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鮮明に映らない赤い尾びれ
遠くにその姿を捉えた時
私はいまだにどうゆう表情をして
会えばいいのか分からなくて
それでもそこにたたずむ彼のもとへ
歩みを止める訳にはいかなくて
そんな風に
近づく私の視界に
やがてはっきりと映り始めたのは
満面の笑み
それは
私の全ての負の感情を浄化するかのような
光を放ってやまない眼差しであった
高層タワービルの15階にある
洗練されたその空間は
私たちの運命的な出会いの場
ここをデートの
待ち合わせ場所にした私たちは
上手く今日という日を迎えることが出来ずに
私自身は
「今日でこの関係を最後にしよう」とも
思っていたんだ
だけど彼は
まるでそんな負の流れはなかったかのように
目の前に現れた私の頭を大きな手で包み
そのまま自身の厚い肩で受け入れ
浄化され涙ぐむ私に
出会いの場の再確認を
そして
赤く尾びれをひらめかせる金魚の
美しい水槽を
一緒に見ようと促した
気づけば
隣の低い水槽では
親子が相応しい視線を金魚に送っていて
なのに
ハンカチで口元をおさえている私は
その赤い美しさを鮮明に
脳で認識することが出来ずに
ただただ
強く望んでいた
私だって
一刻も早く
彼に笑顔を向けたいんだ、と……




