32/132
繊細な手錠『インフィニティ』
繊細な手錠みたいだ
と思った
あなたがくれた初めてのプレゼントは
シルバーにきらめく輪を成したバングル
等間隔にストーンが輝きを放ち
スペードのマークが細い線で刻まれていた
まるであなたがいる世界への扉を開ける
スイッチを示唆するかのような
そのバングルの開口部を
カチャリと音を立てて外す
それをそっと手首にあてがい
逃げられない恋慕の手錠で
捕らえられてしまったかのように
私はまたあなただけが存在する
世界の扉を閉めた
「インフィニティ」
彼が呟いた
愛の呪文のような名を持つバングル
時に眼差しを注がれながら手首で揺れ動き
時に身を隠して困惑と胸の苦しさを生み出し
そして私は
永遠にあなたに恋焦がれるのだろう




