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「おいで」
この人は本当に
私を嫌な気持ちにさせるなぁと
どれだけ月日が経っても
どんなに対策を講じようとも
提供した案もいつの間にか流れてしまい
私はただただ反発心で表現を繰り返すだけだ
でももうしょうがないんだ
実験と研究はもうすぐ一年経とうとしている
だいたい分かったから
もういいんだ
そう思っていたはずなのに
私にとって大事な言葉のはずだったそれが
まるで相手の女性の耳に
直接ささやきかけるように
放たれてしまったことは
耐え難い虚しさと
宝物を壊されたかのような
気分に陥ってしまった
でもどうしようもないことなんだ
「また面白い話楽しみにしてるわ」と言って去った
当時恋焦がれていたあの人に
もしこの一連の流れを話したら
ピンときて楽しんでくれるのだろうか
まぁいいんだ別に
私は私で役割を果たして
自分の人生に飽きたくないだけだから




