四十四章 第三首都事変 閉幕
第三首都事変閉幕!
そして、戦いは次なるステージへ。
幕間を挟んで二部完結です!
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「こいつの死体は貰ってくぜ? 最後まで守りたいものを守り切った褒美くらいはくれてやらねえとな」
動かぬ骸となった那須川への攻撃を行った左門を止め、彼らの目の前に何処からか現れた青年は敵意を向けることはなく彼らの答えを待った。
左門は吹き飛ばされた事とこれまでの怒りにより既に彼の判断を鈍らしており、すぐに青年へと襲いかかろうとするもそれをペトゥロが手を出し静止すると冷静な口調で口を開く。
「いいだろう、その死体は持っていっても構わない。君とここで無理矢理殺し合ってもこちらの計画に支障が出るからね。私達はここいらで退散させてもらうよ」
「話が分かる奴で助かったぜ。ただし、次会う時は殺し合う時だ」
青年は那須川の亡骸を背負い、その場を背を向けると颯爽と姿をけすとそれを見た左門は帽子を被り、自身を落ち着かせるもそれでも興奮気味でペトゥロに喋りかけた。
「ペトゥロ、なんであいつを逃したんだ? あんな奴僕ら二人でやれば簡単に殺せたろう? 」
左門の言葉を聞くと彼の頭を猫を撫でる様に叩き彼を宥める。そして、彼もその場から背を向け、歩き出した。
「たしかに、彼を殺すのは出来るよ。でも、その場合は僕か君のどちらかが確実に死ぬし、最悪三人とも相討ちになる。彼は桜木バサラ。最強であり、自由である男。彼とやるには色々と今の私達では不足しすぎているからね。彼もジュダを連れて帰る動きをしなかったから私達もこれ以上、彼に手を出すのはやめておこう。それと凪良の居場所と知っているからね。それの方が優先だ」
ペトゥロの周りには三人の死体が転がっている。しかし、彼らはそれに興味を示すことなくそさくさと足を運ぶ。裸のペトゥロは燃やされた自分の死体から残っていた礼服を着るもブカブカしており、服を擦りながら移動するとポケットにしまっていたデバイスを使い仲間達と連絡を取り始めた。
「ダルタニャン、ティフォン、今からそっちに向かうから準備しておいてくれ」
***
ラスコーはブローニャを紙に封じ込め、劃を抱えながら全速力で走っている。しかし、そんな彼の背中から抜け出そうとその背中を何度も叩く劃の姿があった。
「ラスコー頼む! 那須川が! 那須川が一人で戦ってるんだ!あいつ死ぬ気なんだよ! これ以上、俺は人を見殺しにしちゃいけないんだ、頼むよ」
何度も、何度も、背中を叩くもその力は弱々しく、それを気にせず速度を上げていく。
「駄目だ。あいつとの約束でお前をここから遠ざける事を優先する。あいつの体はとっくに限界を超えてる。それでも、あの場に立った男との約束を破る事は出来ない。俺はあいつの事は知らないがあいつの覚悟を尊重する」
ラスコーはそう言うと劃は涙を流しながら何度も、何度も、その背中を叩くも振り切る事は出来ず、自分の力の弱さを再び噛み締める。
彼の涙にラスコーは心を痛めるも那須川が残した希望に一縷の望みをかけ、彼はかつて仲間達と過ごした隠れ家へと駆けていく。
こうして第三首都での戦いは幕を閉じた。
首都に於ける生存者はゼロ。
人々はこれを統合政府発足以来の史上最悪の事件と評し、第三首都事変と名をつけた。
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