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Namenlos   ー名もなき旅人ー  作者: タギリス
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閉塞

スランプ気味

  中は広い空洞になっていた。長の家だというのに煌びやかな装飾は一切なく、木があらわで殺風景だった。


「母様、連れてきた。」


  奥で大きな何かが動いた。


「良く来たな」


  大きな影から姿があらわにになった。その姿は巨大な蟻が直立しているような姿であった。いまいる空間は広いのに母様は天井に頭がぶつかりそうだった。


「お前が母様か。何故俺をここに呼んだ?」


こいつには聴きたいことが山ほどある。大災厄のことや、そして俺が探しているモノについて


「お前は試練に打ち勝った」

「試練だと?」


 あの猿の襲撃のことか。そんな訳ないと思うが、森の民が差し向けたものだったものか?


「勘違いをするではない。あれは、森の流れがそうさせたのだ」


 俺の思考をよみ、聞く前に母様が答えを言った。


「さっきから、気になるのだが、『森の流れ』ってなんだ。」

「目を閉じてみろ」


 俺は言われた通り、目を閉じた。


「何が見える?」


 何も見えない。ただ、そこには、闇があるだけだ。


「闇だ。それ以外はない」

「なら、何が聞こえる?」


 恐ろしいことに、ここは森だというのに、何も聞こえない。


「どういうことだ?何も聞こえないぞ」


 いや、これは


「俺が塞ぎこんでいるからか」


 修行で、気持ちを落ち着かせるために瞑想を行ったことがあったが、思えばそのときも、何も見えなかった。


「いったい…」

「心を開くのだ。それまで、お前に教えることはない」

「なんだと…!?」

「出直してこい」


 俺は、引っ張られて、大樹から追い出された。


「すまない。暫く、ここで、過ごして。母様の許可を貰うまで。」


 言われないでも、そうするつもりだ。母様の奴に俺を認めて貰わないと、虫の居所が悪い。ふとっ頭の中で、人影が見えた。

 

 俺が今やろうとしていることはそいつに似ているな。もしかしたら、似たもの同士だったのかもな。

 

「ふんっ」


 俺は思わず笑ってしまった。


 さて、これから、また修行のやり直しだ。ルフ達には悪いが、しばらく戻れそうにないな。








 

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