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第9話:イン・ラプト探索04(魔術屋を去り)

 魔女から魔術を教わった勲造は、何となく不思議な感覚に包まれながら、指先から水なりドリルなりを生成して遊んで見る。


「すごいなー、この国では魔術で歯の治療を行っているんだなー、新感覚!」


……


10分前――


「それじゃあ魔女のお姉さん、100万ダリーで4つの魔術、確かに買わせていただきました!」

「まぁ…ダリーを貰えるならいくらでもね。魔術の使用はきちんと訓練しておくのよ。手に入れたからと言って、誰でも万能に取り扱えるわけじゃないんだからねっ」

「はーい、ありがとう! 練習してみますね!!!」


 勲造はそう言って指先から器用に0.5ミリ幅の水圧を飛ばし、歯の歯間に当てながら、先程食べたお肉を丁寧に除去している。


「(う〜む、かつて凶悪なモンスターを倒すきっかけとなったウォーターガンが、こういう使われ方になるとは)」


 魔女はなんとなくむずがゆさを感じる。


「あっ、そうだ魔女のお姉さん」

「なによ? まだなにか欲しいものでも?」

「違います! お姉さんと話をしている際に気がついたんですけど、右奥歯下の6番目と7番目の歯が、少し虫歯になっているのが見えました」

「……ん? むし、ば?」


「はい、見た目的には中等具合まで虫歯が進行しているかもしれません。早めにかかりつけ医に相談したほうが良いですよ。多分すぐに直してくれます」


 と言い、勲造は笑顔で立ち去っていく。


「……むし、ば? ……なに、それ?」

 ズキッ!!!

「……っ、つう。ま、また例の痛みが……!」


……


「あの魔女のお姉さん、歯医者嫌いなのかなー? 歯石もちょいちょいついていたし、この国も予防歯科に弱いのかもしれないね」


 歯間の汚れをウォーターガンで除去しながら、

 ポケットに仕舞っていた歯ブラシと高濃度フッ素の歯磨き粉で歯磨きをする勲造。


 お店で買おうと思っていた歯ブラシだったが、そういえば白衣の内ポケットに複数ストックを持ち合わせていたことを思い出し、手に入れたばかりのウォーターガンで歯間掃除をしつつ歯を磨く。


 そんなこんなで口腔ケアを済ませた勲造は、国をのんびり探索しているうちに、大きな建物へと到達する。


「すごいなーここ、ローマのコロッセオみたいだ!!」


 イン・ラプトの中心部に大きく構える円形の建物。

 200年の歴史を持つ、闘技者たちが集う戦いの場所

 ――その名は、ブラケット


 かつて魔王を討伐する精鋭たちが、己の力を示すために、

 命をかけて戦いに挑んだ戦場だ。


「スマホ持ってくればよかったなー、写真映えするだろうし」

「……もし、そこの殿方」


「……ん?」

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