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曇りなき心
お互いの視線が合うと
あなたがにこっとしてくれたのは
私が見つめ続けていたからに他ならないし
そうされる度に
今まで抱いていたもの以上の親しみと
可視化することが出来なかった安心感とが
胸の奥にすーっと浸透していった
それはまるで
自主映画を撮るために
ビデオカメラのファインダーを
熱意を持って覗き込んでいるかのように
まわし続けてまわし続けて
奇跡的な瞬間の連続を
瞳に焼きつけようとしていたんだ
『そういう風に笑ってたんだ』
声にならない声の代わりに
湧き出る笑みが想いを物語る
知らないことを知っていく
喜びを得る子供のような
曇りなき心にまた戻れるなんて
どんな世界にいる大人が想像できただろう




