十五章 審判 其の拾肆
反統合政府軍制圧編人気絶頂!
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その焔は戦場燃やし尽くし、その場に立つのはただ一人。
ペトゥロの周りに炎が立ち込めると彼は四人の死体を焼き尽くしていた。
「まるで、悪魔だな。ペトゥロ・アポカリプス」
自分の後ろから声がし、ペトゥロは後ろを振り向いた。
「君は凪良真琴かい? 」
凪良と呼ばれた男は袴を着ており、白と黒が入り混じる髪色をしていた。
腰に差している刀を弄りながら彼は再び口を開く。
「ああ、初めまして、ペトゥロ・アポカリプス。そして、さよなら、二度と会うことは無い」
凪良はそう言うとペトゥロへと走り寄ると彼はそれを不可視の斬撃により切り捨てようと声を上げた。
「生命開放、絶包丁」
しかし、凪良は見えるはずないその斬撃を刀で受け止めると一瞬にしてペトゥロの間合いへ詰め寄り、ペトゥロは再び開放を行おうとするももののそれよりも速く刀は彼の胸に切り傷をつけた。
「生命開放、絶粉砕」
それに合わせてペトゥロも彼に不可視の鉄槌をぶつけ、距離を取ろうとしたが、凪良はそれをしっかりと刀で防いでおり、それほど吹き飛んでいなかった。
「ふむ、それが不可視の調理場か。なかなかの威力だ。妹背山め、また予想を外したな」
彼はそう呟くと再びペトゥロに詰め寄る。
何度斬撃を飛ばそうとも彼は全てそれを弾き返し、そして、凪良がペトゥロの間合いに入った途端、彼はそれに合わせて開放を行った。
「生命開放、絶凍結」
凪良の体は一瞬にして凍りつくとそこにペトゥロは容赦無く鉄槌を食らわす。
防御不可避の連続攻撃により、凪良の体がペトゥロから遠ざかる。吹き飛ばされた凪良は未だに凍りついていたがそれを無理矢理動かし、再び刀を構えると、そんな彼を見ながらペトゥロは声を上げた。
「君一体何者だい? 万象の攻撃が見えているのかい? 」
「見えている訳ではない。感じ取ってるだけだ」
「生命武器すら使っていない君がそんな超感覚を持っている訳...。いや、まさか君武器を介さず根源を引き摺り出したのか?」
「ビンゴ、それじゃあ、第二ラウンドと行こうか」
凪良はトントンとリズムを刻みながら跳ねると先程よりも速くペトゥロに走り寄り、彼もまた向かい来る凪良に開放を行った。
「生命開放、絶包丁・千切」
ペトゥロの半径三十メートル以内に斬撃の雨が降り注ぐ。それに慈悲は無く、無差別に調理が行われる。
辺りにあった建物全てを斬り刻み、砂煙が立ち込める中、残ったのはペトゥロだけに思われた。瞬間、砂煙の中から刀だけが飛んで来てペトゥロの右肩に突き刺さった。その一撃は彼の油断をつくことに成功し、突き刺さる刀を取りに凪良は煙の中から現れると右肩から引き抜き、ペトゥロの防御が疎かになっている所に蹴りを入れ吹き飛ばした。
流石に体には数十と切り傷があったが致命傷には至らず、凪良は刀を振り回すと口を開いた。
「何だ? 今の技は。流石にヒヤヒヤしたぞ」
「あの斬撃の雨を凌ぎ切ったのか」
ペトゥロは右肩から広がる痛みを抑え、吹き飛ばされた体を起き上がらせると祈りの構えを取った。
「これだけやってもまだ戦う気力があるのか。流石、世界の破壊者だ。そうやってどれほどの人間の生命を踏み躙ってきたんだ? 」
「踏み躙って来たからこそ止まることは許されないんだよ」
ペトゥロはそう答えると万象に眠る原初の焔を開放する。
「生命開放、絶焔刃」
ペトゥロの腕には全てを燃やし尽くす焔が宿り、それを引っ張り矢を放つ様な形を取る。
「へえ、それが万象に宿る原初の一つか」
「ああ、ここからが本領発揮だ」
再び戦場は燃え上がると凪良は刀を構え、原初の炎を纏うペトゥロに自ら足を踏み込んだ。
***
戸松は向かい来る四人を二本の槍を携えて迎え撃つ。彼は四人の男女に囲われ、一斉に攻撃を仕掛けられるが、それを簡単にいなすと赤い槍を斧を持つ男に投げつけ吹き飛ばした。
吹き飛ばされた男を無視して残った三人は連携しながら戸松に攻撃を仕掛けるも黒い槍から光を放ち、自分から遠ざけると彼らに喋りかけた。
「生命武器を使える人間ってだけでも珍しいのにそんなのが十二人もいるとは。お前ら一体、何者だよ? 」
「俺達は倶利伽羅隊。俺は倶利伽羅隊「冬春」隊長如月だ」
自分の背丈以上の剣を携えた長髪の男がそれに答えると再び戦闘態勢に入る。
「いいね、やる気十分って感じだな。ペトゥロならデータを取るから殺すなとか言いそうだが俺はそんな事はしねえ。全力でやろうぜ、死ぬまでな」
そう言うと手を広げ、彼らに無慈悲に武器を開放する。
「生命開放、絶戦神・怒髪雨天」
彼は赤き光の雨を降らし、四人の姿が一瞬にして見えなくなる。しかし、光の中を如月が長刀を構え、体が焼かれながらも戸松に突きを放った。
戸松はそれを軽く避けると赤い槍を体に突き刺す。腹部に穴が空いた如月は赤い槍を離さず、戸松からそれを奪い取るとそれを契機に三人の影が現れ、彼に三つの凶器が向けられた。
しかし、戸松は腕を上げ、その方向を見上げると上空に赤い槍と黒い槍が浮いており、それに力を込め戦神の光を放つ。
「生命開放、絶戦神・絶軍神」
赤と黒の光が再び彼らを飲み込んで行き、全てを焼け落とすと辺りには死体すら残らず、彼は一人でその場に佇んだ。
そんな時、一本の斧が彼を目掛けて投げつけられ、戸松はそれを素手で受け止めるとその斧を持ち主に目掛けて投げ返すと斧の主人はそれを受け止め、ゆっくりと姿を現した。灰色のコートを身に纏い、青い髪の男が茶色の瞳に殺意を込めて戸松の事を眺めている。
戸松はそれがイアンコフを殺した男とすぐさま気付くと彼に向かい怒りを込め槍を放つ。
「生命開放、絶戦神・怒髪衝天」
赤い光がアシモフに目掛けて一直線に飛んでいった。アシモフはそれを二つの手斧で弾くと彼に向かい走り寄って行き、戸松もまた黒い槍を携えて向かい来る彼にぶつける。
斧と槍の刃が混じり合い、火花が散ると戸松はアシモフを蹴飛ばし声を上げた。
「お前がイアンコフを殺したのか? 」
「そうだと言ったらどうする? 」
彼らは互いの目を見ると同時に口を開いた。
「ぶち殺す」
戦鬼と戦神の戦いの火蓋が切って落とされ、アシモフは斧を逆手に持ちながら開放を行う。
「生命開放、絶英雄戦斧・武器庫」
七つの斧が現れるとそれを戸松に向けて一本、また一本と投げつけた。戸松はそれを二本の槍で弾くとアシモフを囲いながら走り、ドンドン速度を上げていく。戸松に囲われたアシモフは投げた斧を消すとハルバートを顕現させそれに対応した。
最高速度に達した瞬間、戸松はアシモフに槍を放った。赤と黒の光から放たれた一撃は力と速度から圧倒的な威力を生み出すと彼の体を簡単に吹き飛ばす。武器でそれを防いでいたのにも関わらず、体が宙に浮き、戸松はその隙を逃さず容赦なく追撃を行い、浮いた体が何度も吹き飛ばされアシモフの体に刺し傷、切り傷を刻んでいく。
「やべえ、抜け出せねえ」
アシモフは戦神の容赦ない連続攻撃になす術がないように思われた。しかし、彼はなんとかもう一つの斧を握り締め、なんとか開放を行った。
「生命開放、絶時間神・Ⅴポイント」
五秒
気付くと戸松の体は地面に叩きつけられ、右腕が引きちぎられており、痛みは登ってくるも彼は筋肉で止血すると口を開いた。
「それがイアンコフを追い詰めた武器か」
「ああ、そうだ。化物みたいなお前らを殺すことが出来る唯一の力であり、俺の幸福を奪ったお前ら、いや、世界を壊す武器だ」
アシモフはそう言うと武器を構え襲いかかる。
戸松はそれを避けようとはせず、彼に向けて光の雨を放った。
「生命開放、絶戦神・怒髪雨天」
無数に降り注ぐ赤い槍が彼の体を容赦無く焼き落とす。武器で防いでいても体中に切り傷、焼き傷が生まれ、雨が止む頃には体中がボロボロになっており、戸松はそれを見ると戦神の槍と軍人の槍を上空には顕現させ、最後の一撃をアシモフに放った。
「イアンコフの仇だ。派手に散れ」
「生命開放、絶戦神・絶軍神」
黒と赤の光が交差し合い、全てを飲み込んで行き、既に開放を行える力は無くアシモフの体も光の中に消えていった。
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