森の民
「着いてきて、母様が呼んでいる」
「わかった」
俺は言われるがまま、ルフと遭遇したことのある森の民についていく。俺を勇者と呼んだ他の森の民は着いてこなかった。
「そういえばだけどさ」
「何だ?」
「喋りが流暢になっているが何があったんだ?」
「母様に恩恵貰った」
「その母様ってのは何者なんだ?」
「母様は母様」
うーん、答えが曖昧だ。実際に会って自分の目で確かめろってことか。
「名前を聞いていなかったな。といっても俺にはないが」
「名前は、レだ」
「レ、それがお前の名前か?」
「そう、母様から貰った大切なもの」
「皆そんな感じなのか」
「そう」
まさかの一文字か、人とは違った文化を営んでいると思っていたが、名前も人と違うものなのか。
レに連れられて、集落を抜けているときに、森の民の文化の違いが見えた。畑は見当たらなかった。おそらく、狩猟採集生活を営んでいるのだろう。
森の民は、木の穴の中で生活しているようだ。集落には人工的な建造物が一切見当たらない。
外から木の穴での食事の様子をみることが出来た。採集された木の実や肉を生のままで食べているようだ。
集落の民は、人間の俺を見ても、全く動じなかった。奴らは皆フードを被って、素顔が見れない。が、恐らく獣だろう。
獣が文明を築いているのは驚きしかない。
まるで、人間のようだ。
「火は使わないのか?」
素朴な疑問をレに投げかけてみた。レが持っているレーザー銃はどう見ても火を超えた文明レベルだ。
「我ら、森の流れに従う。火は森を傷つける。森の流れを乱す」
「森の流れとは?」
「母様のところで話す。母様から聞いた方がわかりやすい」
「そうか」
確かに、レの喋り方だと聞いても理解できないだろう。
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「着いた。ここに母様がいる」
集落の外れまで来ていた。そこには、どの森の民の住居の木よりも大きな木が生えていた。
中からは、なにかが威圧感を放っており、空気が重たい。
「ここに母様がいるんだな」
「そうだ」
この樹の中に俺が探しているものがあるような気がする。母様とやらが持っているのかもしれない。




