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散華のカフカ  作者:
四部 死の腕
115/119

幕間 幕開け

第二首都が遂に動く。

足掻き、踠き、そして、果てろ。

終わりは目前、ならば、やる事はただ一つ。


戦争だ。


第四部、怒涛の開幕!

 第二首都に煌々と聳え立つ星の塔。

 名を「ズィーズダ」。


「その首都は何処よりも芸術と気品に溢れており、その首都長であるアルルカン・シャルルは誰よりも情熱に溢れる人物で......」


「こら、グリム、変な解説及びの地の文つけないで」


 青年は仮面をつけながらもその下からわかるくらいに笑っていた。


 グリムはシャルルの事を見て、再び読もうとするもそれを止めるために彼は口に手を置き静かにする様にさせる。


 グリムの師であるカルマはお茶を飲もうとするもののカップに穴が空いており、中身が溢れているのにそれに手を置き、飲み干す様な動きをした。


「おい、グリム! 茶が入っとらんぞ! まーた、お前はサボりおって! このドラ息子がいい加減にしないか! シャルル様の御前だぞ! 」


「御師様、今、シャルル様の部屋にお茶をぶちまけて汚してるのは御師様ご自身ですよ。それと自分は貴方の息子ではありません」


 グリムはそう言うと新調した機械の腕と足で部屋を片付ける。


 シャルルはそれを見ながら楽しそうにしており、朗らかな空気が漂っていた。


 しかし、それはシャルルの一言で終わりを告げる。


「なぁ、グリム、カルマ。そろそろ取りに行こうか、ペトゥロの首」


 グリムは言葉を聞いた瞬間、塔の壁に穴を開けた。


 シャルルは嬉しそうに開けられた箇所から外を見渡すとその下には大量の兵士たちが武装しており、満足そうな表情を浮かべる。


「第二首都兵団二千及び、アルルカン暗殺部隊第一から第四まで、全員準備して参りました」


 カルマは先程とは違い言葉遣いがしっかりとしており、シャルルは下にいる兵士たちに見えるように姿を現すと彼らに向かい喋り始めた。


「やぁ、やぁ! 諸君、こんな夜にどうしてんだい? まるで、戦争でも起こすかのような武装をして。もしかして、僕に対してのクーデターかな? 」


 そう言われると兵士達は悲しそうな声を上げ、違います!とそれを否定する。それを聞いたシャルルは再び意地悪そうに口を開いた。


「ほう、僕の言う事を否定するのだね? ほ〜う、そんな兵士は僕は要らないかな」


 兵士達は絶望した様な表情を浮かべ、地面を悲しそうに叩き始めた。その力は自分の大切なモノを失ったかのような勢いがあり、盲信的狂信的な何かがあった。


「冗談、冗談! 悪かったね、君達の忠誠心を試すような事をして。だが、今見せてもらったものはとても美しく、綺麗だった。最高だよ、僕の武器たち。だが、武器は争いがなければ使えないただのガラクタ。今の時代の君達は僕に取ってもガラクタなんだ。使えないモノはいつまでもとっておいても資源の無駄だろ? それなら一新して新しいモノに変えるべき。僕はそう考えている。君達の意見を聞きたい? 君達はどうすべきなんだい?」


 問われた途端に考える暇もなく、兵士達は口々に戦争だと叫び出した。叫びは熱狂に変わり、都市全体が一つとなるとシャルルはその熱を自らの体、全身で受けるようにし、更に彼らを煽り立てる。


「そうか、ならば戦争だ! 戦争をしよう! ありたっけの僕の武器たちを持ち得て楽しく、愉快に争おう! 銃は持ったか? つまらないようにしろよ! 弾はちゃんとストックしているか? 濡れた銃弾は危険だぞ! 剣の手入れは十分か? 切れ味を上げなければ切り殺せんぞ! 戦車は綺麗にしてあるか? 全てに目を回せ! お前たちは今から戦争をする! 向かうはペトゥロ・アポカリプスが居座る第一首都! 走れ! 走れ! 何も考えずに走り始めろ! そして、僕に見せてくれ! 君達が素晴らしい武器であることに! 平和を望む世界に混沌を! 混沌を望む世界には平和を! 第二首都首都長アルルカン・シャルルが命ずる! 笑いながら壊せ! この世界を! 」


 シャルルの号令で第二首都から兵士達が出て行く。

 車を使うものもいたが、飛行機で空を飛ぶものも、走り出すものもいる。


 全ては我らが所有者のために命をかけて戦争を起こそう。


 それは始まる終焉への狂想曲(ラプソディ)


 あらゆる物、人、全てを巻き込むスタンピード。

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感想、レビューいつもありがとうございます!

嬉しくて狂喜乱舞です!

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