たとえこの世界にコウモリが舞っていようとも
薄暗くなった上空で
せわしなくパタパタと羽を羽ばたかせるそれを
鳥ではなくコウモリだと
雑草が無造作に茂った公園のベンチで
あなたは言い放った
私はどういうわけだか
コウモリが苦手だったから
今まで鳥だと信じてきたその黒い影に
驚きの眼差しと小さな奇声をこぼした
ブランコを囲う低い柵に
重心を預けながらしゃがみ
暇を持て余しているかのような若者二人組
母親がつくる晩ご飯ができるまで
外気の解放感を借りて
娘ちゃんのご機嫌取りの
散歩をしているかのような父親と子の二人組
「君のことが知りたい」と
私が当時通っていた
看板のネオン文字が浮かぶ塾の
真向かいにある公園まで
足を伸ばしてしまった我らが男女二人組
あのコウモリは無駄にとてもせわしない
あの若者達は息さえもしていないかのように
微塵も動かない
あの親子はお互い別のことを考えていそうだ
そして
頭のネジがゆるんでいる私たちは
カラフルで少しデザイン性のある
シーソーのような遊具の端にそれぞれ乗り
地面に私のおしりがつくような状態が
スカートの裾を汚すと気づいた時
「きゃあっ」っと愉快な声をあげて
私の身体はふわりと舞うスカートと共に
夜が始まりかけている空に急上昇した




