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Namenlos   ー名もなき旅人ー  作者: タギリス
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少女

 ここの集落から、少し離れた所に街はあるそうだ。


 その街は発展しており、化学技術が進んでおり、生活水準は高いほうで、人々が何不自由なく笑いあって暮らせていた。


 そんな平穏な暮らしは一瞬で崩れさった。


 災厄は、唐突に訪れた。その日はとても晴れており雲一つない、澄み渡った空が広がっていた。街の人は家族で出かけたり、自分の趣味に没頭したり、あるものは仕事をしていた。なにも変わらない平穏な日だった。


 突然、空から『ソレ』は降ってきた。雨ではない。とても、信じられないものだ。


 そして、『ソレ』は地面に着地するとおぞましい声で一鳴きした。その音に呼応して、不気味な塔が街の中央から生え、街のあちこちで今まで、人が見たことない異形が地を割り這い出てきた。異形の存在は人々をギラギラとした目で睨み、涎をたらし、今にも人々に襲い掛かってきそうだった。


 人々は困惑した。それもそうだ、今まで存在しない未知なことが立て続けに起こったからだ。


 その混乱の中、『ソレ』は人々を諭すように塔の頂上で喋った。


「今から我々は一斉に人なるものを喰う。だが、首を10個集め、塔まで持ってきたものには力を与えん。」


 言い終えると『ソレ』は塔の中に姿を消した。


 人々の混乱はさらに広がった。あるものはあてもなく逃げ惑い、ある者は恐怖に慄き、その場で立ち尽くした。そして、ある者は同族に襲いかかり、首を狙った。 


 そうこうしている中、異形はたちまち、無差別に人々に襲いかかった。人は抵抗したが、抵抗も虚しく、異形に喰われた。


 平和ボケした、無能な人が死ぬのは容易かった。


 あっという間に人だったものは道じゅうに転がった。街の外に逃げようとした者もいたが、無駄だった。異形は街を包囲し、逃走者に襲い掛かり、喰い殺した。


 かろうじて生き残った僅かな人間は異形と戦い、体内から取り出したキューブの武器で勇敢に戦った。異形、或いは『ソレ』が言ってた力を求めて首を集めだした同じ人間と。


 ***


 首狩り人は、どんどん逝かれいき、人を殺す快感覚え、首なんてどうでもよくなった者が現れ始めた。


 自分たちを味方だと目の前で異形を狩り、人を助け信じ込ませた後、手の平を返し助けた人を皆殺しにする連中もおるものだ。

 

 一方、首を狩らなかった生き残りたちは、他人を疑心暗鬼になりながらも、外に出る手段を画策していた。街を包囲している異形は、より手ごわく、一筋縄ではいかない。到底、普通の人一人だと、太刀打ちができない。返り討ちに会うのがオチだ。


 そして、事態は深刻化し、突如、塔の中から赤いローブを着ている者たちが現れ始めた。ローブの集団は化学では証明できない摩訶不思議な力を使うことができ、『ソレ』に忠実な人を助け、否定的な人を苦しめた。


 ***


 ルフは、災厄の日、異形に襲われたが、両親が逃がしてくれ、生き延びることが出来ていた。


 目の前で両親を食べられるという少女には、とても酷な出来事は、逆に彼女に『生きる』意思を与えた。


 ある時、ルフは、食事中の異形に奇襲を仕掛け、倒すことに成功した。食料にありつけなかった空腹な彼女は、異形を喰い、腹を満たした。

 

 逆に異形に襲われることもあったが、自慢の脚力で逃げ、首狩りに押し付けたりした。

 

 赤いローブの人に自分は首を集めていると餓死した人の首を見せることで騙し、食料を恵んでもらった。


 彼女はたくましく外に出れる日を懇願しながら、生き延びていた。


 そして、その時は、急に訪れた。


 続に村長になる人物とバッタリ出くわした。


 村長は自身満々にいった。


「おい、街から出たくねえか?」


 ルフは唐突なことに唖然とした。最初はペテン師かと思ったが、やけに自身に満ちた顔がそれを否定した。やっと、解放される。その思いから、自然とルフは涙を流した。涙をぬぐいながら、村長の手を握った。


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