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嫉妬に刺される
情緒が乱れた
私の好きな人と
天真爛漫さを武器にしたあの子が
甘えるように遊んでいる情景に
それは遥か昔に
心を覆い尽くされたことのある感情
そのもので
私には出来ない甘え方を
あの子はいとも簡単にやってのけた
私は見ていることしか出来なくて
諦めたように微笑むことしか出来なくて
心が耐え続けた分だけ一人
面白いくらいにとめどなく涙が溢れた
私には出来ない
きっと私には他の確実な武器があるし
好きな人はただ空気を
楽しんでいるだけだと思うし
風のようなあの子の本心も見えない
たいしたことのない事象だなんて
誰が決めるんだろう
傷つく要素がないだなんて
どこに基準があるんだろう
それはもはや
理屈ではなかった
あの子の天真爛漫さへの
嫉妬に刺される




