十七章 審判 其の拾陸
戦神VS戦鬼決着!
いよいよ、制圧戦も最終局面へ!
お手にとって頂けると幸いです!
「同化、時間神」
戦神は何も無くなった場所から一人の男が現れるのを見るとすぐさま槍を放つもアシモフはそれを斧で弾き、彼に斧の先端を突き出し、声を上げた。
「地獄から這い上がって来ちまったよ、お前のせいでな」
「何故、生きてる? 先程の攻撃は魂すら残さない浄化の光の筈なのだが」
「知らねえよ、そんなん。お前の攻撃がちゃっちかっただけだろ」
彼の一言は戦神の怒りに触れ、何も言わずに一瞬にしてアシモフの近くによると彼の首を削ぎ落とそうとした。
「生命開放、絶時間神・Ⅳポイント」
四秒
戦神の目の前にアシモフはおらず、彼は後ろにたっていた。そして、戦神の背中に切り傷が現れると男は再び開放を行った。
「生命開放、絶時間神・IIIポイント」
三秒
次は戦神の目の前に立っており、根源に深く接続したおかげで先程とはまるで違う硬さの彼の体に幾つもの切り傷が現れる。しかし、彼も目の前に立つ彼を予想しており、上空には大量の赤い槍が形成されていた。
「生命開放、絶戦神・怒髪雨天」
光の雨が降り注ぐもアシモフはそれを二つの斧で切り裂いていき、彼の間合いに再び入るともう一つの武器の開放する。
「生命開放、絶英雄王・武器庫」
一つの手斧が両刃の形に変形し、それを戦神に目掛けて振り下ろした。戦神はそれを右腕で受けるともう片方の腕に軍神の槍を作り出し、アシモフに放つ。しかし、彼は右腕に振り下ろした斧の開放を解くと自分に放たれた槍を体で受け止め、時の神の力を振るう。
「生命開放、絶時間神・Ⅳポイント」
四秒
戦神の体には先程よりも多くの切り傷が生まれ、服はボロボロに破け散っており、それを見た彼は不敵な笑みを溢しながらアシモフに喋りかけた。
「我の体にこんなにも多くの傷をつけるとは、はははははは、なかなかどうしてこう面白い」
「もっとボロボロにしてやるよ」
そう言うと再び、自分だけの世界へと足を踏み込む。
「生命開放、絶時間神・Ⅳポイント」
四秒
それは容赦なく戦神の体に大きな十字傷を被わせた。しかし、その瞬間、彼の体には三本の槍が背中に突き刺さるとアシモフの体に突き刺さった槍は姿を消し、そこから大量の血が溢れ出すのを見ながら戦神は再び口を開く。
「何が起きたか理解できぬのであろう? そんな表情をしている。なら、死に際に教授してやる。かつて、お前を殺した奴と同じ手法を取ってやった。お前らの開放は時間制限があり、その中で動くとなると余計な物を極限まで削ぎ落とす必要があるよな? それ故に、動きが単純な物になってしまうんだ。ならば、その動きを予想してもとより攻撃を放っておく。後は簡単、自分から貫かれたお前が現れるっていう寸法だ。まぁ、三本も刺さるとは思ってもなかったがな」
戦神は自ら手札を明かすがそんな声はアシモフには届いておらず、また、これまで受けた傷の数々が蓄積され彼の意識は再び闇の奥底へと堕ちようとしていた。しかし、彼はそんな中で時間神の根源の極地を理解しつつあった。
「もう限界か、時間神の借り物よ。いや、よく耐えた方だ。せめてものの手向けに派手に散らしてやろう」
右腕を前に出すと二つの槍が顕現し、戦神は勝利を確信すると笑みを浮かべる。
「生命開放、絶戦神・絶軍神」
再び辺りを光が喰らうい、アシモフもまたその光に飲み込まれようとしたその時、彼は戦神を見据えると吐き捨てる様に呟いた。
「天上天下唯我独尊」
迫り来る光を前に男は今、新たな世界への扉を開く。
「生命解放、絶時間神・絶対領域」
時間神の能力は十秒間、時を止め自分の世界へと相手を引き摺り込むことが出来る。
それ故に戦神が言った通り、攻撃自体が単調な物となり、彼の攻撃を予想するのは歴戦の猛者たちであれば容易く出来てしまう。また、彼の様に根源に深く繋がっている物には火力が足りず、切り傷程度にしかならない時もある。
しかし、絶時間神・絶対領域は十秒間のあらゆる生命の停止、即ち、生命武器すらも停止させる。これはかつて時間神が至らなかった極地であり、神に一矢を報いる為にアシモフと彼の思いが一つになり、根源に新たな可能性を刻み、生まれた奇跡の解放。
全てが停止した世界でアシモフは戦神に走り寄り、彼に目掛けて斧を突き立てる。切り傷しか生まれなかった体に簡単に斧が突き刺さり、何度も、何度も、時間の限りに斧を振るう。体からは血は流れず、戦神は笑いながら穴だらけにされていく。アシモフは無我夢中になりながら斧を振るい、そして、十秒が経つと戦神の口から血を吐くのを確認し、彼はようやく斧を振るうのを止めた。
戦神は何が起きたか分からず、目の前に斧を突き立てるアシモフと体に空いた穴の数を確認すると何かを諦めたのか血を吐きながら、口を開いた。
「何だよ、俺もあんたに負けんのか。我等を殺すとはな時の神よ。昔より強くなったな」
一言一言を発すると体から血が滴り落ち、赤い池を作り出していく。それでも、彼は口を閉さなかった。
「なぁ、あんた、イアンコフを殺したんだろ? 」
「ああ、そうだ」
彼の体の穴は力の解放後、綺麗に埋まっていた。ボロボロの体ではあるものの致命傷に至るものは全て修復されており、戸松はそれを見ると質問を続ける。
「あいつは最後なんて言って死んだんだ? 」
「覚えてねえや。だが、紫門を幸せにしたかったって言ってたな」
「ふふふはははははははははははははははははは、あんた、律儀だなぁ。ふふ、あいつらしい一言だ。そうだ、なぁ、あんた名前はなんて言うんだい? 」
「急に名前だと? 馴れ合うつもりは無い」
「そうか、まぁ、そうだよな。それじゃあ、他の質問にするよ。なぁ、俺たちはあんたの何を奪ってしまったんだい? 」
戸松は少し寂しげに笑いながらかつての友人に会った時の様に和やかに最後の質問を問いかける。
「最初にも言ったろう。俺の希望と幸福だよ」
アシモフはそれになるべく感情を乗せないように吐き捨てる様に答えた。
「そうか、それはすまなかった」
戦神は最後に懺悔を残し、その場にコト切れるとその魂は根源へと吸い込まれていく。
「他の形で出会えてればいい友人になれたかもな、戸松春人」
アシモフはそう呟くと戸松の開いた目をそっと閉じ、自分を叩き起こしてくれた妹背山の元へと急いで足を運んだ。
感想、レビューいつもありがとうございます!
嬉しくて狂喜乱舞です!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!




