかな。
おれとウィローのこと。
ダラスとセドリックのこと。
たいせつなこと、ちゃんと書けただろうか。




