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散華のカフカ  作者:
二部 闘争の戦斧
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二章 審判 其の壱

いきなり滅茶苦茶喋りますがお許しください。

ジュダ、ペトゥロの過去編スタートです!

設定の開示をとんでもない量していますが次は戦闘も交えて書く予定なのでお手に取って頂けると幸いです!

2020年、とある地下施設にて。


「星には生命をリセットするシステムがあるんだと思うんだ」


 ペトゥロ・アポカリプスはそう言うと十二人の同志は大笑いした。


「ペトゥロ、俺はたしかにお前の実験に手を貸す約束をしたからここにいるが馬鹿みたいな事ばかり言うと愛想を尽かして出ていっちまうぞ」


 黒髪の男が書を片手にそう言うと席を立とうとした。しかし、ペトゥロは彼を引き止める様に声を上げる。


「待ってくれよ、戸松。僕はいたって真面目に言っているんだ。今の世界の現状を見てくれ。僕たちが思っている以上に状況は深刻で、」


「確かに状況は深刻だが、「星の塔」の完成は済んでいるし後は起動用の鍵さえ出来れば「審判」が行われ世界を浄化されるんだろ?」


 彼の言葉を黒髪の無愛想な男が遮った。


「ジュダの言う通りだ、後数日で世界は書き換えられるんだ。それなら地球最後の日を存分に楽しもうじゃないか」


 戸松はジュダを立てると周りの人々もそれに賛成しその場を後にした。

 大きな溜息をつくペトゥロ。

 しかし、一人その場に残ったジュダを眺めると彼に喋りかける。


「ジュダ、君ならわかっているだろう? たしかに「審判」は完璧なものだ。理論的にもそれは証明している。だけど、星というモノに意思があると考え計算するとこの理論では全ての人間の浄化は不可能ななんだ! 」


 ペトゥロの言葉をジュダは本を読みながら聞いていた。


「何故、誰も信じてくれない! このまま「審判」を行えば確実に良く無いことが起きる! ジュダ、信じてくれ! 君と僕ならこの最悪の結果を変えられる筈なんだ」


 彼の熱意とは対照的に冷めた態度でジュダは本を読み進めた。それでもペトゥロは諦めず、彼に喋りかけ続け、そして、ジュダは本を読み終えると口を開く。


「たしかにお前の言う、星の意思とやらを含めて考慮すると計算は狂って大災害< インフェクションテンペスタ >と「審判」をあわせて約六割の人類が消え去る事になるだろう。しかし、お前の言う星の意思とやらはなんとも胡散臭い。つい数日まで「審判」までの日にちを数えながら楽しみに待っていた君が嘘の様だぞ。あいつらもお前がふざけて言っているとしか思っていない。根拠が欲しい。俺が信用できる程の根拠をな」


 ジュダもまたその場を後にしようと席を立った。


「待ってくれ。分かったよ、ジュダ。根拠を見せればいいんだね? これは君達には内緒にしておくつもりだったのだが君からの信用を得る為と言うのであれば今から私が星の意思と言うものが存在する根拠を君に見せよう」


 ペトゥロはそう言うと去ろうとするジュダを引き止め、会議室の本棚にある本を差し込めるとその本棚は重い音と共に彼らを誘う様に門へと変貌を遂げ、門の後ろには地下へと降りる階段が用意されていた。


 ジュダはそれを訝しげに見ると声を放つ。


「いつからそんなものをとっつけたんだ?ここは俺たちの施設だろ?そんなもんを勝手に作っていたとなるとお前の事をますます信用できなくなるぞ」


「ジュダ、それは違う。これは元々ついていた機能だ。これはこの施設の根幹、いや、根源を隠すための機能なんだよ」


 ペトゥロはそう言うと何かに囚われた様に開いた門を通り地下への階段を降りて行った。ジュダもまた彼の後ろを警戒しながら地下の真実へと足を踏み込んだ。


 地下の階段を二人はゆっくりと歩いていき、知り合って10年近くの付き合いになっていたが彼らは互いに互いを良く知っておらず、それ故に、ジュダは二人で暗闇の地下階段を進むのはどうも気まずく感じていた。


「ジュダはさ、なんで僕なんかについて来てくれたんだい? 」


 唐突に飛んできた質問にジュダは驚きを隠せなかったが少ししてそれに答える。


「単純に興味さ。俺は元々なんでも出来る人間だ。何もかもをし尽くして、只々無意味に生活していた。無駄な時間を過ごす中、お前が俺に人類を救わないか?と持ちかけて来た。突拍子もない事を言ってるバカが来たと思ったよ。でも、話を聞けば聞くほど惹かれて行った。お前の計画も勿論だが君と言う人間に惹かれてしまったらしい」


 自分は何を言っているのだと恥ずかしくなったが彼は自分がペトゥロに対して抱いていた思いは自分が思っていたモノよりも遥か大きい事に気づいた。


「そんなに褒められるなんて思ってもいなかったよ。」


 ペトゥロもまた彼の答えが思いもよらぬもので照れ隠しに笑っており、幾分かして、再びペトゥロは口を開く。


「でもね、本当に感謝をしているのは僕の方なんだ。僕もこの計画を立てた時にまず初めに誰に声をかけるか凄く迷った。こんな計画を鵜呑みにしてくれる人間なんて誰もいないんじゃないか。ましてや、ラスール大学の生徒がこんな突拍子の無い話を聞いてもくれしないんじゃ無いかって。でもね、君を一目見た時に思ったんだ。君なら僕の話を聞いてくれるんじゃ無いか。根拠は無いよ。君と話したのはあれが初めてだったからね。だけど何となくだけど君とはなんだか馬が合いそうと思って君に話しかけた。そして、それをキッカケに計画の歯車は動き出したんだ。ナタエラ、アルコ、アンドリュー、ヨハン、戸松、イアンコフ、フィリップ、マテュー、ファディ、紫門、マリア、彼らに出会えたのは君のおかげと言っても過言では無い。改めてこんなとこではあるけど礼を言いたい。ありがとう、ジュダ」


 彼が礼を言うと同時に地下の門へとたどり着いた。その古びた門はいつの時代か分からないほどに草木が生い茂っており、来る者全てを拒む様な見た目をしていた。


 ジュダはそれをまじまじと見つめると何もせずにただ呆然と立ち尽くしていた。そして、それを見たペトゥロは心そこにあらずと言う彼を呼び戻す為に声をかける。


「ジュダ、ここには根源が宿っている。これから見せるのはこの施設の根源、生命を司る兵器達だ」


 そして、彼は古の門に手を置くと重い音共にそれは開き彼らを招き入れ、開かれたる部屋の中の真ん中には球体の様な物が浮かんでおり、それが辺りを照らしていた。


 壁には本棚がありそれが球体の光により煌々と輝いている。


「なんだあれ? 球体が浮かんでいるのか? 浮かんでいるとしてもどうやって浮かんでいるんだ? 」


 ジュダは地下に広がっていた未知の技術に興奮しつつも、何故この様な物が存在しているのかという不安がよぎり複雑な感情になっていた。

 それを見るペトゥロは球体に近づくとそれ本来の姿を見せようと口を開く。


生命開放(オープン)世界樹(ユグドラ)


 輝く球体はパネルの様な物となりペトゥロはそれを操作し始めた。


「ジュダ、この世界樹(ユグドラ)はね、この世界の全てを司る生命武器だ」


「生命武器だと? なんなんだ、それは? 」


 自分の言葉を全く理解が出来ないジュダに対して彼は諭す様に言った。

 

「人はね、誰しも根源を持っているんだ。これは人間であれば必ずしも持っている。かつて、神話に於いて神と崇められた人間が多く存在した。何故、彼らは神と崇められたのか? 同じ人間なのに別次元の力を持っていたのか? それは至ってシンプルな答えなんだ。彼らは根源の引き出し方を知っていた。意味が分からないと言う顔をしているね。簡単に言うと神話の神々は僕達と同じ人間で僕達も根源を引き出せれば神に近しい存在になれると言う事だよ」


 ジュダはこの時、圧倒的なまでの恐怖を覚えた。

 10年近い付き合いの同僚が何か恐ろしい者へと変わってしまった様にすら感じる。

 口が動かない。掛ける言葉が見つからない。

 ジュダは目の前の事象を冷静に飲み込もうとするもののそれが逆に彼の思考を鈍らせた。


 そんな彼を眺めながらペトゥロは再び口を開く。


「随分と動揺している様だね、無理もない。でも本番はここからだよ。さっき言った根源を引き出した人間は死後に地球の根源へと帰る筈だったのだが、それをこの世界樹(ユグドラ)に本として置く事で星の意思に反くことが出来たんだ。そして、この施設は言わば星の本棚、あらゆる神、英雄、豪傑、それらの根源が記録されている場所になったんだよ。僕もこれに気づいたの一ヶ月前だ。最初は動揺したよ。でもね、調べれば調べるほどこの地球と言う物がどんな物かを理解していた。現代の科学では到達しようもない根幹までもを僕は知り、そして、気づいた。この地球と言う物そのものが生命武器なんだと言う事を。ジュダ、君なら僕の言った事が大体理解出来たんじゃないかな? 」


「言った事は大体理解出来た。でも、結局生命武器ってのは一体何なんだ? 」

 

ジュダはチグハグに言葉を紡いだ事を後悔したがこれ以上に何かを喋ろうとすれば確実に自分の思考がついていけなくなる事を理解し、今はこれで良いと思い彼の答えを待った。


「たしかに、生命武器に関してはまだ話していなかったね。それは神話の時代、まだ人間が根源の引き出し方を知っていた頃、根源を引き出せない人間が大半だった。そんな中、それを強制的に、いや、簡単に引き出す事が出来る様にしようとした奴らが作り出した兵器、それが生命武器だ。だけど、それはプロトタイプであり燃料に問題があってね、根源を引き出すには大量の血を要するんだ。だから、使えた人間は神の子と言う扱いを受けてその名を世に残していった。そして、次の世代がこの世界樹(ユグドラ)を見つけた頃、彼らはこの本棚にあるあらゆる神、英雄、豪傑らの根源を武器に埋め込む事でその武器の燃料を安定させたんだ。」


「待て。それだと、その世界樹(ユグドラ)とやらの誕生したタイミングの辻褄が合わないぞ。生命武器の完成形が作り出されたのはその次世代の人類とやらなんだろう? そうなると世界樹(ユグドラ)は旧世代の人間が完成させたことになる筈だ。それなのに、お前がそれを簡単に操作したのを見ると世界樹(ユグドラ)だけが時代に合わないオーバーテクノロジーと言う事になる。しかも、星の根源に帰る筈の人々の根源を邪魔出来る世界樹(ユグドラ)、それの根源とやらは一体何なんだ? 」


「やっぱり、君は察しがいいね。世界樹(ユグドラ)が出来たタイミングはね、人類は星の意思により進化を促されたタイミングと同じなんだ。その進化の内容は根源の引き出しの不可。しかし、それを拒んだある男がいた。その男は何者でも無い。故に、星の意思の油断を突くことに成功した。何者でも無い男の反乱、その結果、星の根源、そのほんの一部を手に入れる事が出来、それを使いこの世界樹(ユグドラ)と言う生命武器を完成させたんだ。彼の身はもう既に進化を促されており、自分自ら根源を引き出す事は出来ない。しかし、彼はある事を仮定した。世界樹(ユグドラ)と繋がる事で自らの根源を引き出す事が出来るのでは無いのかと。そして、試した結果、それは成功したんだ。彼の肉体を生贄にしてね。プロトタイプの生命武器の構造ではやはり燃費が悪かったらしい。だが、彼はやったのけた。この世界樹(ユグドラ)に今まで地球の根源にあった神、英雄、豪傑、それらの根源を無理矢理引っ張り出してこの本棚に抑え込むことに成功したんだ。彼は人が星の意思に背く事が出来るのを証明して見せたんだよ」

 

 ペトゥロは何かに囚われた様に嬉々としてそれを語る。

 しかし、ジュダはそれを見て彼がこれから何を求めているのかを全く理解が出来なかった。


 それでも、何とかこれまでの事を最大限に噛み砕き、それに対しての答えをジュダは言った。


「ペトゥロ、お前は一体、何がしたい? 」


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