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散華のカフカ  作者:
二部 闘争の戦斧
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二十三章 喧騒

連続投稿だ!

キャラが立って来るのでお楽しみ頂けると幸いです!

 ジュダについて行き扉の向こうに出ると薄暗い通路が広がっていた。何の会話もなく彼らは無言で進んでいき、劃はその空気に耐えきれなくなりジュダに喋りかけようとした瞬間、いきなり扉が大きな爆発音と共にジュダに向かって飛んで行く。ジュダは何も言わずにそれを不可視の刃で叩き切るとため息を吐き、声を荒げた。


「また、お前ら扉を壊したのか?ここに来て何回目だと思っている。いい加減にしろ」


「違うんだってジュダ! 今回は俺悪くねえんだよ! 那須川がいきなり」


 声変わりを迎える前の甲高い声が部屋の中から響き渡る。ジュダは何も言わずに何かがぶつかり合う音がなる部屋に入って行き、劃は恐る恐る同じ部屋に足を踏み入れる。


 その部屋には巨大な円卓が置いてあった。

 それを囲う様に五人の男女が座っており、扉の前で隻腕の男と刀を持った少年が拳と刀を打ち合っていた。


「ジジイこいつの話に耳を傾けるなよ。こいつ僕が残してたリリィ特製プリンを勝手に食べたんだ。他の事なら怒らないけどこれだけは許しちゃおけない」


 隻腕の男は彼の体に蹴りを入れるも少年はそれを刀で捌く。目の前で唐突に仲間割れを見た劃は唖然としていたがジュダはこれが日常茶飯事の様で冷静に口を開いた。


(フー)、二人が喧嘩をしている。止めてくれないか」


 (フー)と呼ばれた黒いフードを被った少女は眠っていたがその声を聞くとパチリと目を覚ます。


「わかった」


 そう言うと両手を上げそれを下すと、何かが彼らの体を地面にめり込ませ二人は声を上げた。


(フー)分かった! 喧嘩した俺達が悪かったから許してくれ! 」


 押しつぶされている少年は何とか声を出すとそれを聞いた(フー)と呼ばれた少女は再び目を瞑り眠ってしまった。彼らを押し付けていた何かが消え二人は体の節々の痛みを噛み締めながら立ち上がる。


「お前達は毎度毎度何をしているんだ。那須川、お前は何歳になってそれなんだ。くだらない事で喧嘩をするな」


「ジジイ、あんたも僕の気持ちは分かるだろ? リリィの作るプリンは戦いの次に至高の存在。それをこいつは一人一個って言ってんのに二つ食べちまってんだぞ」


 那須川と呼ばれた隻腕の男は水色の髪を靡かせながらその場から去ると円卓にⅢと書かれている席に戻る。もう一人の少年は何も言わずにⅨと書かれている席に戻っていた。そして、ジュダは全員が座った事を確認し、自分もⅠと書かれている席に座ると口を開いた。


「ごちゃごちゃしてしまったが歓迎するよ、(アズマ) (クアク)。我々は埋葬屋。世界の意思、いや、神の意思に背く者達だ」


 ジュダの一言で周りの空気が変わり静まり返る。しかし、そんな沈黙を那須川が一瞬にして破り捨てた。


「なぁ、なぁ、東 劃。あんたそこそこやるそうなんだね?どうだい? この後僕と一戦殺り合わないかい? 」


「那須川さん落ち着きましょう。まだ、彼はここに来たばっかりですよ」


 彼を諌めたのは円卓にⅣと書かれた席に座っている黒い髪の青年であった。


「そっかー、ならスペクター。後で少し組み手に付き合ってよ。君なら思う存分出来るからね」


「いやスペクター、今回はそこの戦闘狂(バトルジャンキー)が正しい。東 劃、来て早々だが一ヶ月後に闘争の兵器の争奪作戦に参加してもらう」


 ジュダがそう言うと先程押しつぶされていた少年がそれを遮る。


「待ってくれよ、ジュダ。こいつは見た限り戦闘に関してはど素人だぜ。そんな不確定要素を作戦に組み込むのは反対だ」


「これに関しては自分もこのバカと同じ意見です」


「誰がバカだって? もういっぺん言ってみろイェーガー! 」


 少年は再び刀に手を乗せそれを抜こうとしたがイェーガーと呼ばれた少年は既にライフルを構えており、再び口を開いた。


「自分も不確定要素を抱えながら作戦を進めたくは無いです。彼の力はたしかに魅力的ではありました。支配の兵器。名ばかりではないのはこの人を回収した時にその力を見てはいましたし、それを自由に制御出来るなら自分はジュダさんに賛成です。しかし、彼は未だに未知数。昨日、ジュダさんと話す前の映像を見ていました。生命武器の否定、それ自体はたしかに状況を変える事が出来る物だと思います。それでもそれを扱う本人があまりにも実力が至っていないかと」


 イェーガーは銃口を少年に向けながらそう言うと再び沈黙が流れるも、少ししてジュダが喋り始める。


「ふむ、全員の意見がバラけるか。ならこうしよう。東 劃、君をこれから一週間みっちりと鍛え、一週間後に那須川と組手をしてもらう。そこで君が彼に一撃を入れたら誰がなんと言おうと君の作戦参加を認めてもらう。どうだい? 」


 ジュダは劃に答えを求めると彼は円卓の全員を見据え、大きく声を上げた。


「別に俺はあんたらに協力する気はない。あんたらが俺を置いていこうが俺は勝手について行く。俺は多くの人の犠牲の上に出来た化物だ。だったらその人達のため、俺自身の正義のために俺はその作戦に何が何でも参加する」


 そう言うと目の前に少年が立っており、先程同様に刀に手を添える。


「生意気言ってんじゃねえよ。お前は保護された身だぞ?それが急にでしゃばって来て何をぬけぬけじゃあしゃあと。今すぐさっきの言葉を取り消せ。でなければ」


 ジュダが再び彼に声を上げようとするもスペクターがそれを静止し、緊張感漂う中、劃は少年を見ながら再び口を開く。


「取り消さない。俺は俺の正義を貫く」


「そうか、なら少し痛い目見てもらうぜ」


 少年は目にも止まらぬ速度で刀を鞘から走り出させ劃の首へと刃を向けるも彼はその高速の刃を左手で止める。握った手からは血が垂れておりそれを見た少年は無言で刀を鞘に収めると席に戻って行った。


「やるね、彼」


 那須川はそう言うと劃の目の前に行き、親猫が子猫を摘む様に彼の首根っこを掴むと扉の目の前に立ち声を上げた。


「そんじゃ、彼は僕に任せてよ。そんじゃ、一週間で僕に一撃を与えるくらいには鍛え上げるからみんなゆっくりお喋りしておいて〜」


「おいおい、放せよ。ちょ、自分で歩くから。待ってこいつ全然聞かないんだけど。てか、こいつ力滅茶苦茶強い。え、マジで? まだ、話とか聞いてないんだけど! 」


 那須川は劃を連れ去るとその場から去ってしまった。そして、再びその場は静かになると先程まで目を瞑っていた(フー)がボソリと呟いく。


「彼、私と同じ匂いがする」


 しかし、ジュダはそれを聞いており、彼女に優しく話しかけた。


「そうかも知れないね。だが、それは今後明らかにしていこう。今からは一ヶ月後について話す。闘争の兵器の設計図をある男が手に入れており、そいつらがそれを昨日完成させたと言う情報が耳に入った。それの回収には埋葬屋全メンバー投入する。総力戦になるだろう全員心してかかってくれ」


 ジュダがそう言うと円卓を囲う彼らは先程の喧騒が嘘かの様に静かに会議を始めた。


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