悠然
あれから、俺は村の連中に囲まれ質問攻めにあった。
『どこからきたの?』
『家族はいるのか?』
等々。俺に興味を貰うのはいいが、返答は「わからない」だ。自分が何者か、わからない。
『何故、旅に出たのか』
これは答えられた。世界が見たかったからだ。こんな滅茶苦茶な世界だが、興味が湧いてきた、そして、***を見つけたい。正体不明なにかを
村人は俺のことを笑った。正体不明なら見つけることが出来ないではないか。と
だが、俺の目的は変わらない。***を必ず見つける。
『それを見つけたら、どうするんか?』
村人の一人が痛いところをついてきた。しまった。そこまで考えてなかった。どう答えるべきか。
「えっと……」
その時、助け船が来た。ルフだ。
俺は病み上がりだからとルフに別の場所案内され寝かされた。まぁ、寝てたベットが横取りされてしまったから、それはそれで助かった。
外の男女の声や物音がまだ騒がしい。村長が寝潰れたというのにまだ宴が続いているみたいだ。ルフもまた、宴に戻ったのだろう。
さて、武器と荷物を回収したい所だ。丸腰だと何かあったら遅い。食事の最中にテーブルナイフとフォークをくすねることに成功したが、もの足りない。だが、どうやって回収するか?保管場所がわからない以上、手当たり次第住居に侵入するか、ルフに直接聞くかの2択だ。
前者は宴に夢中で成功しそうではあるが、現実的ではない。見つかったら、何をされるかわからない。案内されている時に見たが、そこそこ住居があり、物色し終える頃には朝になってしまいそうだ。
ひとまず、今日一日は休むとするか。
*** *** ***
「参ったな」
眠れない。横になり、瞳を閉じたが、あのケタケタの笑い声が眠気を追い払って、眠りを阻害している。酒でも飲んでみるか。
宴の時、無防備になりたくない理由で、勧められた酒は断ったが、まさかこうなるとは思わなかった。
*** *** ***
外は澄み渡り、満点の星空が広がっていた。世界はこんなになっているのに、これだけは憎めない。いつ見ても飽きない。
「さてと」
案内された道を逆戻りして、宴の会場に戻った。宴の会場は人が少なくなっていたせいもあり、静かに規模が小さくなっていた。地面にはだらしなく酔いつぶれて寝ている人もちらほらいる。
「良いところに」
俺は胡坐をかき、大きな瓢箪を片手に握って、一人で酒を楽しんでいるルフを見つけた。ルフはこちらに気が付き、しっかりとした足取りで近づいてきた。
「どうしったんすか。ちゃんと、寝ないと駄目っすよ」
口調が全然乱れていない。見た目に似合わない恐ろしい飲兵衛だ。思わず、ひいてしまった。
「眠れないから、酒を拝借しに来た。まだ残っているか。」
ルフは申し訳そうな顔をして
「すまないっす。これで最後っす」
ルフは手に持っていた瓢箪を横に振りながら言った。
瓢箪は底の方でちゃぷちゃぷと軽い音を立てただけだ。
「はぁ……それだけなら、お前が飲むといい。夜風を浴びたから、少しは眠れるだろう」
俺はため息を残し、その場を離れようとした。が、
「あの、旅について話してほしいっす」
ルフに呼び止められてしまった。
「仕方ないな」
あまり、人に話すのが苦手だが、付き合ってやるか。正直、戻っても、眠れる気がしない。
俺はルフのところまで、引き戻り隣で胡坐をかいた。




