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カヌレを食べる子猫
自分が生きる上での喜びとは
好みの配信を聴きながら
人の手によって荒らされた部屋を綺麗にして
お気に入りのスカートを選び出して
巻いた髪を肩におろし
虎色の看板を横目に入ったパン屋で
文庫本片手にカヌレと熱いコーヒーを頂く
そんな状況を与えてもらえてる私が
何か役目を果たすことができるのなら
たいしたことはできないけれど
自分なりにやるしかないんだよねって
常日頃思っている
そんな現実世界とはまた別の次元で
好きな人が挑戦したいことを
応援したい理解したい気持ちも
時に爆発するジレンマと共に根強くある
段ボールの中
あなたを見上げて餌を待つ子猫ではなく
その茶色い壁をひょいっと飛び越え
様々な表現渦巻く世界で自分の船に乗り
好きな人のそれに並走していけたら
現実と非現実を
滑らかに生き抜いていけるのだろうか




