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散華のカフカ  作者:
三部 飢餓の弓
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四十一章 首都陥落作戦-第六首都 陥落-

首都陥落作戦、完了。

三つの首都は陥落し、最後の戦いの火蓋が切って下される。


そして、男は驕り語る。

自らの存在、意味を求め続ける者の答えとは?


第三部完結!

 背を向けたバサラに生命武器殺しの悪魔が襲い掛かる。


 それにはジャックの意志はなく、凡ゆる物を喰らい尽くそうとする暴食の罪のみが存在し、ジャックの体の真ん中が開くと口の形に変化してバサラに迫った。


 しかし、その一瞬を、狩人は逃がさない。

 バサラの背にいる怪物を自らが持ちうる最大火力を叩き込むために声を上げた。


生命解放(オープン)絶烏乃目(フギン)絶鴉乃目(ムニン)


 イェーガーの体に落とし込まれた思考と記憶。

 二つの渡鴉は北欧の主神の力をデータとして落とし込み、狩人はそれを瞬時に把握する。


 そして、コンマ数秒で引き金を引く準備を終え、再び口を開く。


生命解放(オープン)刺穿(グリム)絶神槍(ガングニール)


 引き金が引かれると同時に暴食の悪魔の口を貫くと大きな風穴を開けた。


 その弾丸は神なる槍を模した物。

 吸血鬼であるが故の治癒を持って暴食は止まる事なくバサラを食い破ろうとするも空いた穴が塞がらず、それが徐々に大きくなっていく。


 穴が大きくなり悪魔は暴れることすら許されず、雄叫びを上げ様としてもその声が発せられない。


 イェーガーの持つ生命武器の真価は貫いた物を風化させる必殺の槍。


 それにより、第六首都を護る首都長と悪魔は死に至る。


 それに気付いていたがバサラは後ろを向く事なく、行人を背負いイェーガーに近付いた。


「戻ろう、お前ら。第六首都の陥落を報告しよう」


***


 VR空間から出て来た三人はコクーンの中から目覚めると自分の体が動くか確認し、ここが現実であるかを確かめる。


「あそこで付いた傷とかは付いてないな」


 行人は自分が五十嵐に斬られた箇所を確認すると何処にも傷が付いていない事に少し残念そうにしていた。


 それを見ながらイェーガーはすぐに連絡の準備をしており、端末に手を置くと二つの首都から送られているメッセージを確認してそれを開くと直ぐに立ち上がる。


「バサラさん、行人、大変だ。俺達がいちばん遅れてるし、それと地下都市と埋葬屋本部が攻撃を受けてる! 早く帰る準備と報告を! 」


 その言葉を聞いた瞬間にバサラは端末を開き、各首都にいる埋葬屋の面々に声を上げた。


「第六首都、陥落! ここに首都陥落作戦の成功を宣言する! 地下都市襲撃は他の面々に任せて、俺達はこのまま同時にジュダ救出のために第七首都と共に第一首都に向かう! 繰り返す! これより、ジュダ救出作戦を同時並行で開始! そして、埋葬屋、全メンバーは地下都市の襲撃が完了次第、第一首都に結集し、最後の任務を行う! それまで、お前ら! 死力を尽くして生き抜け! 」


***


 第一首都、星の塔「スーテラ」。

 その一室で、二人の男が椅子に腰をかけている。


 一人は青白い髪をした青年で、もう一人は朽ち果てる寸前の樹木の様な男であり、両腕をしっかりと鉄の様なモノで縛られていた。


「そう警戒するなよ、ジュダ。僕は昔みたく君と仲良くしたいんだからさ」


 青白い青年は笑いながら自らに敵意がない事を表すも、ジュダはそれを見て彼が持つ、そこ知れない何かに心底うんざりしながら問い返す。


「お前はもう、ペトゥロ・アポカリプスでありながらペトゥロ・アポカリプスでない者だろう。お前は何者だ? 死のアポカリプスシリーズなのか? ならば、ペトゥロを殺してその器を手にしてから嬉しくて仕方ないだけだろ? 」


「おいおい、親友に向かって死んだなんて酷いな。私でも傷つくぞ。だが、そうだな、君の問いの答え合わせをしてあげよう。一つ目、私はペトゥロ・アポカリプスだ。誰がなんと言おうとペトゥロ・アポカリプスであり、否定する要素は何処にもない。二つ目、僕は死のアポカリプスシリーズが一つ、名をタナトス。三つ目、ペトゥロは殺されてない。むしろ、死の兵器を私が殺した。そして、私達は完璧な器となったんだよ」


 嬉しそうに青年ペトゥロは答える。

 新しく覚えた知識をひらけあかす子供の様にワクワクしながら口を開く。


 それとは対照的に彼の答えを聞き、ジュダは全てを理解するとそれが本当であれば彼自身の人類の救済があまりにも自らのエゴに塗れている事を知るや否や、明確に敵意を示して声を上げた。


「お前が行おうとしている人類の再誕は凡ゆる人間のアイデンティティを喪失させ、失くし、無くし尽くすモノだぞ? それを知っておきながら、お前はまだ、進もうとするのか? いや、自らが本物の神となる気か? 」


 人類再誕の答えに至るジュダを見て、ペトゥロは楽しそうに、かつて友人と遊んでいるかの様な幻想の中にいる気分になりながら微笑み、再び問いかけられた問いに答えた。


「あゝ、漸く気付いたかい? そうだね、僕は、私はアポカリプスシリーズを使い神になる。そして、人類を救う。人類の再誕、それ即ち、私だけの一神教。僕が神となり、私が進化させる。エゴと言われればそれまでだ。だが、知ってるだろう? 人類は文化を築き、創り上げることで争い、差別し、滅びるだけだ。だが、私は全てを救いたい。人類全てを救いたいんだよ」


「お前の中に何かが潜んでるのは分かってる。そろそろ出てこいよ。ペトゥロ、お前自身の答えを聞かせろ」


「ふふ、そうだね、そうするよ。私は生命武器「世界樹(ユグドラ)」の製作者。地球が促す、人類の進化に立ち合い、それに刃向かい朽ち果てた名も無き存在。ここまで答えたからには僕の質問にも答えてほしいな。さぁ、ジュダ、君の答えを聞きたい。僕に協力するか、しないかを」

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[一言] カクヨムさん掲載分と合わせてここまで拝読! 生と死、善と悪。重いテーマが内包されていますが、作者さんの「書ききってやる!!」という強い熱意を文章からひしひしと感じます。 最初は世間の端っこで…
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