二十七章 第三首都事変 其の壱
ようやく主人公が主人公らしくなって来ました笑笑
そして、はじまる闘争の兵器争奪戦!
誰が栄光と破滅を掴むのかお楽しみいただけると幸いです!
「堅い壁だな。これじゃ壊れそうにない」
アシモフはジュダに振った手斧の感触の無さに飽き飽きしていた。しかし、彼はブローニャからの連絡により計画の開始の合図を全員に入れるとジュダに再び走り寄る。
アシモフは両腕に携えた手斧で不可視の壁へと再び刃を立てるがそれは全く意味をなさず、近づいた彼にジュダは祈りの型を取り武器の力を開放した。
「生命開放、絶包丁」
彼の一言によりアシモフの体に不可視の斬撃が振り下ろされるもアシモフはそれを軽やかに避けると彼は距離を取り声を上げた。
「ジュダ・ダイナー、お前は今何ために戦っているんだ? 」
「そんな話をしにここに来たのでは無い。俺とお前は敵同士。ならばそこにあるのは生きるか死ぬかだ。あの赤髪の少女が闘争の兵器だろう?ならばお前をすぐに殺して彼女を奪い取る」
ジュダはそう言うと両腕に祈りを込める。
「生命開放、絶包丁・千切」
「生命開放、絶時間神・Ⅴポイント」
五秒
ジュダの腕に二つの切り傷が生まれ、アシモフは彼の後ろに立っていた。しかし、ジュダはアシモフの能力を瞬時に理解すると後ろにいる彼の方向を向き拳を放つ。
急に肉弾戦に持ち込まれたアシモフはその拳を斧で弾き、その逆の方に持った斧を体に突き立てようとする。ジュダは両腕に祈りを込めると拳を放つと同時に口を開いた。
「生命開放、絶粉砕・格闘」
不可視の鉄槌は拳に宿り、斧を弾く。
アシモフの体にその一撃が当たるとビルの壁へと吹き飛んだ。ビルの壁にヒビが入りそこからアシモフは立ち上がる。
「不可視の攻撃は遠距離攻撃だけだって聞いていたんだがな」
ジュダは吹き飛ばしたアシモフを見ると両腕の構えを解かずにそれに答える。
「お前の尺度で俺を測るな。二十年前と同じではペトゥロになど勝てるわけ無いだろう。それと、お前が闘争の兵器を用いて何をしようとしているかは知らないがあれは俺達がいただく」
ジュダは再び両腕に祈りを、足に力を込め一気に距離を詰める。一撃一撃に不可視の鉄槌を載せ、アシモフの体にぶつけるも彼も二つの手斧でそれを捌いて行く。
撃ち合いは高速で行われ、右に放った拳を斧で弾き、逆の手で持つ斧を振り下ろしそれが弾かれる。目にも止まらぬ攻防は数分行われ、その数分の間に刃と拳が火花を散らす。ジュダは拳を握る事をやめ手刀の形にするとその腕に祈りを込める。
「生命開放、絶包丁・格闘」
手刀に不可視の斬撃が載ると手斧で防いだ筈のアシモフの体に切り傷が現れる。服に滲む血をアシモフは手にべたりとつけ、斧を握ると彼は不気味に微笑みながらジュダを睨みつけた。
「ジュダ・ダイナー、こっからが本番だ」
「そうか、なら俺も本気を出そう」
彼らは互いに構えを解き、同時に相手に対しての殺意と怒りを込め叫んだ。
「生命解放、絶時間神・神噛」
「生命解放、調理場」
ジュダの服の上に黒いコートが顕れらとそれに裾を通し、彼はすぐさまアシモフに近づき拳を放つ。アシモフも顕れたコートを羽織るとそれを足で止め互いに反動で少しずつ吹き飛ぶと再び同時に声を上げた。
「「第二ラウンドだ」」
***
劃、スペクター、スカディの三人が人で溢れる道をすり抜けながら目的のビルへと駆け抜ける。ビルが見えてきた頃、後ろから悲鳴が上がり三人はその方向を見ると人々の体に何かを突き刺す者の姿があった。
劃はそれを見ると悲鳴の上がる方へと踵を返そうとするとそれをスペクターが静止した。
「スペクターなんで止めるんだよ?お前には悲鳴が聞こえないのか? 」
「聞こえてる。だからこそ、引き返せない。僕達の任務はビルにある黒いドームを作り出している装置の破壊の筈だ。あれを破壊しない限り僕らは通信が出来ない。それと、彼らの救護は任務に入っていない」
スペクターがそう言うと劃は腰に差していた刀を既に鞘から抜いており、刃が彼に目掛けて放たれとうとした瞬間、スカディが彼らの真ん中に立ち、それを止め口を開く。
「劃もスペクターも落ち着いて。私達は今、チームで行動しているのよ?輪を乱そうとしない」
「ならスカディ、乱しているのは劃の方だ。僕は任務の優先しようとしている」
彼の言葉をスカディがスペクターの口に人差し指をつけ遮った。
「今回は劃に賛成。任務を優先したいスペクターの気持ちも分かるけど人を襲ってる奴らに見覚えと借りがある」
スカディは自分の右腕についた傷を眺めながら剣を握る力を強めており、それを見たスペクターはため息をつき悲鳴の鳴る方向へ体を向ける。
「あのクソ人形使いが生きている可能性があるからそれの確認のため人々を襲ってる正体不明の何かに攻撃を行う。一瞬で決着をつける」
三人は一斉にその方向へと足を踏み入れ同時に声を上げた。
「生命開放、深淵」
「生命開放、魔双剣」
「権能解放、支配・刃」
人々を襲っていた数体の影をスペクターが持つ電鋸から放たれる鎖が捕らえ彼らの動きを止め、それをスカディと劃が双剣と刀で切り割いた。
スカディは両方に剣を握りながら目の前にいる忌々しき魂なき傀儡を容赦なく切り刻み、劃は支配の権能を使い生命武器を停止させる斬撃を駆使しながら人形たちを一太刀で動かなくさせていく。
そんな中ら武器を携えた傀儡が三体ほど現れ体の一部を変えた。
「「「擬似生命開放、機関銃」」」
無茶苦茶に弾が放たれ、彼らではなく建物や人に当たり悲鳴が先程よりも大きく広がっていく。恐怖は伝染し、逃げ惑う市民を後ろから容赦なく食い散らかす。
しかし、その地獄の中から彼らを身を呈して守ろうとする黒いスーツに身を包んだ者たちの姿があった。
スカディは銃弾を双剣で全て弾くと一体に近づき銃口を右手に握る剣で断ち、もう片方の剣で腕を削ぎ落とし、そして、舞うように一体の傀儡をブロック状にした。
「二人ともどうなった? 」
スカディは息一つ切れない様子で剣を鞘に納めた。そして、彼らに呼び掛け、劃とスペクターはそれに大きな声で応える。
「「無問題」」
劃も傀儡の体に突き刺した刀を取り鞘に収め、二人がいる場所へと戻ろうとすると、その後ろから少女が彼に向かって寄って来た。
「ありがとう」
少女は短い感謝を述べ、走ってその場からすぐに姿を消す。劃はそれを聞き入れるとほんの少し悲しい笑みをこぼし彼らのいる方へと足を運んだ。
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