第13話:闘技場での闘い03
最初に仕掛けたのは勲造だった。
「せーの!」
ブォンッ!!!!
「くっ……何だこれは、随分と速い蹴りだ!」
急接近から相手の死角を縫うように腹部目掛けて回し蹴りを仕掛ける勲造。
騎士であり戦闘に長けた相手であるがゆえに、じわりじわりと戦うには分が悪いと判断したのか、急襲による先制攻撃で一気に勝負をつけようと……
なんて考えているわけもなく。
「これをやるとジムのコーチに凄く褒められるんですよねー! なんかわからないけど、凄く褒められます!」
キックボクシングはあくまで運動不足の手段である勲造にとっては、相手に喜んでもらえるならそれでいいという精神の元に行動を決定しているため、相手にとって脅威な仕掛けであったとしても、実のところそんな深く考えていなかったりする。
「良い動きをされる。だがーー」
リトールも勲造の動きを適切に見決め、見事なバク宙で回避し間合いを取る。
「一応これでも騎士なものでな。私もやすやすと勲造殿の期待を裏切りはせぬ」
「う〜ん、やっぱりプロの人ってスゴイな―。人外みたいな動きするんだね」
様々な敵との死闘を経て鍛え上げられてきたリトール。
戦いは力も大事だが、戦略、そして五体満足であることが大事としている。
かつて兵士はその身を王に捧げ死を覚悟し的に立ち向かうことが
全てであったが、それはもう昔の話。
兵士は、いかに攻撃を受けないか、利己的に動けるかを
重視するようになり、そして跳躍を学ぶ。
その知が長きに渡り人の歴史に語り継がれれば、
技術はもちろん、人の肉体へも進化がついていき、
結果、この世界の人々は現実世界に比べて肉体が
強くなったのである。
「今度はこちらから参ろう。勲造殿、お覚悟を!」
「わっ、すごい……! その体制から飛びついてくるんだね!」
バク宙の姿勢からバランスを整え、闘技場の壁を台にして
そのまま勲造の元へと飛びつく。
ギュッ!!!!
「ワッ! すごい、肩車になっちゃった!」
「ふっふっふ……勲造殿、捕まえましたぞ。チェックメイトというやつですな」
正面から接近してくるリトールを避けようと後方へ回避した勲造だったが、
実はそれはフェイクで、勲造の目の前で更にムーンサルトをし、
後方に回り込んでから、一気に勲像へとしがみついたのだ。
「ですが、お嬢さん……1つ気になることがありましてね」
「……ん?」




