三十章 第三首都事変 其の陸
今日は記念に二話投稿!!
スペクターとスカディは因縁の相手と対峙する!
お手に取って頂けると幸いです!
スペクターとスカディは急いで階段を駆け上がっていた。劃一人をあの場に残すのは得策では無いがあの一人に時間をかけてはならない。故に、彼らは急いで頂上へと駆ける。そして、頂上に辿り着くとそこには自分の体に傷をつけた傀儡の数々が立ち並んでいた。
スカディはそれを見ると嫌悪感が頂点に達し、それらを打ち壊そうと剣を握る力を強めるも暗闇の中から一人の男が姿を現した。
「久しいね、スカディ! 前会った時はロングな髪型だったのに今回は夏仕様かい? でも、夏にしては些か季節が違うし......。ああ! もしかして、私に会うから切ってきてくれたのかい? それは嬉しい! 実に喜ばしい! 人形にする君も美しいがそう言うところを見せてくれると私も人形として君を向かい入れようか戸惑ってしまうなぁ! いや、そう言う作戦なのかい? なら、素晴らしい! 私はロングの方が好きだがその無造作なショートカットは君の力強さを強調する様で実に興奮する! ああ、スカデ」
男は現れると同時に一人で語りだすとスカディは彼が喋り終える前に彼の首を切り落とし、それは無造作に地面に転がる。
「なんと、スカディ人の話は最後まで聞かなきゃダメでしょうが。無抵抗な私の首を切るなんて......。私が人形じゃなかったらどうするんだい? 」
しかし、叩き落とした首から再び声がするとスカディはすぐにスペクターの元へと戻り、人に向けるには大き過ぎるほどの嫌悪感を露わにした。
「そんな顔をしないでくれたまえ! 君は不敵な笑みがよく似合う女の子だろ? 私だってこんな姿になりたくはなかったのだが君の横の不届き者に殺されたからね! 」
「ぺちゃくちゃよく喋るな、妹背山? 」
スペクターもまた妹背山に怒りを向けており、彼女を傷つけた事への怒りにより語尾が強くなっていた。
「はぁ、君もいるせいで私とスカディの二人の殺し愛が出来ないじゃ無いか。まぁ、良い。君を殺して彼女を頂こうとするよ」
妹背山はそう言うと転げ落ちた首を一体の人形が拾い、その頭を落とした人形につけると両腕を合わせ口を開く。
「生命開放、絶人形王」
部屋に居た動かぬ傀儡が王の命を受け、それに従いスペクターとスカディに襲いかかる。そんな中、彼らは至って冷静にしており、スカディは腰に差していたもう一つ剣に手を置いていた。
「スペクター良いわよね? あれを使っても」
「埋葬屋四席として承認。スカディ、二つ目の生命武器の使用を許可する。くれぐれも無茶だけはよしてよ、スカディ? 」
「ええ、当たり前よ」
白く短い髪を靡かせ、腰に差してあったもう一つ剣を抜く。二つの生命武器を振り回すと彼女もまた、自分の根源と武器を深く結びつけ二つの力を開放させた。
「生命開放、絶剣、逆光聖剣」
片方は黒い砂鉄が密集した、高密度の黒い絶剣。
もう片方はあらゆる光が収集された、白い聖剣。
白と黒のコントラストは一種の芸術の様になっており、その光が傀儡達を照らした途端、傀儡の体は全て半分に切り落とされた。その光景を目の当たりにした妹背山は驚きよりも興奮が勝り声を荒げる。
「スカディ! まさか自分の才能に気付いてくれたのかい? 私の目を惹く為にこんな素晴らしいモノを用意してくれるなんて......。僕はなんて幸福なんだ! 」
興奮する妹背山に彼女は剣先を向けて怒りを憎しみを込めて宣言した。
「そうよ、あんたの為よ。あんたをぶち殺すために私は二つの武器をとった。存分に味わって貰うわ」
彼女が二つの剣を振るおうとするも傀儡が湧き続け、思う様に振るえず、妹背山の元まで剣が届かない。妹背山は彼女が疲れるのを待ってからそこを狙おうとしており、その判断は彼女と二人の状況で有れば正しかった。しかし、そこには彼にスカディの次に怒りと殺意を向けた青年が居たことを妹背山は忘れていた。
「生命開放、深淵」
深淵から伸びる鎖が傀儡達が一歳に吊るし上げ動けなくし、妹背山までの最短距離の道を作り出す。
スカディは足に目一杯の力を込め、妹背山との距離を詰め、彼に向けて二つの剣を振り下ろした。
二つの剣は妹背山の両腕を切り落とすと再びそれを攻撃を繰り出そうと彼女は剣を持ち替え、逆手でそれを振るう。その瞬間、彼女は謎の壁に攻撃が阻まれると彼から距離を取るため、スペクターの近くに戻った。
妹背山の後ろから山羊の頭をした何かが杖の様なモノを握り締めながら座っており、スカディはそれが自分の攻撃を止めた事に気付いた。
「ふふふ、いい斬撃だ。その光の剣は再生を著しく低下させる能力でも持っているのかな? 黒い剣は切られた箇所が綺麗すぎて寧ろ再生できない。ふふふふふ、あははははははは!!!!!!!!! 最高だよ、最高だよ、スカディ!!!!!! 先日出会った時の可憐さ、そして、自分の実力に有り余る余裕と自信。その眩いほどの輝きと華奢でありながらしっかり機能が詰まりに詰まった体。そこに私は私が求めている全てを見つけた。しかし、今の君はどうだ?かつてあった可憐さは哀愁にも似た怒りと憎悪、今は自分を取り繕いいつも通りに過ごしてはいるもののそこにあるのは私に打ちのめされた過去から来るトラウマ!! 華奢な体には私によってつけられた傷の数々と私によって気付かされた自分の才能!!!! あああ、なんとなんと素晴らしい!!! 私のスカディ!私だけのスカディ!!! 」
妹背山の呟いている間、スカディとスペクターは彼に攻撃を放つも三体の傀儡が現れ、それを阻止する。
三体の傀儡は頭が違う形で、一つは牡牛の顔を、一つは人間の顔を、一つは蛇の顔をしており、スカディとスペクターを足止めするほどの力を持っていた。
「スカディ、僕が三体相手をするから急いで妹背山を殺るんだ。それまでは全力で保たすから、速く!! 」
スペクターはそう言うと再び深淵から鎖を伸ばし、彼らを吊し上げるも彼らの力が想像より強く引き千切られるのも時間の問題になっていた。
スカディはすぐに覚悟を決め、妹背山の下へと走り寄り、二つの剣を振るうもそれは再び壁に阻まれると彼女は妹背山から標的を変え、山羊頭の傀儡に剣を振り下ろした。
スペクターは三体の傀儡と対峙する。
彼らは鎖を千切るとその場に捨て去り、三体同時に走り出し、彼らは連携を取りながらスペクターの行動を分析し、彼に攻めよって行く。
牡牛頭が巨大な斧を振り下ろすもスペクターはそれを鎖で防ぎ、腕を拘束するとそれの腕を電鋸で切り落とそうとした。しかし、それを防ごうと二つの傀儡が攻撃を仕掛け、阻むと鎖は既に引き千切られてしまう。
スペクターはコレは面倒だとため息を吐くも悪魔の様な三体の人形と距離を取り、電鋸を構えると自らを人間の紛い物へと落とす為にその武器の開放を行った。
「生命開放、絶霊」
青年の髪は白く透明な色となり身に纏う、黒いスーツがくっきりと現れ、彼はゆっくりと三体の傀儡に歩き寄って行くとソッと彼らに語る様に呟いた。
「さぁ、クソ傀儡ども。少し本気で遊ぼうか」
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