26 3人での森のくらし
セドリックがやってきた夏のおわりは、森でくらすのにとてもいいきせつだ。春もいいけど、おれは夏のおわりがとてもすき。
セドリックはケガをしていたから、さいしょはゆっくりすごしていた。おれのつくった食事を、いつもおいしいと言ってぜんぶ食べた。ゴブリンのくすりはとてもよく効いて、しばらくすると元気にうごけるようになっていた。ダラスが傷をきれいにぬっていたのもよかったんだろう。
おれとウィローとセドリックの3人で、まいにち森をさんぽした。
森の中に、お気に入りの場所はいくつもある。
川のつめたい水たまり。水はここでくむ。
くだものを冷やすととてもいい。
ウィローはうかんだくだものにとびのって、プカプカゆられていつもわらう。
きんいろの葉をたくさんつけた木があるところ。黄金のひろば。ひざしが明るいから、外で本をよむならここがいちばん。
ダラスと来ると、おれとウィローが本をよんでるとなりにねころがってひるねする。頭上の金のはっぱを見上げて「これがぜんぶ金貨だったら、オレたちゃ大金もちだ」っていつも言う。ねてしまったダラスの上に、きんいろの葉がいくつもいくつもふってくる。
そんなダラスの話をセドリックにしてやると、「ぼくもマネしてみよう」と言って、きんいろの葉を見上げてねころんだ。「これがぜんぶ金貨だなんて、ダラスはとてもよくばりだ」ってわらってた。
クルミの木がたくさんあるところ。
ここにくるとリスもたくさんいるから、ウィローがとてもよろこぶんだ。落ちてるクルミをひろって、なかみがあるかたしかめる。カラだけでも大丈夫。もってかえって炭にする。
クルミのカラはそのままでもよくもえるけど、炭にしておけばケムリが少なくて使いやすい。りょうりの火に使えば、ほんのりこうばしいにおいがして、とてもいい。
セドリックははたらきものだった。「王子さまなんだから、すわっていばっていればいいのに」って言ったけど、「そんなのヒマでつまらない」って言っていた。おしえれば、なんでもうまくできた。
でも、全部さいしょからできるわけじゃない。セドリックは、布のあらい方も知らなかった。
だけどおしえたら、ちゃんとやる。しっぱいしても、もう一度やる。えらいなっておれは思う。
カゴをつくる。
ツタをとってきて、かわかしておく。それからぎゅうぎゅうとしっかりあめば、じょうぶなカゴができあがる。こまかくあみたい時は、ほそめのツタをえらんで水につけてやわらかくして使う。けっこう力がいるから大変だけど、これもセドリックはおぼえて自分のカゴを作っていた。
ミルクしぼり。
半日かけてノラヤギのところへ行って、ミルクをしぼる(しぼりたてはとてもおいしい。セドリックもびっくりしていた)。長くあるくし、にもつはおもい。ノラヤギは気性のあらいヤツもいるから、なかなか大変なしごとだけど、セドリックはたのしんでやっていた。ノラヤギもうまくあつかえた。
じゅえきとり。
キツツキがおしえてくれるカエデの木。虫をさがす時とはちがう、ちょっとかわった音がしたら、めじるしをつけておく。その木には甘いじゅえきがたっぷり入ってる。でも、すぐには取らない。冬のおわりまで待って、穴を少しあけてじゅえきをながす。雪どけといっしょにながれるじゅえきは、とても甘くておいしい。
秋がすすめば、冬じたく。
カラスムギ、サンザシ、ドングリ、ナナカマド。
森の中にはいっていって、たべられるものをたくさんあつめる。おれはウィローを肩にのせ、セドリックはじぶんで作ったカゴをせおっていく。
3人であるくのはとてもたのしい。
下草ふみふみ、うたったり、おどったり。たがいに見つけたおもしろいものを、それぞれ言いあっているだけで、時間なんてあっという間にすぎていく。
オオジカのツノがおちていたら、ひろってかえる。ナイフで形をととのえれば、いろんなものが作れてべんり。スプーンやフォーク、ちいさなナイフ。ほそくすれば、じょうぶな魚とりあみのホネになる。
セドリックは、おいしいキノコをあつめるのもうまかった。キノコの絵がたくさんのっている本をなん度もよんで、見くらべてしっかりたしかめていた。
(おれがやると、ときどきマズいキノコもとってしまう。ゴブリンはまあまあ毒につよいから、マズいおもいをするだけでへいきだけど、セドリックがいるとそうもいかない。人間はキノコで死ぬことがある)




