幕間 胎動
補足の章です。
二部はここから始まると思うのでお手に取って頂けると幸いです。
長いテーブルに五人の男女が対になりながら座っている。白い礼服を身に纏った彼らはペトゥロに呼ばれ集まってはいたのもののその場からは重々しい空気が流れており、その空気を変えようと眼鏡をかけたきのこ頭の男が口を開く。
「皆さん! 久しぶりに会ったのになんて空気なんですか! 我々はペトゥロ様に集められた精鋭いや仲間なのですからもっと会話に花を咲かせましょうよ」
しかし、この言葉に一人も呼応する者はおらず、先程よりも空気が重くなってしまう。
「ならよお、アポロス。お前から話せや」
ガタイが良い、赤髪のモヒカン男が反応した。
「僕はきっかけを与えるだけだ。切り出すのは君の方じゃないか? なぁ、カエサル」
アポロスと呼ばれた彼は揶揄う様にそう言うとその言葉が頭に来たのか彼は声を荒げた。
「ならば、ペトゥロ様にとって不利益な部分であるお前を! 俺が切り落としてやるよ! 」
「その言葉そっくり返してあげるよ、脳筋! 」
二人は立ち上がり武器を構える。
それを見たティフォンは近くにいたカエサルの首元に手をやり口を開いた。
「お前らは何故、そんなに喧嘩っ早いんだ? 」
しかし、カエサルはそれも気に食わなかったのかすぐさま噛み付く。
「負け犬がよく吠えるな。お前のが喧嘩早いだろうティフォン」
その場はますます緊張が張り詰め、一触即発の空気が漂ったが、ペトゥロが扉を開け現れると、彼らはこぞって静かになり椅子に座っていた者達も立ってペトゥロが座るのを見守った。
彼は真ん中の席に座り口を開く。
「まずはペッロー、ティフォン、お疲れ様。君達二人にはとても重い任務を与えてしまったね」
ペッローとティフォンはその一言でこれまでの全てが報われた様に感じたが、同時に任務を果たせなかった申し訳なさでいっぱいになっていたが、そんな彼らをペトゥロは簡単に許した。
「そう申し訳なさそうにしなくてもいい。今回は私も敵の実力と規模を見間違っただけだ。今回の任務は失敗だが次がある。その時の結果を楽しみにしているよ」
彼の激励の言葉はピリついていた空気を少しだけ和やかにさせたと思ったのも束の間「ねえ、そんな話どうだって良いよ。失敗した話には興味ない。それで、ペトゥロ。今日は一体何のために集めたの? 」白い礼服をダボダボに着ている小さな少年がペトゥロを敬称付けずに呼んだことにより、先程までの空気は一気に変わり再び緊張が走った。
その中でもカエサルは血相を変え、再び声を荒げる。
「お前はいつもいつもペトゥロ様の優しさに甘えて! 恥を知れ、左門! 」
彼は左門に対して怒りを向けたが左門はそんなことはお構いなしに反抗する。
「僕にとっては彼はペトゥロなんだ。それ以上でもそれ以下でもない」
再び、一触即発。
しかし、ドンと言う音と共にテーブルに穴が空いていた。ペトゥロの拳による物と気付いた二人は互いに席に戻った。
その二人を見るとペトゥロは優しさと非情さを巧みに混ぜ込みながら口を開く。
「そうだね、左門。そろそろ本題に入ろうか。まずはこれからアポカリプスシリーズ全員を確保する。<支配>は取られたが今後現れる<闘争>を確実に確保すんだ。<闘争>はとっても気難しい。だからね、今回の任務は護衛軍全員で遂行してもらう。仲良く、連携して任務に取り掛かってくれたまえ。それから、君達には「再誕」の儀について、今回のターゲットであった浅倉、いや、凪良翔悟について少し知っておいてもらいたいものがある」
***
躍動、沈黙、沈黙、躍動
躍動、躍動、沈黙、躍動
「やっぱり、最後の天使が目覚めてるね。後、<闘争>も目を覚ましたようだ。はぁ、とりあえずやることが多いがスペクターだっけかな彼の生命武器を貰いたい。あれがあれば僕の完全顕現も夢じゃないし、劃の体にも僕の権能が行き渡り、二つの<支配>の兵器が現れたら、一体全体どうなってしまうのやら。ふふふ、楽しみだね。でも、劃が目覚めたら果たして彼らの説得はできるかな? 」
(体が重い)
朦朧とする意識の中、劃はそんなことを思いながら目を覚ます。
体が自分のものではない様に感じるほどに何かが重くのしかかるもそれでもなんとか目を覚ますと椅子に体を縛りつけられており、手には鎖の様な物に繋がっていた。
囚人の様な扱いと再び訳が分からない状況に追い込まれていた彼であったが目の前に樹木の様な体の年老いた男が立っており、彼はゆっくりと彼のそばに寄ると口を開く。
「おはよう、<支配>の天使。これから幾つか質問がある。何も偽らずに答えてくれたまえ」
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