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散華のカフカ  作者:
三部 飢餓の弓
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三十三章 首都陥落作戦-第五首都 陥落-

決着、そして、強襲。

最後の都市へと物語は足を進める。

 最後の兄妹喧嘩と言う言葉を聞くとスカディは先程までとは打って変わって闘争心と自らの感情を剥き出しにし、二本の剣を手前に構える。


 ニエルドもまたそれを見て槍を前にし、二人は最後の一撃に全てを込めるために二人は同時に駆け出した。


 距離が二人の間合いに入った瞬間、武器の全てを開放させるために声を上げる。


生命解放(オープン)! 絶聖輝十二騎士王(シャルルマーニュ)救世斬華(セイヴァー)!!! 」


生命解放(オープン)! 第五悪魔(アモン)強欲(グリード)竜嵐槍(テンペスタ)!!! 」


 二本の剣に十二本の武器が集まり、白と黒、二振の巨大な刃を生み、それは紛れもなく、聖剣と魔剣、そう呼ぶに相応しいモノとなった。


 二つの白と黒は混ざりながら、互いに互いを尊重し合い、調和の取れた色で鮮やかに辺りを染め上げる。


 一方、槍は竜を纏った事により、あらゆるモノを巻き込む竜巻をよんだ。


 それは強欲を顕す様なモノであり、かつて共に過ごした悪魔の力の全てをそこに注ぎ込む。


 生命武器殺しの生命武器。

 七つの首都に封じられた人の根源的罪の悪魔を宿した武器達。


 第五首都にあった悪魔の罪は強欲。

 能力は相手の生命武器の効果の強奪。


 しかし、ニエルドはその力を使わずに、自らの体に宿した竜の因子を混ぜ合わせた己が放てる最強の一撃をスカディに目掛けて放った。


 槍と共に迫り来る嵐の中にスカディは飛び込み、二本の武器を、それに宿る二人の騎士達を、自分を信じて見守ってくれた二人を信じて突き進む。


 そして、目の前に現れた槍に二本の剣をぶつけると周囲を巻き込みながらそれは封じ込められていた風が放出され、部屋中のガラスを、壁を破壊し尽くした。


 槍と剣の打つかり合い。

 刃からは火花が散る事無く、白と黒の光が溢れると嵐は光と共に徐々に鎮まり、一種の静けさを生んだ。


 塔の最上階は空が見え、スペクターは(フー)を庇っていると目の前には二人の兄妹の姿が徐々に煙の中から現れた。


 スカディとニエルド。


 彼らの手には既に武器はなく、お互いの武器が地面に突き刺さる。


 互いに互いを少しだけ理解し合った兄妹はボロボロの体を見合った。


「大きくなったな、スカディ」


「何よ、急に気持ち悪い」


「お前がここを去って六年。離れていた妹の姿を見たらそれくらい言うだろ」


「馴れ馴れしい、別に、私、あんたの事、許した訳じゃないわよ。埋葬屋に来たらって言ったのは償いのため。あんたが犯した罪の精算。それをやるべきに呼んだだけ」


 それを聞いたニエルドは寂しそうに笑いながら己の感情を罪と思い、罰を背負おうとゆっくりと口を開く。


「そうか、お前らしいよ、スカディ。そろそろ、俺もその罪の精算をしようと思っていた。第五首都はお前ら埋葬屋に降伏する。だが、俺はやる事がある。じゃあな、スカディ、そして、埋葬屋。お前らと殺り合えて良かったよ」


 ニエルドはそう残し、塔の最上階から自らの体を投げた。


 スカディはそれを追う事無く、彼の姿を見ずに背を向けるとスペクターと(フー)がいる下へ帰った。


「終わったよ、スペクター、(フー)


 スカディはそう言うとその場にバタリと音を立て、倒れ込んでしまう。

 スペクターはそれを誰よりも早く抱き抱え、彼女を強く抱きしめた。


「スカディ、生きててよかった」


「大袈裟なのよ、私は最強の首都長の妹よ。これくらいへっちゃらよ。それと、フレイヤ、あの子にもお礼言わなくちゃ」


「嘘だ、スカディ、君はいつも、いつも無茶をして、無理をして、嘘をつく。でも、それはいつも僕を元気付けてくれる。ありがとう、スカディ、ゆっくり、ゆっくり休んで。報告は僕がやっておくからさ」


 それを聞いた途端、何かがプツリと途切れ、スカディは口角を少しだけ上げると目を閉じ、スウスウと寝息を立てて眠ってしまう。


 それを見てスペクターは安堵した表情を浮かべ、彼女の頭を少し撫でるもすぐに端末を見て、時間を確認した。

 作戦終了手前にて、彼はそれを報告しようとするも端末から大きな音が鳴り響く。


「? どうしたんですか? 」


「スペクター、聞いて。埋葬屋本部が、地下が襲撃されている。すぐに、迎える人は向かって」


 端末から放たれる声の主はリリィであり、それは声を荒げていた。

 その一言が放たれた直後、端末からの連絡は途絶え、それを聞いていた(フー)が自らの壁に手を置き、影縫の生命武器を模倣し始める。


「待って、(フー)。今、ここを離れる事は出来ない。スカディも寝てるし、君も無理してる。これ以上、力を使えば、また、この前みたいになってしまうかもしれない。もう少し、もう少しだけ待てないか?」


「スペクター、スカディの事は任せたよ。私は、私のやるべきことのために行く」


 そう言うとすぐに自らの体に影縫の武器を宿す。


権能解放(オープン)猫海(ネコウミ)


 すぐに彼女の体は影に消え、その場には二人の埋葬屋が残されていた。


 スペクターはため息を吐くも、それでも自らの仕事をこなすために端末に目掛けて声を上げる。


「第五首都陥落、繰り返す、第五首都陥落!!そして、作戦を終了後に埋葬屋本部襲撃報告確認!本部に向かい問題に対処して下さい!!」

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感想、レビューいつもありがとうございます!

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