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献策急行

その日の夕刻。ギルドの作戦室。俺はガイエルとリゼルを前に、武器の新調の必要性を改めて訴えた。ニールもその場にいた。


「新しい武器が必要だ、腕の良い鍛冶師に頼みたい」俺は単刀直入に切り出した。

ガイエルは腕を組み、不満げな顔をしながらも、すぐにその表情を引き締めた。

「チッ。回りくどいことは言うな。武器が必要なのはわかってる。あの隊長種を見て、お前らの今の武器が通用しないことくらい、俺にだってわかる。ここいらの鍛冶師じゃちょっと無理だな、王都の鍛冶師にあたるか?」

ガイエルがそう言うと、ニールが口を開いた。彼の目には、確かな情報を持つ者の光が宿っていた。

「ガイエル、俺に任せてくれ。それに、王都なら心当たりのある最高の鍛冶師がいる」


俺は、ニールが王都からこの街に戻り、俺たちと再会した直後に話してくれた情報を思い出した。

あの時、ニールは王都ギルドでの仕事や街の状況を話す中で、王都の裏通りの新しいドワーフの噂を口にした。

「――ジーンズ、知ってるか?王都の裏通りに、新しくドワーフの鍛冶屋が店を開いたらしい。名前は『鉄砕きのバルガス』とか言ったか。そいつ、すごい素材を扱ってるって話だ。俺が事務方で顔を出した時、王都の騎士団が特注品を頼んでるのを見たぜ」

あの時の情報は、俺たちがB級に昇格した今、現実の活路として目の前に蘇ってきたのだ。ニールも、この状況でその情報が役立つことを確信していた。


「そうだ。王都に新しいドワーフの鍛冶屋がいる。『鉄砕きのバルガス』。高純度の特殊合金を扱える腕利きだ。俺が同行すれば、交渉と手続きを最速で進められる」

ニールはそう言うと、俺たち二人の状況を冷静に分析した。

「マーティンが怪我してる今、俺が二人分働くさ。俺が王都へ行くのは、武器だけでなく、王都ギルドから最新の偵察情報と予備の戦力手配の確約を取り付けるためでもある。武器を確保することが、今の俺の最優先の現場任務だな」

ガイエルはニールと俺の眼差しを見て、大きく息を吐いた。

「わかった。奴らが『大穴』からしか出てこねえ以上、王都の連中が入り口を固めてりゃ、街は大丈夫だ。今、最優先すべきは、女王の首。お前らの武器が最高の状態にあることこそが、この街にとって最大の防衛だ」

ガイエルは、俺たちの不在による影響を完全に切り捨て、最終目標に集中するよう促した。


「さっさと行って、さっさと帰ってこい。戻りが遅くなったら、俺が斧を持って迎えに行くからな」

それは、命令というより、信頼する部下に対する、短くも最大級のプレッシャーだった。

俺とニールは王都ギルドへの紹介状と、報奨金の一部として捻出した金貨袋を手に、王都へと向かった。俺たちの手元には、護衛種の甲殻の破片と、マーティンの修理前の戦斧も忍ばせてある。


宿場町の城門を抜けた俺たちは、ギルドが用意した二頭の早馬に飛び乗り、西へと続く街道を駆けた。

「さっさと用事を済ませてくるぞ、ジーンズ」

ニールが叫ぶ。彼の顔は、事務的な冷静さから、再び冒険者としての焦燥に満ちていた。

俺は無言で頷き、馬に鞭を入れた。馬蹄が土を蹴り、乾いた音を響かせる。後ろには、決戦を控えた街の希望と、相棒の命を乗せている。王都への道のりは、最高の武器を手に入れるための単なる移動ではなかった。

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