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散華のカフカ  作者:
二部 闘争の戦斧
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十三章 審判 其の拾弐

過去編が想像以上に長くなっててます笑笑

お手に取って頂けると幸いです!


 戸松との死闘の末、ジュダは彼を彼女との約束の為に殺そうとした。しかし、そのタイミングでペトゥロ・アポカリプスが割って入る。


「ペトゥロ何しに来た? 」


 ジュダの問いに彼は間を開けると少しして口を開いた。


「先ずは久しぶりだね、ジュダ。三年間の旅は楽しかったかい?」


「何しに来たって聞いてるんだ、ペトゥロ」


 ジュダは彼が問いに答えないことに苛立ちを覚えたがペトゥロは溜息を吐くとその問いに答えた。


「戸松が殺されそうだったので、助けに来たのと君を統合政府のメンバーに加えようと思ってね」


「ペトゥロ、俺はかつてお前を正義の指針としてきた節があった。だけど、その結果この混沌の世の中を生み出してしまった。だから、俺はもうお前を頼らないし、信用しない」


 ジュダはそう言うとその場を去ろうとした。

 すると、ペトゥロはそんな彼を見つめながら自分の持っている手札を提示し始める。


「ジュダ、君が探してる人は見つからないよ」


「何だと? まさか、お前」


 ジュダは瞬時に戦闘態勢を取ったが戸松との戦闘での疲労が一気に襲いかかると開放していた武器が解けてしまう。


「安心してくれ。彼女達は今マリアが監視している。君が大人しくする限り何もしない」


「ペトゥロ、お前も随分小賢しくなったな」


 ジュダは嫌味を言ったがそんな事はお構いなしとペトゥロは喋り続ける。


「あまり事を荒げたく無いしね。しかも、君たちが壊した都市の住人は僕が事前に撤去をしてもらっていたからよかったものの。そこら中にあった建物を一つ残らず消し去るなんて。喧嘩しにては派手すぎるね」


「なんで、俺と戸松が戦うってわかったんだ? 」


「ああ、そうか。君はデウスの存在を知らないんだったね。それも追々説明するから大人しくついてきてくれ」


 そう言うとペトゥロは背を向けて歩き出す。ジュダはイヴとリリィが囚われている以上彼になす術はなくやるせない気持ちで一杯になったが彼女達に被害を及ばせない為に彼についていくことにした。


 少ししてジュダは拘束されると黒い乗用車に乗せられ、彼らは統合政府第一首都にある星の塔へと向かう。途中、ジュダは戸松との戦闘による疲労が襲いかかって来るとその中で意識を失った。


***


「着いたよ、ジュダ。しばらくここで検査を行うから一ヶ月ほど安静にしといてくれたまえ」


 ペトゥロの声で目を覚ますと彼は研究所の様な場所におり、彼はジュダを起こすとすぐに背を向けていた。


「おい、待て! 」


 ペトゥロは聞く耳を持たず、そさくさと何処かは行ってしまうとジュダはそこで検査やら手続きやらを行わされた。

 そして、ちょうど一ヶ月が経った頃、ペトゥロが再び姿を現し、彼の拘束の全てを解くと彼に「ついてきてくれ」と声をかけとある部屋に案内した。

 そこにあるソファに座るとペトゥロはジュダが大人しい事に気付くと喋り始めた。


「意外と冷静だね、ジュダ」


「馬鹿みたいに突っ込むのは得策じゃない。今はどうでもいい。それで洗いざらい話してもらおうか。今の状況とイヴとリリィの居場所について」


 彼から話を切り出すとは思ってもおらず、ペトゥロは少し笑うと再び口を開いた。


「そうだね。先ずは今の私達が置かれている現状について少し説明するよ。統合政府には今世界の三分の一の国が参加している。だけど、残り三分の一の統合政府反対派筆頭に日本があるんだ。日本は政府の面々が「審判」によってほぼ全滅し、人々を統制する機能が停止していたんだが凪良と名乗る男が拳一つでまとめ上げて、今は反統合政府のスローガンを掲げ、私達に徹底抗戦を持ちかけている。そこでだ、これから二年後に、私達三人で彼らを制圧する」


「何故、二年後なんだ? 」


「今、一気に日本制圧を押し進めると流石に周りの国からの反感を買うからね。せっかく得た信用を失いたくはない」


 彼はそう言うとジュダに端末を手渡すと、そこには凪良について書かれており、日本は生命武器を作っているという情報が載っていた。

 それを見たジュダはペトゥロにかつての経験からそれについて問いかける。


「最初、この力を使った時に俺たちと対峙したディックと言う男を覚えているか? 」


「ああ、やはり君もそこに目をつけるね。執行者(ブレードランナー)、君と私を追い詰めた最初の武器であり、私達の同志を撃ち抜いた忌まわしい武器でもある。国連軍の本部からデータを持って来た時に生命武器に関しての研究はされていたのは分かった。だけど、核となる情報は未だに見つからない」


 ペトゥロはそう言うと端末にもう一つの情報を送った。ジュダはそれを眺めながら何かに気づくと口を開く。


「この青髪知ってるな」


「なんだって? 」


 ジュダの唐突の言葉にペトゥロは驚くもすぐに切り替えて冷静になる。

 本来であればジュダに殺されていたはずのイアンコフを殺した青髪を何故かジュダが知っている、彼は驚きを隠すことが出来なかった。


「どこで会ったんだい? 」


 彼の声に若干の圧がかかる。

 ジュダは少し彼の前のめりな姿勢を訝しんだがそれに答えた。


「さっきも言った最初の戦いの時だよ。背負い投げした記憶があるな」


「その時には生命武器を使っていなかったかい? 」


「使ってないな。あの時殺そうとしたらライフルで眉間撃ち抜かれて失敗したし」


「そうか、私達が思っていた以上に最初の戦いは重要だったのかもしれない。私達に取っても、裏に潜んでいる何者かにとっても」


 ペトゥロはそう言うと立ち上がり、部屋から立ち去ろうとした。それをジュダは彼の腕を掴み、声を上げた。


「待て、俺をこれからどうする気だ? 」


「どうもこうもない。好きにするといいよ。彼女達の部屋はこの鍵で開く。部屋は端末に載せておいたから早く会いに行って上げたらいい」


 ペトゥロは鍵をジュダに渡すとすぐにその場を去った。


 ジュダは端末を操作し、イヴ達がいる場所が分かると走り出した。こんな事に巻き込んだしまった申し訳なさと彼女に会えるほんの少しばかりの嬉しさで足を動かす速度が速くなる。

 そして、部屋の前につき、カード型の鍵で扉を開けるとそこにはイヴとリリィ、そして、マリアが談笑をしていた。


 唐突に入って来たジュダに二人は驚くもイヴはジュダだと分かると声を上げる。


「ジュダ! 良かった無事で」


「すまない、イヴ。君を巻き込んでしまって」


 イヴが彼に向かい手を握っている所をマリアは薄らと笑みを浮かべながら眺めていた。

 それに気付いたジュダは少しして彼女の手を振り抜こうとしたが予想以上に彼女の手を握る力が強く振り抜くことを諦めるとマリアに喋りかける。


「マリア、お前が彼女の面倒を見てくれていたらしいな」


「別に面倒を見てた訳じゃないわ。ただの監視よ。でも、あんたが女を作ったってのは本当なのね」


「違う、彼女はただの隣人だ。それ以上でもそれ以下でも」


「そうなの? 私はあなたをとっても信頼しているのだけど」


 イヴが口を挟むとジュダは何も言おうとせず、腕で顔を隠した。


「あらあら、ジュダ。随分好かれてるじゃない」


 マリアの揶揄う言葉に反論出来ず、ジュダは照れ隠しに声を上げた。


「とりあえず、無事なのは分かった。マリア、彼女を安全な場所に匿いたい。手伝ってくれないか? 」


「何言ってるの? ジュダ。彼女も統合政府の管理下に置かれるのよ」


「何だと? 」


 ジュダはそれを聞くと殺気立ったがイヴが手を握る力を強めると口を開いた。


「違うの、ジュダ。これは私が望んだことなの。リリィを安心して育てるのとあなたと一緒にいるためにはそれしかなかったの。だがら、ごめんなさい。勝手に色々決めちゃって」


 彼女の謝る姿を見ると強く責める事もできず、ましてや、自分に非があることを思い出すとジュダはため息を吐くり


「イヴ、今回は仕方ない。俺が悪いところもある。その代わり君とリリィに何かあったら、その時は俺が統合政府を全て壊す」


 彼はそう言うと部屋から出て行ってしまう。


「マリアさん、私嫌われちゃったかな? 」


 彼女が悲しそうな表情をしながら問いかけてきたのでマリアは少し微笑みながらそれに答えた。


「いいえ、あんなの怒った内に入んないわ。昔、彼がペトゥロが拐われた時の方がよっぽど凄かったもの。だから、安心して」


 そう言うとマリアはリリィを抱きながら立ち上がると外を眺めると、塔から見える夕日は三年前よりも綺麗に見えた様に感じた。




 そして、月日は経ち二年後の反統合政府軍制圧作戦、その日へと至る。


感想、レビューいつもありがとうございます!

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