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冬の花壇に問う
幼い君が
優しい先生に質問をすることを
真剣な面持ちで渋っていた
それは幼稚園の花壇の
どのあたりに水やりをするのが係の仕事なのか
分からないというものだった
先生に聞くことは恥ずかしくないし
友達にだって聞いてもいい
だけど君はうなだれながら悩み
最終的に
「先生には何も言うな」と
私に口止めをした
小さな君の
おそらく広大な社会
冷えた風が吹き荒ぶ
ぽつんとした冬の花壇
ママである私自身が
君の苦悩を自身の過去の憂いに重ねてみた
もっと偉大なる母のような鼓舞を
君に明るく
浴びせかけられたらいいのかもしれないけれど
アンニュイが売りの私がすると
嘘っぽくなってしまうかもしれないから
君からの「水やりできた!」との
希望的報告に対する爆発的な賛辞を胸に
メイド業をしながら
待機しているね




