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散華のカフカ  作者:
三部 飢餓の弓
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十九章 首都陥落作戦-第四首都 其の肆-

劃vsティフォン!

戦闘は激しくなり、互いに限界を超え続ける。

権能解放(オープン)支配式武器庫(キリアルヒャ・ウェポンズボックス)


 血の池から何者にも染まらぬ白を持った四角い箱が姿を現し、それを見たティフォンはそれに目掛けて嵐の槍を突き放った。


 彼は本能的にその白い箱が自らの命を脅かす物と感じ取り、先程よりも激しく攻撃が行われる。

 しかし、連撃を喰らうも白い箱には傷一つ付くことは無く、ティフォンはそれに気付くと直ぐ様彼らから距離を取った。


「その白い箱。それがお前の切り札か?」


「ああ、そうだよ。これは俺自身が作り出した兵器。俺が自らを兵器とたらしめる物だ」


 (クアク)はそう言うと二本の刀を白い箱には突き刺し、再び口を開く。


権能解放(オープン)支配式契外装(キリアルヒャ・アーマー)支配式契剣(キリアルヒャ・ブレイズ)


 白い箱が大きな声共に形を変え、そこから十字状の鋼が四つ放出されるとそれが(クアク)を守る様に辺りを回り始めた。


 それを見たティフォンは先程よりも警戒心を強め、構える拳を強く握り締めると彼に必殺の槍を放つ為に走り出した。


 ある程度の距離になれば嵐の槍は放つ事が出来、そのリーチを活かす最大の距離でティフォンは突きを放つ。


 嵐は地面を抉り取り、彼の心臓目掛けて容赦無く襲いかかる。それは当たれば確実に致命傷になるはずの一撃であり、その威力を(クアク)自身が一番理解していた。しかし、それを宙に浮かぶ二つの白い鋼が彼を守ろうと動き出し、槍と盾が大きな音を立ててぶつかりあった。


 槍は全てを貫き、抉ろうとするも盾はそれを許さず、ヒビが入る事なく(クアク)の体を守り切る。


 その事に気づいたティフォンは既に次のモーションに入っていた。


生命開放(オープン)絶火焔(スルト)抜刀(リィーバテイン)


 焔の刃は辺りを明るく照らしながら(クアク)に向かうもそれを彼はもう一つ取り出した白い剣を鞭のようにしならせぶつけると焔は打ち消され、竜の尻尾の様な刃がティフォンの腕に当たり、体を吹き飛ばした。


(今の何だ?もしかして俺の抜刀(リィーバテイン)を打ち消したのか?支配の兵器が作った武器だからそれくらい有り得るか。加えて、右腕。当たった箇所の治癒が遅い。生命武器自体に特攻があると聞いていたがここまでとは。次さっきみたいの喰らったら本調子に戻るには時間がかかりそうだ)


 ティフォンは壁にめり込んでいた間、様々な考えをしていると(クアク)はそんな彼に容赦無く追撃を入れる為に剣から突きを放つ。


 その突きは先程同様剣先が急に伸び始め、加速するとティフォンの右腕に目掛けて飛んでいく。ティフォンはそれを横に飛びながら避けると空中で足場のない状態ながら(クアク)に目掛けて仕返しをする様に嵐の突きを放つ。


生命開放(オープン)絶嵐拳(オーディン)抜錨(グングニール)


 槍は盾とぶつかり相殺された様に見えるも先程まで空中にいたはずのティフォンの姿は無く、嵐が産んだ煙の中から(クアク)の視界に急に現れると蹴りを入れ吹き飛ばした。


 吹き飛ばされた(クアク)であったが蹴りに対してしっかりと剣の表面でそれを防いでおり、互いに距離を詰めずにいるとティフォンは少し口角を上げ彼に喋りかける。


「概ね理解出来たよ。その盾、生命武器のの攻撃にのみ反応するんだろ?」


「ああ、そうだよ」


「馬鹿正直に答えるなんてお前馬鹿なのか?」


「どうせ、バレてんなら嘘つく意味ないしな」


「そうか。なぁ、東 (クアク)。俺はお前の事を気に入った。だから、お前をここで殺したい」


 ティフォンは(クアク)の目をしっかりと見て、自分の本心を告げる。そんな彼に対して(クアク)は自らを認めてくれる敵に出会えた事に感謝をしながら剣を構え直すとそれに応えた。


「なら俺も全力で答えるしかないな。殺せるなら殺してみろ、ティフォン」


 彼らは敵同士でありながら相手に敬意を払い、互いの得物を前にする。片方は好敵手に習った敬意を胸に、もう片方は師から習った技術を武器に込め、再び戦いのゴングが人知れず彼らの中だけで響き渡った。


 最初に距離を詰めたのは(クアク)の方であり、片手に剣を握りしめ、最短距離を突っ切ろうと正面突破を試みた。しかし、それを予測していたかの様にティフォンは正面から来る(クアク)に対して根源に眠る武器の一つを持ち出す。


生命開放(オープン)絶凍結(フェンリル)咆哮(グレイプニル)


 ティフォンが地面に踵落としをすると迫り来る兵器を凍てつかせる。宙に浮く四つの盾がそれを防ぐもそれをものともせずに正面から向かう(クアク)の両足を凍らした。そして、(クアク)が気付いた時には既にティフォンは目の前におらず、白い十字が彼の視界を遮る事を理解した上で動き出していた。


 両足が地面に無理矢理つけられた事により逃げる選択肢を失わされるも(クアク)は至って冷静にそれに対処を始める。


(凍った足を動かすにはまだ時間がかかるが後少しで動ける。こう言う時に狙われるのは背後)


 片手に携えた剣を伸ばし、それを振るうと周囲に斬撃が飛んでいくと周りの壁に一瞬にして切り傷が生まれた。それはしっかりと(クアク)の背後にも届いており、彼の計算上は攻撃が当たっている筈であった。


 しかし、そこには切った感触は無く、ティフォンは背後を取ってない事に気付くと同時に天井が突き破られ、そこから(クアク)に目掛けて根源に眠っていた新たな武器を披露する。


生命開放(オープン)絶焔獣神(フェンリル・スルト)蹴末(ラグナロク)


 焔と氷が入り混じり、美しいコントラストを生み出しながら、その蹴りは(クアク)の体に容赦無く放たれるも凍りついていた二つの白い十字がなんとか動き出し、それを防ぎ直撃を免れた。


 二つの十字は破壊される事が無い、(クアク)はそう踏んでいた。ティフォンはその事を加味しながら蹴りを止める事はなく、その二つの十字の鋼と共に(クアク)の体を吹き飛ばしながら、床に穴を開け、ビルの階層を移動する。


(こいつ!俺をこのまま圧殺しようとしてんのか?!)


 (クアク)はそう思いながら十字の鋼を解き、一か八かの賭けに出るとティフォンの蹴りを自らの体で受け止める為に身体に回る支配の権能を一点に集める。


「権能鉄鋼・剛!」


 一方で放たれる蹴りは辺りの壁を溶かしながら進み続ける。


 焔と氷。


 両者は反発し合う様に巨大なエネルギー生み出し続け、(クアク)の両腕を溶かす。


 意識の集中により、その体に支配の権能を一点に集め、それを無理矢理止めようとするもティフォンの蹴りから放たれるエネルギーの爆発は止まる事を知らない。


 そして、その蹴りから放たれる焔と氷が止まると全てが終わったかの様にティフォンは飛び上がると拳を構え、最後の一撃を放とうとする。


生命開放(オープン)絶焔嵐神(オーディン・スルト)集末(ラグナロク)


 拳は嵐と焔を纏いながら全てを飲み込む、破壊の一撃と化していた。(クアク)はそれに対して両腕が溶け切っており、何かをする訳でも無く、清々しい表情でそれが放たれるのを待っている。


(クアク)、ありがとう。お前のお陰で俺はもっと強くなれる」


 確信。

 それは完璧なまでの勝利への物であり、そして、一瞬だけ生まれてしまった油断。


 走り出すティフォンは止まる事を知らずに一直線に向かってくる。それに対して(クアク)はその勝利を確信したティフォンが見せたほんの少しの油断を突く事を試みた。


権能解放(オープン)支配式契剣雨(キリアルヒャ・ブレイズレイン)


 (クアク)の声に呼応して、突き破られた天井から剣の雨が降り注ぐ。白い剣が大量に落ちてくるとそれがティフォンの目の前を遮った。


(いつのまに剣を作っていたんだ?まさか、俺が蹴りを入れた時からか!意識の集中で俺の攻撃を止める様に見せかけて上でコソコソあれの準備をしていたのか!ははは、面白い!面白い!)


 ティフォンは(クアク)がまだ諦めずに自分の首を取ろうとする事に沸ると自ら背中に容赦無く襲いかかる剣の雨に心の底から感心していた。


 だが、それ位で彼は止まらない。


 それを自らが纏う嵐と共に吹き飛ばすと(クアク)がいた場所に躍り出ると彼に目掛けて拳を放った。


 しかし、その一撃は空を切る。

 それは予想外の空。


 (クアク)の腕は溶かし切っており、彼の再生能力を込みで移動は不可と踏んでいた。その予想が外れた事に驚くとその背後から死神の足音を感じ、後ろを振り向く。


権能解放(オープン)支配式契砲(キリアルヒャ・バンカー)


 剣の雨の中から声がすると白い砲身から巨大な釘のようなモノが放たれ、嵐と焔を纏う左腕にそれが突き刺さると共に吹き飛んだ。


 左腕は空中を回りながら血が辺りを染め上げ、それが自らの物とティフォンは理解するとすぐ様、(クアク)へ残った拳を突き放った。


 (クアク)はそれを白い箱で受け止めるもそれはティフォンの一撃に破壊され、二振りの刀がその場に突き刺さる。


「予想外だ。あそこからここまでの逆転を見せるなんて」


 ティフォンは自らの左腕が転げ落ちているのにも関わらず、冷静且つ、これまで以上に感覚が研ぎ澄まされており、それに対して(クアク)はこれまで以上に警戒心を強め、突き刺さった刀を握りしめると口を開く。


「お前こそよくまだ立てるな。左腕が吹き飛ばされたのにも関わらず、その冷静さ。それに加えてこの状況を楽しむ心意気。なんだか那須川に似てるよ」


「ふん、あの男に似てるか。不名誉だが嬉しいものだな」


 ティフォンは落ちている左腕を拾わず、そのまま右腕のみを前にし、構えると再び(クアク)に喋りかけた。


「これからが最後の勝負になる。多分じゃなく、確実にだ。俺は今腕を一本失ったにも関わらず、これまでにない程、冷静且つ高揚してる。今から見せるのは新たな俺だ。かつて他者を蹂躙するだけのティフォンではなく、凡ゆる武を極めんとするティフォンだ」


「そうか。なら、俺もお前の全力に応えてやる。」


 武器を構えると最後の勝負に出る前に自らの名を大きな声で相手に敬意を払う為に叫んだ。


「埋葬屋十席、(アズマ) (クアク)!」


「ペトゥロ直属護衛軍隊長ティフォン!」


「「推して参る!」」


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