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星降る夜に 龍星  作者: きらり
1/1

出逢い



星降る夜


それは 星が降るのではなく


龍が降ってくるのよ




天高く翔ぶ 龍が空での役目を終え


地球へと降りる

その時に 龍の瞳と同じ色の 龍玉を手に持って…



龍玉は 龍の宝 魂そのもの。


それらを 自分の生が尽きるその時まで大事に持ち 死した後には この星の力の一部となる。


主には 水中へと降りていくが

まれに 

水中に降りられず

地上へ落下してしまう龍もいるのよ。

それらが 手放した龍玉が 人々に伝わり崇められているのでしょうね。




星降る夜の お祭りを はしゃぎながら見に来た子がいるわ


名前は ルルとキキ


この子達の 出会いを見守りましょう…





 「ルル 星まつりの日とはいえ  

 浮かれ過ぎじゃないの?」


「そうかなー

こんな夜に出歩くことができるのは 一年にたったの一度 今日の夜だけよ!」


 「それもそうか」


「キキー!

森の奥に行ってみようよ

きっと もっと沢山の 星が降ってくるところを見れるよ」


 「危なくないかなー?」


「大丈夫だよ

今日は 星まつりの日

沢山の人が 森の奥へ入っているよ」


 「少し見て 帰ってこようね」




星まつりの日 降ってきた星を捕らえようと 狙って森の奥へと入る人は沢山いる。


大体は 腕に自信のある屈強な男だ


まれに 願いをかけに行く若い女衆もいる。




星まつりの集まりの場から離れ

森へと足を踏み入れる。


急速的に 静けさと共に暗闇が近づいてくる。

昼間は 木もれ陽のあふれる あたたかな森だが

昼と夜では こうも異なるものかと 畏怖さえ感じる。



 「ルル 怖くない?」


「大丈夫。

キキが 手を握っていてくれるから。」



僕自身が怖くて 手を握っていたのに それで安心してくれるとは


自分の肩の強張りが少し楽になったようだ。



一歩一歩 着実に 森の奥へと歩みを進める。


もう少し進めば 湖のある広場があるはずだ。


そこまで行って 引き返してくればいいだろう。


そんな考えを浮かべながら歩いていると。


辺りが 昼間のように明るくなった。



「星が 降りてきた!」


ルルが 手を離して 駆け出した。


 

 「まって!」



つられて僕も駆け出した。




湖へついた。


湖面が 七色に煌めいて波立っている。

未だかつて 見たことのない景色に目を奪われ 美しさのあまり 言葉が出ない。


隣で立ち尽くしている ルルも 同様のようだ。


大きな光が近づいてくる

湖面が 更に波立ち 光が乱反射しだした。


光がシャワーのように降ってくる

まるで光のこうずいだ。


パシャン!


この音で 光は湖に吸い込まれていった。


辺りの まばゆさは減ったが

水面下では 七色の光が右往左往して段々と光が奥深くへ行ってしまうようだ。




 湖がこんな 輝くなんて始めて見た。


星まつり…

まさにその通りね。


 「ふふふ」


「あはは… 」



あまりにも すごすぎる光景に 思わず笑い声がもれた。


遠くでは まだまだ星が降っている。


辺りは 先ほどではないものの ほんのりと明るい。


しばらく 湖の様子を眺めていたが  

近くに星が降りて来ない。



 「そろそろ帰ろうか?」


「うん。

さっきの 虹色の湖 すごくきれいだったね。」


 「ほんと。始めて見たから 驚いたよ。」



感想を伝え合いながら

戻ろうと 湖に背を向け 歩き出そうとした その時


ひときわ大きな光が 僕達に向かってやって来た。



 「ルル!こっちだ!」


手を掴み 逃げるよう走り出す。


光は ごうごうと迫ってくる


間一髪の所で 光が曲がり 僕達を避けて進み しばらく行ったところで止まった。



 はぁ はぁ 


肩で息をし ルルを見る


ルルは立ち尽くし 光の先を見ていた。


僕も 光の先を見てみる。



すると そこには


大きな白い物体が 光り輝きながらいた。



大きな白く 長いもの。

長すぎて全貌が見えない。

上方には 毛がふさふさとある。毛のないところには

輝く鱗がある。


なんだろう。

これが星の正体か?


しばし見つめていると



「いたたたた… 」



「しゃべった!」


二人で声を上げた。


「ぅん?」


白いものが振り返る。


大きな目玉。ぎょろりと。


大きな口に 大きな牙。


口元にふさふさとあるひげ。




見つめ合う。




見つめ合う。




見つめ合う。





「大丈夫?」


一番に口火を切ったのは ルルだった。


「……」


「私の名前はルル。こっちはキキ。」


「…わしは 龍王。

お主らを巻き込まないで済んで良かったわい。」


「避けてくれて ありがとう。」

 「ありがとうございます。」


慌てて 僕も伝える。



「全く 湖へも入れないとは わしも もうろくしたわい。」


「湖へ入って どこへ行くの?」


「奥へ 奥へと 進むのじゃ。」


「奥には何があるの?」


「何もない。静かに横たわれる場所をみつけるだけじゃ。」


そう言うと 龍王は力を込めたのか 鱗一枚一枚が輝き出し

大きな体が地面から少しばかり浮き上がる。


身体の向きを変え 湖の方へ進み出す。


つられて 僕たちも付いていく。


「湖の中へ行ったあと また会える?」


「そうじゃのぅ…。

会いたいと願えば もしや出会えるかもしれぬ。」


「なら、会いたい!」


「…では この 玉の一部をお主たちに授けてみるとするかの。」


龍王は 持っていた輝く玉を 小さく ぶちりと千切る。

ちぎられた玉も ちぎり取った玉も 瞬時に丸に戻る。


何とも不思議なことだ。

ま、星降る夜の正体を見たあとでは 何一つとして驚くことはないか…


「これは?」


「龍の宝といわれている龍玉だ。」


「言われている?」


「…これは 霊力の塊じゃな。空に集まってきたものを

わしの霊力を土台とし この玉にしてきたのじゃよ。」


「へぇ…。

 難しいことはよくわからないけれど これ持っていると 会えるのね!」


「そうじゃ。

 わしと連絡が取れるって言うわけじゃ。」


「すごーい!

 星降る夜には こんな素敵な秘密があるのね!」


「では 会いたい時 その玉に 念じるのじゃ。」


「今日は龍王さんと会えて嬉しかった!

 また会いたい!」


伝えられたとおり すぐにルルは

玉を両手のひらではさみ 祈るように 述べた。


すると 玉が七色に光輝いた。

同時に、

龍王の持っていた玉も輝き出す。


光が呼応し合い 放射状に光が広がる。

七色の光が 僕たちを包み込み 

辺りを昼間よりも明るく照らし続ける。


「わぁぁ…」

「なんてきれいなんだろう。」


見惚れていると

光が徐々に収まっていった。


「こうやって 光が広がった時は 会いたいという合図じゃよ。」


語り合いながら進んでいくと 湖の淵へと着いた。


「では わしは 行くとするかの。」


「うん。 ありがとう。龍王さん!」

「ありがとうございました。」


「わしも 久々に人と語らうことができて嬉しかったぞ。」


「連絡するよー!

 また 会おうね!」

「また会えることを楽しみにしています。」

 

「うむ。」


言うが早いか

龍王は 静かな水音を立て

湖へと消えていった。



波間に見える影がなくなるまで

僕たちは 湖を見つめていた。



「すごかったね。」


 「本当に。」 


「龍王さん、会いに来てくれるかなー?」


 「きっと来てくれるよ。」


そう言いつつ いただいたばかりの玉に 念じる。



 また 会いたい。

 会えてうれしかった。

 今度は いつ会える?




すると パシャッ

水面が揺れる



「呼んだか?」



「えっ…?」

 「あっ…!」


そう 僕たちは 用事があるわけではないがついつい 玉に念じてしまったのだ。




龍王に その旨を話すと 



少し 怒られた…




こうして 僕たちは 新たなる大きな友人と出会うことができた。


出会ってから その後にはどんなことがあったかって?


それはまたのお楽しみってことで…



















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