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散華のカフカ  作者:
二部 闘争の戦斧
34/119

幕間 完了

反統合政府軍制圧編完結!

そして、過去編は最終局面へ……。

 ジュダは戦神の亡骸を見ると何も言わずにそれを拾い上げる。その体には穴がいくつも空いており、右腕が切り落とされていた。しかし、その顔だけは彼が見た中で一番和やかな表情をしている。

 それを見たジュダは骸に話しかける様に呟いた。


「ようやく死ねたんだな、戸松。お前にはこれからの世界のために色々手伝って貰おうと思っていたが先に逝ってしまったなら仕方ない。でも、見守っていてくれ。ペトゥロは必ず、俺が止める。イアンコフ、戸松、お前達には迷惑をかけたな。これからは俺の戦いだ。安心して眠ってくれ」


 黒い獣はかつての友の骸を抱きながら、ペトゥロがいる方向へと歩き出す。

 そして、彼の元に着くと、そこには凪良真琴の首を持ったペトゥロが立っていた。胴体と首が綺麗に切断された凪良の骸が彼の下に無造作に転がり落ちている。それを見たジュダは何も言わずにそこから去ろうとした。


「私達の勝利だ、ジュダ。ダルタニャンには私達を迎えに来る様連絡しておいた。ここで待つといい」


 そう言うとジュダをそこで止めようとしたが彼は戸松の遺体を置くとペトゥロの顔に拳を放ち、吹き飛んだペトゥロを睨みつけ、その場から何も言わずに立ち去った。

 顔を殴られ地面に伏せたペトゥロも彼に何も言わず、去って行く姿を見守ると少しして立ち上がり、凪良との約束を果たす為に戸松の遺体を置きっぱにし、彼もその場から姿を消した。


***


 妹背山は戦神との戦いにより受けた傷によりその場から動けなくなっていた。それを見たアシモフは彼の体を持ち上げるとその場から離れようとした。

 しかし、それを拒否すると妹背山は弱々しい口調で言葉を放つ。


「アシモフ、今回で君と僕のコンビを解消したいと思う」


 その言葉を聞くとアシモフは何かを察し、彼を持ち上げるのをやめビジネスパートナーであった妹背山に喋りかけた。


「そうか、お前はお前でやるべき事があるんだったな」


「ふふふ、そうだよ。私は私の目的があるからね。君でもいい線をついていたが君の体は美しさが足りない。だから、ここでお別れだ。君は最高のモルモットで友人だったよ、アシモフ。そして、そんな君に私から別れのプレゼントをくれてあげよう。そのパソコンのUSBを抜くんだ。ああ、そのまま抜いてもらって構わない」


 アシモフは彼が持っていたパソコンの横に入っていたUSBを取り出すと再び口を開いた。


「これには何が入ってんだ? 」


「これから世界の命運を担う兵器の一つ『闘争』の設計図さ。君は必ずこれを手に入れるんだ。他の兵器のデータは流石に渡せないが君の力ならそれを制御出来る筈だ。アシモフ、君とはこれから敵になるかも知れないし、味方になるかも知れない。私は優柔不断な性格でね。それでも、君と過ごした四年間は忘れることは無いだろう。さよなら、私のモルモット」


「最後の最後まで気味の悪い奴だったよ、妹背山。だがな、俺もお前と過ごした四年間は絶望に溢れた日々だったが悪くなかった」


 アシモフは少し微笑みながらそう言うとすぐさまその場から立ち去り、そして、幾分かするとそこにペトゥロが現れ、彼は妹背山に凪良の首を差し出し声を上げた。


「反統合政府軍総統凪良真琴は死んだ。妹背山、お前はこれより捕虜という扱いで研究所にて『星の塔』に封じ込めた四つの人間の根源を模した兵器の製作に携わって貰う。凪良真琴はお前がその兵器の製作方法の鍵を握っていると言っていた。それが虚偽であれば私は即刻、貴様の首を刎ねる」


「もっと穏便に済ます事は出来なかったんかね?四つの兵器のデータはこの中に入ってる。安心してくれ。私は自分の身の保健の方を優先するタイプだ。この後に及んで仇を取ろうと言うほど義理堅い人間でも無いからね」


 妹背山はすぐに自分の手元にあるパソコンをペトゥロに手渡すと話を続けた。


「それ以外にも彼から受け取っているだろう? 」


 ペトゥロはため息を吐くと凪良の遺品とチップの様な物を渡し、全てを渡し終わると再び口を開いた。


「凪良との約束の一つにお前にも彼との約束の内容を伝える事が含まれていてね。これは後で伝えるが彼の最後に残した遺言は今伝えておこう。また、会おうだとさ」


 ペトゥロはそれを伝え終わるとダルタニャンに連絡をし、妹背山を彼に連れて行かせ先にその場から立ち去らせた。


 ペトゥロはジュダが置いていった戸松の遺体に寄ると彼の遺体を白い布で包み込み、それを持ち上げた。


「君の死は見えていなかったのだがね。やはり、青髪の男は特異点か。まぁ、いい。『審判』から五年で随分と人が居なくなってしまったな。これからは再び『再誕』に向けて進んでいかなければいけない。そろそろ、ジュダに託した神羅を返して貰う時が来た様だな。彼があそこまで神羅を育てる事が出来るとは思ってもいなかった。ふふふ、楽しみだ。実に、実に」


 ペトゥロはそう言いながら戸松の遺体を抱えるとダルタニャンが迎えに来るのを待った。



 凪良真琴を中心とした日本政府は彼の死亡と共に瓦解し、統合政府の管轄の下、復興が行われていった。ペトゥロは日本にある施設を秘密裏に建設し、そこにて四つの兵器の製作を進めた。

 ジュダも「埋葬屋」という政府非公認である組織を樹立し、ペトゥロとの距離を取った。


 そして、五年の月日が経過すると共に彼らの物語は最終局面へと至る。


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