六章 第四首都兵器争奪戦 其の参
グリムVSラスコー開幕!!
そして、次回は新キャラお披露目とあるキャラの新しい衣装が出ます!
ラスコーは機械仕掛けの青年を劃達から遠ざけるとそのまま開放を行った。
「生命開放、絶折神・伝<速>」
紙から青年を放り出し、自らは紙を伝い、速度を上げる。
そして、亜音速の一歩手前に到達した瞬間、青年の死角を取り蹴りを放った。
「ふむ、これはこれはなかなかに良い技だ」
しかし、青年はボソリと呟くと彼の攻撃を後ろに目でもついているかのように限りなく少ないコンパクトな動きでそれを避け、目の前を通過するラスコーの体に拳を入れ、地面に打ちつける。
地面に幅が割れる程の威力の突き、尚且つ、自分を捉える事が出来ないと踏んでいたラスコーはそれに反応する事が出来ず、モロに受け、口から血を吐いた。
「何だ? 今の反応速度? 」
ラスコーは思わず声を上げると青年は彼の頭に目掛けて拳を放っており、転がりながら避け、それを見た彼は口を開く。
「いやいや、とても早かったのですがね。だが、慣れてしまっただけですよ」
「慣れるってこの速度にか? お前中々にイカれてるな。いいぜ、少しばかりギアを上げる」
両腕を前にし、構えると紙を手のひらから晒し、青年を試すよう声を上げる。
「生命開放、絶折神・静」
青年はラスコーと視線を合わせた瞬間に紙に封じ込まれ、それを彼は地面に叩きつけると青年の体も同じく地面に叩きつけられた。すぐさま青年は立ち上がりラスコーに拳を放つも再び彼の体を紙に封じ込め蹴り飛ばす。
絶折神は二つの方法を用いて相手を封じ込める事が出来る。一つは相手と視線を合わせたタイミング。これは封じ込める時間は五秒ほどしかないがある程度距離がある場合でも発動出来る。もう一つは相手の体に触れたタイミング。これは封じ込める時間が長い代わりに一定の距離に使用者が居なければ解けてしまう。そして、今ラスコーはこの特性を巧み利用し、青年を一方的に攻撃を放った。
封じ込めては蹴り、蹴っては封じ込める。一度ハマれば抜け出す事が出来ず、青年は一方的に防戦を強いられた。しかし、ラスコーが何度も何度も攻撃を放って行く間、青年は何かを伺っており、それに気づいた彼はすぐにトドメを刺しにかかる。
「生命開放、絶折神・伝<速>」
紙を投げ、それを伝い短いスパンで移動する。
目で追う事は既に出来ず、青年は彼がどう来るかをただ待つのみ。ラスコーは最大の速度、亜音速の領域に入った瞬間、青年に一瞬だけ触れ、紙に閉じ込めると必殺の一撃を食らわれせた。
「生命開放、絶折神・阿」
紙に向かい両足のでの蹴りが襲いかかり、その衝撃により青年の体が現れるとそのまま地面を抉りながら彼の体を吹き飛ばす。ビルを二つほど突き破り、漸くその蹴りの威力が無くなると青年は壁にめり込んでおり、動かなくなっていた。トドメを刺しきったと思いラスコーは彼から背を向け、歩きながら誰に喋りかける訳でもなく呟く。
「結構さっきの場所から遠ざかっちまったな。速く劃と合流してこの街を去るとするか」
「御安心を。あなたがそこに行く事はありませんよ」
背後から放たれた声によりラスコーは後ろを向くも青年の姿はおらず、再び前を向くと体に正拳突きが入り、吹き飛ばされる。先程よりも威力があり、ラスコーは吹き飛ばされながらも再び臨戦態勢に入る。そして、青年が月明かりに照らされ、姿を見た彼は更に警戒心を強めた。
青年の体は両腕、両足が機械で出来ており、体の一部も黒い機械に食われ、体から蒸気が発せらている。
「四割機械とか言ってなかったか? 」
「ええ、あれは嘘です。六割が機械ですよ。それとこれを見られたからに生きては返せません。私はグリム、あなたに明確な死を与える者です」
グリムはそう言うと眼帯を外し、その右目を解き放つ。それもまた機械で出来ており、その目はこの世の全てを知っているかの様であった。
両足に目一杯の力を込め、ラスコーに目掛けて走り出し、彼の体に蹴りを入れる。ラスコーは彼を紙に封じ込めようと手で触れるようとするも蒸気による熱が紙を溶かし、彼の体が触れる前に吹き飛ばされた。
蒸気を纏う攻撃は絶折神の紙を簡単に溶かし、ラスコーを追い詰める。放たれる攻撃の数々は先程の比ではなく一撃、一撃が必殺となっており、何かの枷がなくなった様に容赦無く払い続ける。そんな彼の攻撃を一方的に受けるもラスコーは怒りを向けながら叫んだ。
「ボコスカ殴んなよ! 痛えじゃねえか! 」
「先程から殺すつもりで殴っているのですがね何でそんなに硬いんですか? まぁ、良い。少し戦うのを止めて取引をしませんか? 」
グリムは少し驚いきながらも体から蒸気を放つのを止めると再び口を開いた。
「あなたの実力は分かりました。どうです、私と共にアルルカン・シャルル様に仕えませんか?」
「あ? 誰だよ、それ? 」
ラスコーの言葉を聞くと何かに失望したかの様にグリムはため息を吐きながらも話を続ける。
「第二首都首都長アルルカン・シャルル様。私の、いや、我々の雇い主でありながら仮面の導き手。どうですか?あなたの実力は本物です。それを買っており、あなたは私と共にくればカルマの名を襲名出来るかも知れませんよ。あなたはまだまだ成長期だ。支配の兵器などと言う凡夫を捨て、共に高みを目指しましょう! 」
グリムはラスコーに手を差し出すと彼が手を握るのを待った。しかし、彼はそれを弾くと彼は劃を、仲間を侮辱された事に怒りを露わにする。
「お前が言っている物にはなっから興味は無い。そして、お前が凡夫と言い捨てた男は誰よりも道に迷いながら前に進もうとしている者だ。俺はそいつの行く末を見届けたい。あいつは今地獄の中で生きてる。なら、その地獄を共にする相手が居てもいいだろ? 」
再び両腕を構えるとグリムの顔を睨みつけ、もう一つの武器を開放した。
「生命開放、絶折神・吽」
体内にある神経を強制的に紙で繋ぎ、体を駆け巡る反射の雷は紙を伝うと彼の反射を底上げする。
ラスコーは走り出すとグリムが気付くよりも早く彼との間合いに入り、拳を放つ。ラスコーが間合いにいた事に気づいた瞬間、既に彼の拳が体に入り、痛みが体を駆け巡った。拳は一発だけではなく何発も放たれそれの全てが体の関節を正確に射抜いていく。
それでもグリムは笑いながら無理矢理腕を上げ彼に向かい拳を放つとその腕を掴み、そのまま一本背負いを食らわせる。地面に叩きつけられたグリムを再び背中を駆ける痛みが襲いかかるも彼はそれを無視し、機械仕掛けの目でラスコーを追いながら体を瞬時に立ち上がると同時に彼の蹴りが顔に入った。蒸気を纏う体に容赦無く放たれた蹴りは頭を揺らすと機械ではない脳の揺れが顕著に襲いかかり、膝を大地に突き立てる。先程とは別次元の動きに驚愕しつつもグリムは何とか立ち上がると目の前に居たラスコーが自分を指で刺しながら口を開いた。
「終わりにするぜ、機械野郎」
ラスコーはそう一言残すと彼の目の前から再び一瞬にして姿を消し、そして、根源には新たな力が刻まれており、それを開放する。
「生命開放、絶折神・阿吽」
紙を伝うスパンを短く、本来であれば一定の距離での移動により加速する絶折神を連続的に強制的に繋げる事でその速度を今までの限界の先へと進んでいく。
阿による体外の移動伝達の高速化。
吽による体内の神経伝達の高速化。
二つの力を合わせる事により、体外、体内に於ける肉体ヘの負担は計り知れず。筋肉はその動きに耐えきれないでボロボロになっていくところを武器の力で無理矢理繋ぎ、体は亜音速を超えた辺りからその抵抗力に耐えきれず崩れそうになる。しかし、それ全て乗り越え、ほんの一瞬、感覚でおよそ一秒すら無い、瞬きの最中。
彼は光速の世界。凡ゆる物を置き去りにする人間の身で到達出来ない領域へと彼は足を踏み込んだ。
そして、その一瞬でグリムの鋼鉄の機械部位を砕け散らせ、彼を再びビルへと蹴りつける。防ぐ為の腕は無く、守る為の防具も無い。光速で放たれる蹴りはグリムの体でビルの壁を突き破ると凄まじい音共に二十枚ほど壁を壊した。そして、漸くしてから止まると足からは靴が破け、骨が見えていながらもラスコーはふらふらと立ち上がった。
「光になんて成るもんじゃねえな。こんなん何回も使ってたら体が保たねえ」
何としても劃の所へ行こうと片足で跳びながら少しずつ、少しづつ進んだ行く。足は未だに肉付けされず、骨が見えているのにも関わらず、彼は自分の身では無く他者の身を案じていた。そんな中、彼の目の前に二つの影が現れ、影の主は彼とは対照的に元気な声で喋りかける。
「やぁ! ラスコー君!! そのボロボロの体で抵抗するのは良いがいかせん無理があると思う。そこで取引があるんだが聞いてみないか?」
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