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散華のカフカ  作者:
二部 闘争の戦斧
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三十五章 第三首都事変 其の拾壱

時系列が分かりにくいのですが次の話で(フー)VS左門を書きます〜

 赤い流星は降り立つと共に那須川に槍を放ち、それを彼は足で弾き飛ばす。そして、彼は息を吐く間もなくそれとの距離を詰め、拳を放った。


 槍を携えた赤髪の青年はその拳を簡単にいなすと口を開いた。


「よぉ、あんたがここで一番強いやつか?」


 その問いに那須川は嬉々として答える。


「ああ、そうだよ!僕がここで一番強い!」


「いいね!ブチ殺してやるよ!」


 赤い髪の青年は上空に大量の槍を顕現させる腕を前にし親指を下に突き立てた。


生命開放(オープン)絶戦神(アレス)怒髪雨天(ロンギヌス・レイン)


 赤い槍の雨は辺りを覆い尽くし、ビルいや、街全てを喰らい放たれる。那須川は向かい来る槍を一つ受け止め、それを持って槍の雨を弾き返す。向かい来る槍の数々に殺意が込められており、那須川はそれを嬉々として受け入れた。


 殺意の雨が止んだ頃、一冊の本が赤髪の青年に近づくと本が開き、そこから腕が飛び出すと彼の顔に拳を振りかざしす。青年はそれを受け止め少し吹き飛ぶと本から全身を表したアポロスは怒りを込め声を荒げた。


「カエサル、お前は馬鹿なのか?何で僕が居るのにあんな技撃った?危うく死にかけたぞ?」


「なら死んでくれれば良かったな。席には強い奴が座るべきだ。お前みたいなインテリ被れはさっさと死んでくれ」


 言い終わった途端、アポロスは大量の本を背中に浮かしており、そこから槍や剣が一気にカエサルに目掛けて飛んでいく。カエサルは赤い槍と黒い槍を両手に握りしめ、笑いながら撃ち落とすと彼に向かい槍を投げつけたが、その槍をある男が隻腕で受け止め投げ返すとカエサルは顔の横に擦り傷が生まれた。


「仲間同士で喧嘩は良くないぞ?二人いるんだ、同時にかかって来なよ!」


 那須川は無意識に彼らを煽るとカエサルとアポロスは武器を握り、向きを変え二人同時に声を上げた。


「「殺す!!」」


 二人は同じタイミングで走り出し那須川に向かって行く。カエサルとアポロスは手に握る槍を放ち、それを那須川は鉄の棒のような物で弾くと距離を詰めたカエサルはもう片方に持った黒い槍で突きを放つ。その後ろからアポロスは大量の本を浮かべ満面の笑みを溢すと口を開いた。


生命開放(オープン)絶武器庫(ビブリオテーケー)春雨(アニクスィイブロウヒ)


 本から大量の武器の雨が放たれ、それはカエサルを巻き込みながら降り注いだ。後ろを向いていたカエサルはそれを幾つか受けるも気にせず那須川との打ち合いを始める。黒い槍と赤い槍を交互に振り回し那須川に向けて突きを放つ。那須川は鉄の棒でそれをいなすもその背後から放たれる大量の武器を弾くとその隙にカエサルの放った槍が体に幾つかの切り傷を生んで行った。


 那須川は隻腕で弾くのに限界を感じ、それを思いっ切りアポロスに目掛けて投げつけ、カエサルの持つ槍を足に力を入れ回し蹴りを放つ。


「覇号鉄鋼戟!!」


 先程の打ち合いでは受けたことの無い衝撃が体を走り抜け、カエサルは槍諸共吹き飛ばされる。そして、その背後にいる鉄の棒を受けたアポロスの下へと距離を詰め、再び声を上げた。


「覇号鉄鋼砲!!」


 鉄の棒を槍で弾くも目の前にいた那須川に反応が遅れ、その放たれた砲撃を体に直接受けると彼は血を吐きながらビルに打ち付けられる。


 拳は鉄となり、放つ一撃は砲撃とならん。

 しかし、その背後からカエサルは一つの槍を構え、これに目掛けて投げつけると同時に開放を行う。


生命開放(オープン)絶戦神(アレス)怒髪衝天(ロンギヌス)


 赤い槍は巨大な光を纏い那須川を巻き込むと彼の隻腕を貫き穴を開ける。彼は腕が使えなくなった事を即座に理解すると壁に吹き飛ばされていたアポロスに近付きトドメを刺そうとした。


 その場にアポロスは居らず、背後にある本から槍が放たれたがそれを避けると上空には大量の本が浮かんでおり、それと同時に目の前には先程の牛とは違う九つもの首を持った巨大な蛇がおり、その咆哮が辺りに響き渡った。


生命開放(オープン)絶武器庫(ビブリオテーケー)蛇王(ヒュドラ)


 武器の雨が降り注ぎ、蛇は那須川に目掛けて牙を突き立てようと襲いかかる。それを那須川は踵落としで頭を潰すと蛇の体を走りカエサルに標的を変え走り出した。しかし、九つの内の一つを潰されただけで彼らは止まる事を知らず首の上を走る彼に襲いかかり、齧り付く。


 大蛇の攻撃を避けながら首を走ると目の前に現れたカエサルに反応が出来ず彼が放つ突きを穴を開けられた腕で受け止める。痛みが体を走り回るもそれよりも二人の強敵により満たされる戦いの愉悦が勝っていた。


 しかし、次の瞬間、二人を巻き込んで大蛇は上から齧り付くと那須川は首元を貫き脱出するも大蛇の口の中に漂っていた毒が体の中に入った事でそれが体の中を回り、口から血を吐き膝を突き、そんな彼にトドメを刺そうととアポロスは剣を握りしめ背後から襲い掛かる。


 蛇王(ヒュドラ)の毒は英雄と呼ばれた物ですら殺し尽くす災厄の毒であり、那須川はそれを受け動けなくなっていた。


 この状況でトドメを刺さないのは有り得ない。本来であれば誰もが彼の首を狙う状況である。


 絶対的な自信による油断。


 アポロスは勝ちを確信し、彼の首と胴を切り落とそうと剣を放った。その瞬間、那須川は傷ついた腕を無理矢理使い片腕でそれを止め、不敵な笑みを溢しながら彼の頭に踵を振り落とす。


「覇号鉄鋼斧!!」


 蛇の体に彼の頭はめり込まれ、大蛇は彼の意識が無くなった事により、姿を消しアポロスの顔は潰されたまま動かなくなっていた。


「クソが!!あいつ俺にも毒撒き散らしやがって。あー、クソ!クソ!クソ!思う様に体が動かねえじゃねえかよ!てか、何であいつの蛇が消えてんだ?もしかして、オイ、あいつ一人で手柄を、ならもっとクソだ!許さねえ!あいつ!!」


 カエサルはそう呟くと体に回る毒により血を吐きながらフラフラと辺りを歩き回ると背後から声がしその方向へと振り向いた。


「そうだね、僕も思った以上に毒が回って動けないよ」


 那須川はそう言いながらふらつく足を何とか動かし、彼の目の前に立つとボロボロの腕を前にし構え、それを見たカエサルは笑いながら口を開いた。


「んだよ。あいつ殺すのしくじってんのか?笑えるぜ!お互いあいつのせいで足がおぼつかねえがやるかい?」


「当然!(ダァンレン!) (勿論!)」


 カエサルはそれを聞くと二つの槍を携え、那須川との距離を詰め間合いに入った瞬間、互いに蹴りと突きを放つ。互いに限界でありながら精一杯に殺意を絞り出し相手に向け、それをぶつける。


 一度打つごとに毒は体を駆け巡り、徐々に感覚が麻痺して行く。しかし、それでも彼らは互いに互いの武器を、技を、技術を全力でぶつけ合い己の力を高め合った。


 カエサルは二本の槍を振り回し、手数では勝っているのに一向に攻撃を当てられない事に怒りを覚えるも死を間際にして麻痺していた感覚が研ぎ澄まされて行っており、それに対して冷静に対処する。


 槍は一突き放つごとに速度が上がっており、那須川はそれを蹴りだけで防ぐことが出来なくなって行き、体に突き刺さる一歩手前で何とか回避していた。


 死が目の前を通り過ぎる感覚を彼らは互いに理解し、楽しんでいる。槍と蹴りは互いにぶつかり合うと大きな衝撃波を生み、辺りに誰も近づけさせない。


 そして、互いに踏み込む瞬間、彼らは互いに頭の中に目の前に立った怨敵に感謝を述べ、最後の一撃を放つ。


生命開放(オープン)絶戦神(アレス)絶軍神(マルス)!!」


「神・覇号鉄鋼槍!!」


 赤と黒の輝きは辺りを喰らい飲み込むと凄まじい轟音と共にその場に穴を開ける。彼らが戦っていた場所には隕石が落ちた様な見事なまでのクレーターが出来上がっており、カエサルはその場で毒の影響なのか血を吐き倒れてしまった。


「あーあ、こんな大穴空けて何やってんの?」


 唐突に帽子を被った金髪の少年が倒れたカエサルの横に立つと彼を担ぎ上げようとする。その手には(フー)も担がれており、左門は満足気にその場を後にしようとした。


 瞬間、上空から彼に目掛けて落ち行く飛行物体があり、それはカエサルが殺したと思っていた那須川であった。


 彼は槍の攻撃を避けるために攻撃を止め、カエサルとの距離を詰める事で彼の攻撃が当たらない場所まで移動し、その後、カエサルに一撃を与えた後、すぐに姿を消していた。しかし、左門が(フー)を抱えていた事に気がつくとすぐさまその場に登場した次第である。


 那須川の不意打ちを左門は魔法陣から現れた腕で受け止めると彼は毒の回っている肉体なのにも対して声を上げた。


「やぁ、やぁ、やぁ、本来で有れば誠意を持って打つかり合いたいがその娘を連れてこうとするなら話は別だ。返せよ、(フー)は君達の物じゃないだろ」


 那須川は珍しく怒りを露わにしており、それを見た左門はクスクスと笑いながらそれに答える。


「別に戦利品ってだけだよ?それ以上でもそれ以下でもない。欲しいなら取り返してみろよ」


 その言葉と同時に黒いドームが破られ、茜色の空が煌々と彼らの姿を照らし出した。唐突に黒い帳は破られると那須川の耳につけていたデバイスから声が響き渡る。


「那須川様お聞きになっておられますか?たった今、イェーガー様と一緒にドームの制御装置の破壊に成功しました。こちらの方で合流致しますので至急お急ぎ下さい」


「了解、影縫。でも、今からまだ仕事が出来たからね!それが済み次第向かう事にするよ!」


 那須川はそう答えるとすぐにデバイスを切り、左門に向かい蹴りを放つも、それを一つ魔法陣から現れる腕で止めると他の魔法陣に向かい歩き始める。


「待て!逃げるな!オイ!」


「また会えたら会おうね、埋葬屋のお兄ちゃん」


 左門はそう言うとカエサルと(フー)を抱え、その場から姿を消してしまった。那須川はその場で激昂し、大声を上げるもぷつりと彼の中の何かが途切れてしまい、限界を迎え、その場に倒れ込んでしまう。そして、耳につけたデバイスからの着信音だけが無常に鳴り響いた。


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