対峙
修行を始めて3日が経った。俺は未だに制御できずに木にぶつかっていた。Codeの使いすぎで、気を失ってしまって、続けて行えず、どうにもうまくいかない。
「オレと、戦ってみないか?」
木の実だらけの朝食を摂っている最中に俺のお目付のーから言われた。
「どうして急に?」
「気晴らしだ」
寝る時もずっと一緒にいたが話かけてくるなんて珍しい。裏に意図が何かあるのだろう?
「良いだろう」
「オレ、強い」
レは不敵な笑みを浮かべた。
※※※
「これを」
レから木の枝切れを渡された。
「加工してないのか?」
こんな枝切れだとすぐに折れて、稽古にならない。
「自然の流れに反するからな」
またそれだ
「流れってなんだ?」
「枝が、折れる前に、オレに、勝てたら、教える」
族長が俺に課した事柄でもある以上、レを倒して知らねければならない。また、知ることで、俺の求めている旅の目的に近づく事ができるだろう。
俺は、レから木の枝を受け取り、間合いをとる。
「始めるか」
俺は、黙って頷き、いつものように枝を下段に構え、レからの攻撃を迎撃する姿勢をとった。
と、急に向い風が俺に吹いてきた。
「行くぞ」
レが風と共に物凄いスピードで俺に向かって走って、一気に間合いを詰めてくる。人間の出せるスピードじゃない。明らかにこれは獣の力だ。
「っっ」
俺は咄嗟に枝を持ち上げ、防御の構えをとった。Codeを使う暇すらレは与えてくれなかった。
レは枝を持っていない、虫のような手で、俺の枝切れを殴った。
枝切れはポッキりと容易く折れ、勝負が決した。
「俺の勝ちだな」
レがニヤリと笑う。
「ずるいな」
俺も釣られて笑った。枝切れが折れたら負けだと彼が言ったが、手段は何も指定しなかった。つまり、自分の枝を使わないでも相手の枝を折れば良いのだ。
「もう一回やるか?」
「ああ」
レは落ちていた別の枝を俺に渡して間合いをとった。
「始めるぞ」
レが言い終わると同時に追い風が吹いた。
今度はさっきと逆で俺が奴に向かって走った。レより速く仕掛けることが奴のスピードをへの対抗策だと考えたからだ。
レは一歩たりとも動こうとしない。
「せいっ」
俺は、ぶらんと下げていた枝を上げて、袈裟斬りのように奴に上から振り下ろした。
「よっ」
レは俺の攻撃に合わせて枝の中腹を短く持ち、俺からの枝にぶつけた。
ぽきっと折れたのは俺の枝だった。枝を長く持っていたのが仇となった。
「やるな…」
ぽいっと、折れた枝を投げ捨て俺は呟いた。
「もう一回やるか?」
「いや、もう大丈夫だ」
何度やっても、結果は同じだろう。だが、何となく『流れ』についてボヤッとだけどわかってきた。




