6.タイトル
2020年6月26日。
サカイメの書架にて、拙作『初夏』を朗読いただいた。「サカイメの書架」と「境目の初夏」をかけたダジャ……言葉遊びで、採用を狙いにいった1作。通算3つ目の採用作である。だったら読まれた直後にこれを書けよとの声には耳が痛いと言う他にない。書こうと思っていたけどサイコロを振ったりサイコロに振られたりサイコロのことばかり考えて夜も眠れずにサイコロを転がしていたのだ。申し訳ない。
申し訳ないついでに、謝罪することがひとつ。
投稿を始めて半年以上経つが、サカイメの書架様には多大なお手間をおかけしている。投稿作のタイトルの件だ。
これまで、私は一度もタイトルをつけたことがない。
動画に表示されているタイトルは、すべてサカイメの書架様につけていただいたものだ。
『誰がための』
これは「お菓子作り」がお題のときにつけてもらった何となくサイボーグを彷彿とさせるタイトル。レシピ通りが求められるお菓子作りにおいて、愛情を入れる余地がなく誰のために作ったのかわからなくなってしまったサイボーグ感ある話。サイボーグから離れろ。
『ぼくにはわからないけれど』
こちらは「花粉症」がお題のとき。角掛さんに「あなたにはわからないでしょうね!」と言わせたかっただけの応募作。それ以外のことは書いたぼくにもわからないけれど。
ううむ、しっかり話のイメージに合ったタイトルをつけてもらっているなあ。
私だったらこうはいかない。
昔からそうだ。オチも決まっているのにタイトルだけが決まらなくて無題で提出したモノがいくつもある。タイトルを「無題」としている作品を見ると「何だこいつイキってやがるな」と思う方がほとんどだろうが、それは誤解だ。無題は無題、それ以上でも以下でもない。無題にすることで「私はタイトルをつけられませんでした」と屍を晒しているのに更に死体蹴りするのはやめていただきたい。私のライフはゼロよ。
いや、でも。
タイトルが先に決まっていたこともある。『ベンツ飯』だ。
これはもともとSwindさんとの雑談から出て来たものだから、『ベンツ飯』なるタイトルからどんどん膨らませて行った。結論をいえばまったく膨らまず、ベンツの車内だけで展開するシチュエーションコントとなった。何だかんだで短編2作+連載21作、私にしては大したものだ。どうしてこんなに書くことができたのか。
それは「これしかない」と思うタイトルがあったからだ。
タイトルが先にあったから後に引けなくなった。もう少しポジティブに言うと、タイトルがすでにあるんだからその通りに書けば良かった。タイトルとは、道しるべであり、免罪符である。
だらだら書いてて、こんないい感じに着地するとは思っていなかった。やるじゃん私。
そうだ、タイトルは別に最初に決まっていなくたっていい。書き上げたあと、書いている途中、「結局これが一番言いたかったんだよなあ」と思ったものを拾い上げて、タイトルにすればいいのだ。それができりゃ苦労しないよ、うるせー私。
とりあえず、次回からサカイメの書架への応募作にはちゃんとタイトルをつけよう。
そんな感じで今回のタイトルは『タイトル』です。