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第15話:よだれを垂らした女騎士と鼻から牛乳の魔女

「あはは、冗談ですよ! この世界に歯間ブラシ無いのはさっき聞いたじゃないですか!」

「こ、こいつは……」


 顔面と洋服が白い液体でベトベトになりクールのかけらのない魔女。

 世界を股にかける魔女も、鼻から牛乳を吹き出してしまえばただの面白い芸人である。

 右手のステッキから、ほのかに殺戮の豪炎魔法が溢れかかっているが、残念ながら牛乳もこぼれているため上手く出せないでいる。


「ところで魔女さんに質問がありまして!」

「……なによ? こんな牛乳ベトベト女に頼みでも有るの?」

「はい! ベトベトのままで大丈夫ですので聞いてもらってもいいですか!?」

「私がダイジョウブじゃないんだがっ!!!?」


 そんなツッコミを完璧にスルーして勲造は質問する。


「僕、元の世界に帰りたいと思っているんです」

「……ふぅ〜ん、そうなんだぁ……お家が恋しくなったの? ふふっw」

「違いますよ〜この女の子が虫歯をいくつか持っていそうなので治療したいと思っているんです」


「女の子って……そ、その…アンタの肩に乗っかってめちゃんこ仰け反っている子?」

「はい、そうですっ!」

「あっ、はい」


 勲造の猛烈なダッシュによる風圧に負けてしまい思い切り仰け反っているリトール。

 気絶して白目になり口を大きく開けてよだれを垂らしているそれは、国一番の騎士だとはわかるまい。

 二人を横から見るとГ(ゲー)の形になっており、縦線が勲造、横線がリトール。


「ちなみにリトールさんっていうお嬢さんらしいのですが」

「げっ……!!!!!! アンタ……なっ、なんであの英雄リトール様を連れているのよっ!!!」

「なんでって、手合わせを申し込まれて受けたのですが、虫歯っぽい予兆を感じたので連れてきました^^」

「ピンからキリまでワケが分からないわよっー!!!!!!」


 どうして国一番の騎士と手合わせしているのか意味不明だし、なんで無傷なのか謎すぎるし、なんでそこから魔女の家に来たのか意味不明だし、リトールがメッチャよだれ垂らして汚いし、あと勲造の笑顔がメッチャ輝いているし。


「う、うぅん……こ、ここは……」

「リ、リトール様!?」


 よだれを垂らして思い切り気絶していたリトールは、二人の楽しい会話の音で目が覚めた模様。


「あっ、ユージノール殿……どうしてここに?」

「どうしてここに? はアタシが聞きたいところなのですが……?」


 国一番の英雄とされる者が、見知らぬ歯科医師に肩車されよだれを垂らしていれば誰だってこの状況に疑問を抱くだろう。


「あっ、それは僕がお嬢さんをここまで連れてきたからですよっ!!!!!!」

「ぎゃあ!!!! でたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


 鼻水を吹き出し驚く美少女リトール。

 リアクションがまるで前話のときと同じである。

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